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    副業としての不動産投資:人気の理由とメリット・デメリット

    副業に取り組む社会人が年々増えています。実際、2023年の調査では副業をしている人は全体の約22.6%に上り、2018年から2倍以上に増加しています。物価高や収入への不安から、副業への関心は今後も高まると見られ、8割以上が「今後副業を始めたい」と回答しています。こうした中、不動産投資は副業初心者にも注目される選択肢となっています。不動産投資とはマンションやアパートなどの物件を購入し、賃貸による家賃収入を得る方法で、安定した収入が得られる点で昔から人気の高い投資の手段です。では、なぜ不動産投資が副業として人気なのでしょうか。本記事では、不動産投資の副業としての特徴メリット・デメリットを初心者向けにわかりやすく解説します。

    副業としての不動産投資とは

    副業としての不動産投資とは、本業を続けながら不動産賃貸経営を行うことです。具体的には、自分で居住しない物件(マンションの一室やアパート一棟、戸建て住宅など)を購入し、第三者に貸し出して賃料収入を得ます。その収入をローン返済や管理費用に充て、差額が利益(家賃収入)となる仕組みです。副業として不動産投資を行う場合、会社員や公務員としての安定収入や信用力を活かして金融機関から融資を受け、物件を購入するケースが一般的です。取得した物件は賃貸管理会社に委託することで、日常の管理業務(入居者募集、家賃集金、クレーム対応、清掃・修繕手配など)をプロに任せることもできます。物件購入後は契約に基づき毎月定期的に家賃収入が見込めるため、本業の合間でも運用しやすいのが特徴です。また、市場環境によっては物件価値が上昇し、売却益を得られる可能性もあります。一方で、賃貸経営には空室時の収入ゼロ物件管理の手間といったリスクも伴うため、副業として取り組むにはこれらの特徴を正しく理解することが大切です。

    不動産投資が副業として人気の理由

    不動産投資が副業として高い人気を集めているのには、いくつかの理由があります。

    • 安定した所得の代表格: 不動産投資は安定している投資の典型例として昔から根強い人気があります。株式やFXのように価格変動を常にチェックする必要がなく、契約した家賃が毎月振り込まれる安定感が、副業において大きな魅力となっています。特に低金利が続く日本では、銀行預金より高い利回りで資産を増やせる方法として注目されています。

    • 働きながらでも取り組みやすい: アフィリエイトやフリーランス副業と異なり、日中に労働時間を割く必要が少ない点も人気の理由です。物件選定や購入手続きには時間を要しますが、運用開始後は管理会社に任せればスキマ時間での対応程度で済みます。また、テレワークの普及など働き方の変化も後押しし、本業が忙しい会社員でも参入しやすくなっています。

    • 資産形成と将来への備え: 単なる副収入だけでなく、将来の資産形成策としても不動産投資は支持されています。調査によれば、実物不動産投資を行う投資家の約6割が会社員であり、給与だけに頼らず資産を持つことで老後の安定や経済的自立を図る人が増えています。物件という実物資産を所有することはインフレヘッジにもなり、長期的な視点で資産を増やしていきたい人に向いている手段と言えます。

    • 企業の副業解禁と信用力向上: 近年企業が社員の副業を容認する動きが広がり、会社員が副業大家になるハードルが下がったことも背景にあります。さらに、物件オーナーになること自体が社会的信用度を高める側面も指摘されています。例えば金融機関からの融資において、不動産を所有している実績はプラスに働きやすく、副業を通じて本業にも好影響をもたらす場合があります。

    以上のような理由から、不動産投資は副業初心者にも魅力的な選択肢となっているのです。しかし、魅力ばかりでなくリスクも把握しておく必要があります。次章では、不動産投資のメリットとデメリットをそれぞれ確認しましょう。

    不動産投資のメリット(副業としての魅力)

    副業として不動産投資に取り組むことで得られるメリットには、以下のようなものがあります。

    • 安定した収入の確保: 賃貸物件から得られる家賃収入は、毎月ほぼ一定額が見込める安定収入です。他の副業のように「働いた分だけ収入が発生する」形態ではなく、一度仕組みを構築すれば継続的・受動的に収入が得られる点が魅力です。特に住宅ニーズの高いエリアで適切に運営すれば、高い入居率を維持して収益性の向上が期待できます。景気に左右されにくいストック型ビジネスであり、本業の収入を補完するセーフティネットとして機能するでしょう。

    • 資産形成と資産の蓄積: 不動産は現物資産であり、保有するだけで資産価値を持つ点が他の副業にはないメリットです。毎月の家賃収入でローン元本を返済していけば、将来的に手元に不動産という資産が残ります。仮に物件価格が購入時より値上がりすれば、売却によるキャピタルゲイン(売却益)も得られます。また、銀行融資というレバレッジ(てこ)効果を使える点も特筆すべきでしょう。自己資金だけでは難しい高額資産でも、融資を活用することで少ない元手で大きな資産を築ける可能性があります。長期保有する中でインフレによる貨幣価値目減りに対するヘッジにもなり、老後の年金代わり子供への資産継承としても機能します。

    • 時間の柔軟性・手離れの良さ: 不動産投資は「働き方」の観点でも優れています。物件購入後の賃貸運営は、専門の管理会社に委託することで自身はほぼノータッチで進めることも可能です。副業に割く時間が週5~10時間程度といったケースも多く、本業に支障をきたしにくい副業と言えます。例えば深夜や週末に物件の収支確認や確定申告書類の準備をする程度で、本業の就業時間中に副業作業をする必要は基本的にありません。地理的な自由度も高く、遠方の物件でも管理委託やオンラインでのやり取りが可能なため、自宅にいながら収入を得ることができます。このように時間・場所の柔軟性が高いため、忙しいビジネスパーソンでも続けやすいのが利点です。

    • 税制面のメリット: 不動産投資による所得には、各種経費計上による節税効果が期待できます。物件購入や維持には経費にできる費用項目が多く、例えばローン金利、固定資産税、火災保険料、修繕費などは必要経費として家賃収入から差し引くことができます。さらに特徴的なものに減価償却費があります。建物分の購入代金を耐用年数に応じて毎年経費計上でき、現金支出を伴わない費用として帳簿上の利益を圧縮できます。実際、物件を見学するための交通費や不動産会社との打ち合わせ時の飲食費まで経費にすることが可能です。その結果、本業の給与所得と合算したトータルの税負担を軽減できる場合があります(いわゆる損益通算による節税効果)。適切に経費処理を行えば、手残り収入を最大化しつつ将来の大規模修繕資金なども内部留保しやすくなるでしょう。

    以上のように、不動産投資には安定収入資産形成自由な働き方節税といった多面的なメリットがあります。これらが副業初心者にも魅力的に映り、不動産投資が人気を博している要因になっています。

    不動産投資のデメリット(副業としての注意点)

    一方で、不動産投資を副業として行う際には注意すべきデメリットやリスクも存在します。メリットと合わせて把握し、事前に備えることが重要です。

    • 空室リスク: 不動産投資最大のリスクが、この空室による収入途絶です。入居者が確保できなければ家賃収入はゼロになってしまいますが、ローンの元利支払いや固定資産税などのコストはオーナーにかかり続けます。特に単一物件への投資では空室の影響が直接収支を圧迫します。地域の賃貸需要動向や物件の魅力次第で入居状況は変動するため、常に満室が保証されるわけではありません。対策としては、立地選びにこだわり需要の高い物件を購入する、空室発生時に迅速な募集活動や賃料調整を行う、複数物件に投資してリスクを分散する、といったアプローチが求められます。また、一定期間の空室を前提に資金計画(手元資金の確保)を立てておくことも重要です。

    • 初期投資の資金負担: 不動産は比較的まとまった資金が必要な副業です。物件価格の一部は自己資金で用意しなければならず、さらに購入時には仲介手数料、登記費用、諸税(不動産取得税など)といった付随費用も発生します。金融機関から融資を受ける場合でも、毎月のローン返済という長期の債務負担を負うことになります。物件価格が数千万円規模になることも珍しくなく、副業としてはリスクも大きいため、安易に始められるものではありません。景気変動による金利上昇が起これば返済額が増えるリスクや、将来売却時に市場価格が購入時を下回れば元本割れとなるリスクもあります。つまり、不動産投資は利益が出るまでに時間がかかり、短期で大きなリターンを得るより中長期で資産を増やすスタンスが求められる副業です。十分な自己資金の準備と無理のない借入計画を立てることが肝心です。

    • 管理・運営の手間とコスト: 賃貸経営には物件の管理業務が付き物です。入居者対応、物件の清掃・メンテナンス、退去時の原状回復や新規募集など、オーナーとして果たすべき仕事があります。管理会社に委託すれば手間は大幅に省けますが、その場合でも管理委託料(一般に家賃の数%)や入居者募集の広告料などコストが発生します。自身で管理する場合はコストは抑えられるものの、その分時間や労力を割く必要があります。夜間や休日に緊急対応(設備の故障や近隣トラブル等)に追われる可能性もゼロではありません。副業として始めたつもりが思った以上に手間がかかり本業に影響が出るケースもあります。特に物件数が増えると管理業務も複雑になるため、どこまで自分で行い、どこからプロに任せるかの線引きを予め検討しておく必要があります。また、年に一度は確定申告も必要となり、帳簿付けや税務知識の習得も避けて通れません。こうした管理運営上の負担を甘く見ず、想定しておくことが大切です。

    • その他のリスク要因: 上記以外にも、不動産投資には流動性リスク(現金化のしにくさ)があります。株式のようにすぐ売却してお金に換えることが難しく、売却には時間と手数料がかかります。また、火災・地震などの災害リスクも存在し、保険に加入して備える必要があります。さらに、不動産市況や法規制の変化により賃貸経営の前提が変わる可能性もあります。例えば人口減少が進めば賃貸需要は地域によって先細るかもしれませんし、税制改正で減価償却の優遇が縮小する可能性もゼロではありません。加えて、初心者にとっては物件選定や契約交渉など専門知識のハードルもあります。知識不足のまま勧誘業者の言いなりで不利な物件を掴んでしまうと、思うような収益が上がらないリスクが高まります。こうした多様なリスクを理解し、必要に応じて専門家の助言を受けながら進めることが、副業不動産投資の成功には不可欠です。

    以上が、不動産投資を副業として行う際の主なデメリットと言えます。しかし、これらのリスクは事前の対策や知識習得によってある程度コントロール可能です。次に、安定的に運用するためのポイントを見てみましょう。

    安定して副業不動産投資に取り組むためのポイント

    不動産投資は適切な計画と運営によって、安定収入を長期にわたり得られる副業となります。稲澤氏が強調するように「しっかりとした経営」を心がけることが成功の鍵です。副業初心者が不動産投資で安定した成果を上げるために、押さえておきたいポイントをまとめます。

    • 綿密な資金計画: まずは自己資金と借入のバランスを踏まえた計画を立てます。物件価格だけでなく諸費用や当面の運転資金(ローン返済や空室時の補填、修繕費積立など)も考慮し、無理のない予算内で投資することが重要です。将来の金利上昇シナリオや収入減少時でも返済が続けられるかシミュレーションし、キャッシュフローがマイナスに陥らない堅実な計画を策定します。

    • 慎重な物件選定: 物件選びが成否の9割を決めるとも言われます。初心者ほど焦らず多くの物件情報に触れ、相場観を養いましょう。立地条件(最寄り駅からの距離、周辺環境)、建物の状態や構造、間取りや設備、家賃相場と競合物件の状況などを総合的に判断し、賃貸需要が見込める「良い物件」を見極めることが肝心です。可能であれば不動産会社の担当者や経験者に同行してもらい、客観的な視点で助言を受けると安心です。購入前の調査・交渉に労力を惜しまないことで、購入後の長期にわたる安定収入がほぼ決まると言っても過言ではありません。

    • 信頼できる専門家の活用: 賃貸管理や税務申告など、プロの力を借りることで安定運用につなげることができます。賃貸管理会社を利用すれば高い入居率維持やトラブル迅速対応が期待でき、オーナー自身は戦略的な意思決定に集中できます。また、不動産仲介業者やファイナンシャルプランナー、税理士といった専門家から助言を得ることで、初心者が見落としがちなリスクを事前に回避できます。INAのようにテクノロジーを駆使した透明性の高い管理サービスを提供している企業もあり、そうしたパートナーを選ぶことでオーナーの負担を最小限に抑えつつ収益最大化を図ることが可能です。

    • 長期視点と継続的な学習: 不動産投資は短期で一攫千金を狙うものではなく、中長期でコツコツ利益を積み上げる事業です。常に市場動向や税制の変化にアンテナを張り、賃貸経営や不動産市況に関する知識をアップデートし続ける姿勢が大切です。物件購入後も定期的に収支を見直し、必要に応じて賃料の改定や経費削減策を講じるなど、PDCAサイクルを回しながら経営改善を図ります。本業同様に副業にも経営者マインドを持って取り組むことで、リスクに強い安定経営が実現できるでしょう。

    以上のポイントを踏まえれば、初心者であっても不動産投資を着実に軌道に乗せることができます。副業とはいえ一種の事業であるという意識を持ち、計画→実行→検証→改善を地道に繰り返すことが安定収入への近道です。

    まとめ

    不動産投資は、副業として安定的な所得を得られる有力な手段です。適切な物件を選び、計画的に運用すれば、毎月の家賃という形で安定収入を確保しつつ、将来にわたる資産形成にもつなげることができます。こうした魅力から、働きながら始められる副業として不動産投資は高い人気を誇っています。一方で、空室リスクや初期費用負担、管理上の手間などのデメリットやリスクも存在するため、事前に十分理解した上で準備を進めることが肝要です。稲澤大輔氏が述べるように、信頼と計画に基づいた堅実な経営こそが不動産投資を成功させるポイントです。

    副業初心者の方は、まず小さな一歩から始めてみましょう。情報収集や専門家への相談を重ねる中で、不動産投資の全体像が見えてきます。そして、正しい知識と戦略に則って行動すれば、不動産投資は副業として安定した収入源となり得るのです。将来の資産づくりと収入アップを目指し、自分に合った形で不動産投資という副業に取り組んでみてはいかがでしょうか。

    稲澤大輔

    稲澤大輔

    INA&Associates株式会社 代表取締役。大阪・東京・神奈川を拠点に、不動産売買・賃貸仲介・管理を手掛ける。不動産業界での豊富な経験をもとに、サービスを提供。 「企業の最も重要な資産は人財である」という理念のもと、人財育成を重視。持続可能な企業価値の創造に挑戦し続ける。