不動の人気を誇る東京、躍動する大阪、成長著しい福岡――。不動産投資で成功を収めるには、地域特性を理解し、物件タイプごとのメリット・デメリットを見極める必要があります。本記事では、東京・大阪・福岡の三大都市に焦点を当て、人口動態や市場動向に基づいた最適な投資戦略をご紹介します。初心者から富裕層まで、レベルに応じた適切な物件選びのポイントをお伝えします。INA&Associates株式会社では、各都市の市場に精通した専門家が、お客様の投資を全面的にサポートいたします。ぜひ、お気軽にご相談ください。各都市の人口動態と経済動向によるエリア別将来性
東京: 日本の首都圏である東京はコロナ禍で一時人口が減少しましたが、2023年度以降は都心回帰が進み人口増加に転じています。2024年度には前年度比約7万人増と顕著な回復を見せ、都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)だけでも1年間で約1.2万人の人口増加がありました。東京23区は国内外から人・企業が集中し続けており、2050年時点でも東京都だけが2020年比人口指数100超を維持する見通しで、将来的な人口ポテンシャルの高さが示されています。政治・経済の中枢で再開発も活発な東京では、都心部の高級マンションやオフィス需要が高く、2025年の公示地価では商業地上昇率が23区平均+11.8%と全国最高水準の伸びを示しました。ビジネス拠点としての強みと多彩な観光資源に支えられ、東京の主要エリアは今後も安定した成長が期待できます。
大阪: 日本第二の都市圏である大阪では、府全体の人口は近年減少傾向にあるものの、大阪市内の人口は概ね増加基調にあります。実際、2017〜2020年に大阪市は人口増を続け、若年層(15~24歳)の転入超過も確認されており、単身者向け賃貸需要が堅調です。大阪は今後、「2025年大阪・関西万博」の開催や、IR(統合型リゾート)計画の実現、梅北(うめきた)エリアの大規模再開発、なにわ筋線の新線開業計画など4つのビッグイベントを控えており、都市の発展に大きな追い風となっています。万博開催による経済波及効果は試算で約4兆1千億円にも上り、観光インフラ整備や企業進出が進むことで更なる人口流入と地価上昇が期待されています。また大阪市は東京に比べ物件価格が割安で平均的に「東京の物件の約半分の価格」で購入でき、利回りも高くなる傾向があります。実際、公示地価2025年の商業地上昇率は大阪市+11.6%と東京に匹敵しており、ビジネス都市「キタ」と商業観光の「ミナミ」を中心に、不動産市場は活況です。大企業の本社や拠点が集積する大阪は賃貸需要も底堅く、インバウンド(訪日観光客)の復調も追い風となって、主要エリアの将来性は高いでしょう。
福岡: 福岡市は九州地方の経済・人口の中心であり、近年日本で最も人口増加数が多い都市として注目されています。総務省の調査によれば2022年に全国の市区町村で人口増加数トップを記録し、2024年3月時点人口164.5万人と、従前の将来推計(2025年165.6万人)を上回る勢いです。若年層を中心に人材流入が続き、スタートアップ支援にも積極的な福岡市では開業率5.3%と大都市圏最高水準を誇り、新産業の育成が街の活力につながっています。また交通利便性や住みやすさから国内外企業の支社設置も増加傾向にあり、テレワーク普及後も地方拠点として福岡を選ぶ動きがみられます。地価も上昇基調で、2025年公示地価では福岡市の商業地が前年比+11.3%と三大都市圏に匹敵する伸び率でした。官民連携の再開発(天神ビッグバン等)や地下鉄延伸計画により都心部の機能強化が進んでおり、将来性は極めて高いです。加えて福岡は生活コスト面でも東京圏より優位性があり、若者や企業の移住ニーズが続くため、今後も安定した賃貸需要と不動産価値の上昇が見込まれます。
物件タイプ別の投資メリット・デメリット
不動産投資対象となる主な物件タイプごとに、「収益性(利回り)」「空室リスク」「運用・管理負担」「初期投資額」等の観点からメリット・デメリットを整理します。
区分マンション(分譲マンションの一室)
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メリット: 比較的少額の自己資金で始めやすく、金融機関からの融資も受けやすい点が魅力です。一室単位の購入価格は低いため初期費用を抑えられ、投資初心者でも参入しやすい物件タイプです。また管理組合によって建物全体の維持管理がなされるため、オーナー自身の管理負担が小さい傾向があります。流動性も高く、売却時に実需層(マイホーム購入希望者)にも転売可能であるため、出口戦略の柔軟性というメリットも挙げられます。
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デメリット: 一室のみの保有では毎月得られる家賃収入は限定的で、空室になると収入がゼロになるリスクを単独で抱える点が最大の課題です。実際、区分マンションは入居者不在時には収入100%減となり、なおかつ管理費・修繕積立金は空室でも払い続けねばなりません。また物件運営の自由度が低く、例えばペット可など入居条件の変更やリノベーションを勝手に行えない(管理組合の承認が必要)ため、柔軟な運用が難しい側面があります。さらに表面利回りは一棟物件より低めで、運用規模を拡大しても家賃収入が頭打ちになりやすい点もデメリットと言えます。
一棟アパート(木造・軽量鉄骨など小規模集合住宅)
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メリット: 建物を一棟まるごと所有することで、複数戸からの家賃収入を得られます。全戸満室時の家賃収入は区分所有の数倍規模となり、仮に一部屋空室でも他の入居から収益が入るため空室リスクを分散できます。木造や軽量鉄骨のアパートは建築コストが比較的低く、物件価格もRC造マンションより抑えられるケースが多いため、同じ予算で複数戸の運用が可能です。また一棟所有物件ではオーナーの裁量で入居募集条件の調整や建物全体のリノベーションを実施でき、運営の自由度が高いのも利点です。複数戸所有ゆえに高い利回りが期待できる傾向にあり、一般に一棟アパートの表面利回りは区分マンションより数ポイント高い(8%台など)とされています。
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デメリット: 一棟物件は購入費用が高額(数千万円~1億円超)になりがちで、区分に比べ初期投資ハードルが高いです。自己資金の多寡や信用力によっては融資の頭金が物件価格の2割以上必要な場合もあり、資金調達面の負担があります。また建物全体の維持管理責任はオーナーにあるため、修繕コストや運用手間が大きい点も注意が必要です。特に木造アパートは築年数の経過による劣化が早く、外壁塗装や屋根防水、設備更新など定期的にまとまった修繕費用が発生します。さらに一棟物件は流動性が低く、買い手は専ら投資家に限られるため売却に時間を要することもあります。火災・災害リスクも建物全体に及ぶため、リスクが集中しやすい点にも留意が必要です。
一棟マンション(RC造など中高層集合住宅)
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メリット: 基本的なメリットは一棟アパートと類似しますが、RC造のマンション一棟は耐久性・耐震性が高く長期安定運用に適する物件です。構造がしっかりしている分、入居者からの信頼性も高く、高賃料帯のファミリー世帯や法人契約を取り込みやすい傾向にあります。特にエレベーター付き中高層マンションでは戸数が多いため、満室時の家賃総額が大きく収益規模を最大化しやすい点が魅力です。複数戸によるリスク分散効果で空室による家賃収入減少を緩和でき、安定収入を得やすい物件タイプと言えます。また建物価値(資産価値)が高く金融機関評価も得やすいため、富裕層に特に人気の高い投資物件となっています。ローンを活用したレバレッジ効果も大きく、資産規模拡大を目指す投資家にとって有力な選択肢です。
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デメリット: 一棟マンションもアパート同様に取得費用の高さがネックであり、物件価格は数億円規模になるケースも少なくありません。自己資金・融資枠に相応の余裕がなければ購入できず、参入障壁は高めです。また階数が多くエレベーター等の設備も備えるため、維持管理コスト(設備点検費や大規模修繕費等)が高額になります。エレベーター交換や外壁改修などは数千万単位の費用が定期的に必要となり、キャッシュフロー管理が重要です。流動性も限定的で、買手は投資家のみならず企業オーナーなど富裕層に限られるため、売却先が限定され資金化に時間がかかるリスクがあります。さらに建物一極集中の投資であるため、災害等による資産毀損リスクが全戸に及ぶ点もデメリットと言えるでしょう。
戸建て住宅(投資用一戸建て)
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メリット: 戸建て物件への投資は、アパート等と比べ初期投資額が小さいケースが多く、中古戸建てであれば数百万円~数千万円から購入可能です。さらに中古戸建ては競合する投資家が少なく、物件取得競争が激しくないため掘り出し物件を見つけやすいメリットがあります。賃貸需要に関しても、郊外エリアであっても庭付き戸建てを好むファミリー層など一定のニーズがあり、物件次第では高利回り運用(10%以上)も期待できます。また入居者はファミリー層が多いため平均入居期間が長い傾向にあり、安定した賃貸経営につながります。戸建てはマンションと異なり共有部分がないため管理が容易で、隣室との騒音トラブル等も少ない点は運営上の利点です。さらに「賃貸に出す」「自分で住む」「土地含め売却する」と出口戦略の幅が広く、ライフステージの変化に応じて柔軟に活用できる特性もあります。土地付き不動産であるため資産価値が土地に残りやすく、更地売却や建替えによるバリューアップも比較的容易です。
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デメリット: 最大のデメリットは空室時に収入がゼロになるリスクを単独で抱える点です。1棟1世帯のみの賃貸のため、入居者が退去すればその間家賃収入は途絶え、複数戸所有のようなリスク分散ができません。また戸建て1戸あたりの家賃収入には上限があるため、資産規模拡大のスピードは緩やかで、大量の戸数を一気に増やすことは困難です。融資面でも、戸建て投資は銀行から事業用融資とみなされにくく、ローンを組みにくいケースがあります。特に古い戸建ては担保評価が低いため融資額が伸びず、自己資金比率が高くなりがちです。また建物固有の老朽化リスクや維持費もあり、屋根・外壁や給排水設備など一棟まるごと自主管理する負担が発生します。マンションと異なり専門業者による建物全体管理が無い分、オーナー自身で定期点検や修繕計画を立てる必要がある点にも注意が必要です。以上より、戸建て投資は小規模でコツコツ収益を積み上げたい方向けと言え、大規模運用には不向きな側面があります。
商業ビル(店舗・オフィス等が入る事業用物件)
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メリット: 商業ビル(テナント物件)は居住用に比べ賃料水準が高く、表面利回りも高い傾向があります。駅前や繁華街など好立地であれば、テナント企業は高めの賃料でも借りたい需要が強く、住宅より高額の家賃収入を得られる点は大きな魅力です。優良テナントを誘致できれば物件の資産価値自体も向上し、賃料アップによるさらなる収益増も期待できます。またテナント契約は一般に契約期間が長め(定期借家や長期賃貸契約など)で、安定収入が見込めるケースもあります。さらに商業テナントから預かる保証金・敷金を一部収益計上(償却)できる点も居住用にはないメリットです。退去時の原状回復は借主負担が原則のため、オーナー側で内装リフォーム費用を負担しにくい点もメリットと言えます。以上から、商業ビル投資はうまく運営できれば住宅系以上の高収益を生むハイリターン型の投資となり得ます。
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デメリット: テナント物件は居住用に比べ空室期間が長期化しやすいリスクがあります。一区画あたりの賃料が大きく専門性も高いため、一つ空室が出ると物件全体の収入に与える打撃も大きく、次の入居テナントを見つけるまで時間がかかる傾向があります。また景気変動の影響を受けやすく、不況時には複数テナントの一斉退去や賃料減額も起こり得るため、収入の不安定さというリスクがあります。実際、コロナ禍初期には多くの店舗テナントが撤退し空室が急増する事態も見られました。さらにテナント誘致には専門的なノウハウが必要で、そのビルの立地や構造に適した業種でないと長続きしません。マーケティング戦略をもって物件に合う業種・企業を誘致するスキルが求められ、一般個人の手には負えない場合もあります。加えて一棟ビルの取得費用は極めて高額で、金融機関の審査も厳しく(テナントの信用力までチェックされる)、富裕層やプロ投資家向けの領域と言われます。初期投資だけでなくテナント退去後の内装改装やビル設備の更新にも多額のコストがかかるため、資金力と運営力が要求される点もデメリットでしょう。総じて商業ビル投資はハイリスク・ハイリターンであり、物件の立地選定とテナント戦略が成否を分ける高度な投資領域です。
投資家タイプ別のおすすめ物件タイプ
不動産投資初心者に適した物件タイプ
初めて不動産投資を行う方には、やはり区分マンションへの投資が最も一般的で無理のない選択となります。区分マンションなら比較的少額の自己資金で購入でき、金融機関の融資も得やすいため資金準備のハードルが低いです。また建物管理は管理組合に任せられ、賃貸管理も管理会社に委託しやすいため、運営の手間が少なく初心者でも扱いやすい物件と言えます。実際に「不動産投資が初めてなら区分所有の方が資金面でもリスク面でも取り組みやすい」とされており、まずは小規模から経験を積むことが推奨されます。区分マンション投資で市場や賃貸管理に慣れた後、徐々に物件数を増やしていくことで、無理なく資産形成を図れるでしょう。ただし収益性という点では区分マンション1戸では大きな利益は望みにくいため、余裕資金が小さい方やローン返済比率を抑えたい方に向いています。また戸建て投資についても、地方在住者などで身近な中古戸建てを低額で購入できる場合には、初心者が小さく始める選択肢になり得ます。しかし戸建ては空室リスクがダイレクトに収支に影響するため、まずは空室リスク分散が図りやすい都市部区分マンションから始めるのが無難でしょう。
中級者(一定の経験・資産を持つ投資家)に適した物件タイプ
ある程度の投資経験を積み、追加投資のための自己資金・信用力を備えた中級者には、一棟もの物件へのステップアップがおすすめです。区分所有で不動産投資の仕組みに習熟したら、次は一棟アパートや一棟マンションを取得して規模拡大を図ることで、収益性を飛躍的に向上させることができます。一棟物は購入額こそ大きいものの、複数戸から家賃収入を得られるため運用効率が良く、空室リスクも分散でき安定性が増す点が魅力です。特に地方在住で地元の利を活かせる場合や、あるいは東京圏在住でも郊外・地方都市の物件に詳しい場合、中古の一棟アパートを安価に取得して高利回り運用する戦略が適しています。また中級者で資産・年収に余力があれば、RC造の一棟マンションに挑戦することでレバレッジを利かせた資産拡大も可能です。一棟まるごとの物件は富裕層だけでなく中堅の個人投資家にも人気が高まっており、複数戸による収入安定と資産価値の高さから「空室リスクを軽減しつつ賃料収入を最大化しやすい」投資対象として注目されています。実際、一棟投資は区分より表面利回りが高く(前述の通り一棟アパートで8%前後、マンションで7%台が平均)、物件数を増やさずとも収益規模を拡大しやすい利点があります。従って、既に区分で実績を積んだ投資家や、ある程度まとまった自己資金を用意できる投資家には、一棟物件への移行・追加が次の段階として適切でしょう。なお、一棟物への移行に際しては融資額も大きくなるため、物件選定時には十分な利回りシミュレーションとリスクヘッジ(空室時の予備資金確保など)が重要です。
富裕層・上級投資家に適した物件タイプ
潤沢な資金力を持ち、広範な投資経験を有する富裕層クラスの投資家には、一棟大型物件や商業ビルへの投資が選択肢となってきます。富裕層の間で特に人気が高いのは、やはりマンション・アパートの一棟丸ごと所有であり、複数の居室によって収入源が分散され安定性が高いこと、そして賃料収入のスケールメリットが得られることが理由です。初期投資額は他の物件種別より高額になりますが、その分だけ金融機関から高額融資を引き出しレバレッジ効果を大きく享受できる点も富裕層に好まれるポイントです。具体的には、都心の高級賃貸マンション一棟や、大阪・福岡など主要都市の駅近RCマンションなどは、安定資産として富裕層投資家に選ばれています。また、さらに積極的な富裕層はオフィスビルや商業施設等の事業用不動産にも投資を広げています。商業ビルは運用難易度こそ高いものの、うまく運営できれば住宅用より高いリターンが得られ、資産ポートフォリオの分散にも寄与します。例えば都心部のテナントビルを取得できれば、企業からの安定賃料収入に加え資産価値の大幅な上昇も期待できます。また富裕層に特有の視点として、相続税・所得税対策を意識した不動産投資も挙げられます。減価償却による節税効果を狙い、木造一棟アパートを敢えて購入するケースや、高額所得者ゆえの借入枠を活かし都心の高級住宅を収益物件化するケースもあります。以上のように、資産的・人的リソースに余裕のある富裕層は収益性と資産保全性のバランスを見ながら多様な不動産投資を実践しています。ただし商業ビルなど玄人向け物件では専門知識が不可欠なため、信頼できる不動産会社との連携やプロパートナーの助言を得て進めるのが賢明です。
各都市の市場トレンド・取引事例と利回り情報
東京の市場動向と利回り傾向
東京の不動産市場は2023年以降、コロナ禍からの回復と都心回帰により再び活況を呈しています。都心部のオフィス空室率も改善基調で賃料が上昇傾向にあり、住宅についても賃貸需要の高まりから都内家賃相場は上昇傾向が見られます。実際、2025年公示地価では東京23区の商業地が平均+11.8%と全国トップの上昇率を示し、再開発が進むエリア(虎ノ門・渋谷・品川など)を中心に地価高騰が続いています。直近の取引事例では、都心の高級マンションが国内外の富裕層に旺盛な需要で迎えられ、億ション・タワーマンションの価格が過去最高水準に達したとの報道もあります。また海外投資マネーの流入もあり、東京Aクラスオフィスビルの大型売買(REITや外資による取得)も相次いでいます。利回り面を見ると、東京は物件価格が高いため投資利回りは他都市より低めです。健美家の市場レポートによれば首都圏の表面利回り平均は約6.67%で、全国平均7.21%を下回っています。特に人気エリアの築浅ワンルームなどは利回り4~5%台が一般的で、例えば東京23区の築10年未満区分マンション利回りは平均4.09%(2023年Q1)とのデータがあります。一棟物でも、都心部の優良物件は利回り5~6%前後での取引が多く、ローリスク・ローリターン志向の資産として捉えられています。一方、東京都下や近郊では築古物件を中心に利回り8~10%超も見られ、エリアや物件グレードによって大きな差があります。総じて東京は「低利回りだが資産価値保全力が高い」市場であり、堅実な資産運用を目的とする投資家に適したマーケットといえます。
大阪の市場動向と利回り傾向
大阪の不動産市場は、2025年万博やIR誘致などの好材料を控えて全国的にも注目度が上がっています。市内中心部では再開発ラッシュが続き、梅田エリアの「グランフロント大阪」周辺や難波・心斎橋エリアで新築大型ビルの供給が相次いでいます。また大阪への企業集積や観光客増加により、賃貸需要も底堅く推移しています。例えば大阪市内の賃貸マンション平均家賃はエリアによりますが、近年一部地域で上昇傾向が報告されています。市場トレンドとしては、「大阪は東京より物件価格が安いため、その分利回りが高くなる」という点が投資妙味です。実際、関西圏の収益物件表面利回りは平均7.36%と首都圏より高く、大阪市内限定でもワンルーム区分で5~7%、一棟アパートで8~10%前後の利回り事例が多く見られます。2023年時点のデータでは、大阪府の中古ワンルームマンション投資利回りは概ね5%弱(2020年時点で大阪は約5%)と東京より高い水準を維持しています。価格面では、大阪市内中古ワンルームの平均成約価格は概算で1,200~1,500万円程度とみられ、東京23区平均よりかなり割安です。最近の取引事例として、大阪市内の築浅一棟マンションが都内投資家に購入されるケースや、地方銀行が大阪の収益物件向け融資を拡大する動きも報じられています。さらに2025年万博開催による来訪者増加でホテル・民泊需要が高まる見込みから、投資家の中には大阪で簡易宿所やサービスアパートメント運営に乗り出すケースも出てきています。大阪市場は「中利回り・中リスク」で物件価格も手頃なため、首都圏に次ぐ有力な投資対象地域として今後も活発な取引が期待されます。
福岡の市場動向と利回り傾向
福岡の不動産市場は、地方都市の中で群を抜いて好調です。前述の通り人口増加と経済成長が続いており、それがそのまま不動産需要の拡大につながっています。近年のトピックスとして、福岡市中央区天神で進む「天神ビッグバン」再開発計画や、博多駅周辺の大規模プロジェクトなどが挙げられます。これらによりオフィスや商業施設の供給が増えていますが、それ以上にテナント需要が旺盛でオフィス空室率は低水準を維持しています。住宅面でも、福岡市の賃貸マンション家賃相場はこの10年で上昇傾向にあり、特に都心アクセス良好な物件で顕著です。家賃上昇の背景には「アクセスの良い住みやすい物件が選ばれやすい」「若年層中心の人口流入」「再開発による需要増加」という要因が指摘されています。投資利回りの観点では、福岡を含む九州・沖縄エリアの平均表面利回りは10.12%と全国平均を上回っています。これは地方の中小都市物件も含む数字ですが、福岡市内に限っても区分マンションで7~8%、一棟アパートで10%超の高利回り案件が見つかる市場です。実際、「福岡県で不動産投資をする場合は表面利回り10%以上を目指せ」といった声もあるほどで、投資家にとっては魅力的な収益性を提供しています。価格水準は、福岡市の中古ワンルーム平均売却価格が約840万円(2021年)と東京の半分以下であり、初期投資負担の軽さも特徴です。最近の取引事例では、首都圏の投資家が福岡の築古ビルを購入してリノベーションし、スタートアップ企業向けオフィスに転用するケースなど、福岡の成長性に着目した外部投資も増えています。また地元企業や富裕層も市内中心部の一棟マンション取得に積極的で、地場不動産投資の盛り上がりが全国トップクラスと言われます。福岡市場は、比較的高利回りを確保しつつ人口増加による資産価値向上も期待できるという、収益性と将来性のバランスに優れた投資エリアだと言えるでしょう。
地域別平均利回り・物件価格帯の比較
最後に、東京・大阪・福岡の概況を平均的な表面利回りと投資用物件価格帯の目安で比較します。以下の表は各地域の大まかな数値イメージで、実際の利回り・価格は物件の立地や築年数等によって大きく異なりますが、参考指標として提示します。
地域・都市 | 平均表面利回り (目安) | 中古ワンルーム平均価格 (目安) |
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東京圏 (23区) | 約5~6%(首都圏平均6.67%) | 約2,200万円(23区中古平均) |
大阪圏 (市内) | 約7~8%(関西平均7.36%) | 約1,200~1,500万円(推定、大阪市内) |
福岡市 | 約8~10%(九州平均10.12%) | 約800~900万円(福岡市中古平均) |
※東京は物件価格が高いため利回りが低め、逆に福岡は価格が低く利回りが高い傾向があります。大阪はその中間で、東京より利回りは高いが福岡よりは低い水準です。上記のように、東京は資産価値重視、福岡は収益率重視、大阪はバランス型とも言えます。それぞれの市場特性を踏まえ、投資目的に合ったエリア選定を行うことが重要です。
おわりに
東京・大阪・福岡の三都市は、それぞれ人口動態や経済発展の状況が異なるものの、不動産投資対象として魅力的なエリアです。東京は圧倒的な人口と経済規模を背景に将来的な資産価値の安定性が高く、低リスクの投資先として有望です。一方、大阪は今後のイベント景気と割安な物件価格による比較的高い利回りが期待でき、成長余地を狙う投資に適しています。福岡は地方都市ながら人口増による需要増加が顕著で、高利回り物件も多く見つかるため、収益重視の投資家にとって注目エリアです。
物件タイプ選びについても、区分マンションから一棟収益物件、戸建てや商業ビルまで多岐にわたり、それぞれメリット・デメリットが存在します。初心者は小規模・低リスクから、中級者は一棟物件で規模拡大、富裕層は多様な資産戦略へと、自身の経験値と資金力に応じた段階的な選択が肝要です。不動産投資は経済環境や地域特性に左右される面もありますが、需要動向を見極め適切な物件を選べば長期にわたり安定したリターンを得られる可能性があります。本稿の分析が、東京・大阪・福岡それぞれの市場理解と物件選定の一助となり、皆様の投資判断に寄与することを願っております。