東京都港区三田五丁目西地区において、総事業費約770億円を投じた 大規模市街地再開発事業が本格的に始動いたします。2025年7月11日に東京都から組合設立認可を受けたこのプロジェクトは、白金高輪駅近傍の約1.3ヘクタールの区域に、地上45階・地下2階・高さ167.5メートルの超高層複合施設を建設する画期的な事業です。
本記事では、三田五丁目西地区第一種市街地再開発事業の全貌を、不動産投資の専門的視点から詳細に解説いたします。
この再開発事業は、単なる建物の建て替えではなく、地域コミュニティの再生と防災性の向上を実現する 社会的価値の高いプロジェクトとして注目されています。
本プロジェクトの特筆すべき点は、地域住民が主体となって2016年に再開発協議会を発足させ、約9年間にわたる検討を重ねて実現に至ったことです。住友不動産が参加組合員として参画し、テクノロジーと人間力の融合による新たな街づくりを目指しています。2030年の竣工に向けて、港区の新たなランドマークとなることが期待されています。
三田五丁目西地区再開発事業の概要と社会的意義
事業の基本情報と立地特性
三田五丁目西地区第一種市街地再開発事業は、東京都港区三田五丁目及び白金一丁目各地内に位置する約1.3ヘクタールの区域で実施される 都市計画事業です。本地区は地下鉄白金高輪駅の近傍という極めて利便性の高い立地にありながら、これまで住宅・業務・商業・工場等の多様な土地利用が混在し、細街路による都市基盤の脆弱性が課題となっていました。
当該地区の最大の特徴は、木造建築物の密集による 防災上のリスクを抱えていることです。老朽化した建物が細街路に面して密集している状況は、災害時における避難経路の確保や消防活動の妨げとなる可能性があります。このような都市部特有の課題を解決するため、市街地再開発法に基づく 抜本的な都市基盤の再構築が必要とされていました。
立地面での優位性として、白金高輪駅へのアクセスの良さが挙げられます。東京メトロ南北線と都営三田線が乗り入れる白金高輪駅は、都心部への交通利便性が極めて高く、職住近接のライフスタイルを実現できる貴重なエリアです。また、近隣には白金ザ・スカイ(地上45階、高さ156.10メートル)などの高級住宅街としての基盤が既に形成されており、本プロジェクトはこの地域価値をさらに向上させる役割を担っています。
住友不動産の参画と事業推進体制
本事業において注目すべきは、住友不動産株式会社が参加組合員として参画していることです。住友不動産は、これまで事業協力者として本件まちづくりを一貫して支援してきた実績があり、豊富な再開発事業のノウハウと財務基盤の安定性を有しています。同社の参画により、事業の確実性と品質の向上が期待されます。
施行者である三田五丁目西地区市街地再開発組合は、東京都港区三田五丁目14番18号に所在し、2025年7月11日に東京都から設立認可を受けました。組合設立により法人格を得て、市街地再開発事業の施行者として本格的な事業推進が可能となります。この組合方式による事業実施は、地域住民の意向を反映しながら、専門的な事業運営を実現する 最適な事業スキームといえます。
項目 | 詳細 |
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事業名 | 東京都市計画事業 三田五丁目西地区第一種市街地再開発事業 |
施行者 | 三田五丁目西地区市街地再開発組合 |
参加組合員 | 住友不動産株式会社 |
施行地区 | 東京都港区三田五丁目及び白金一丁目各地内 |
地区面積 | 約1.3ヘクタール |
総事業費 | 約770億円 |
建物規模 | 地上45階、地下2階、高さ167.5メートル |
事業効果と都市機能の向上
三田五丁目西地区再開発事業は、単なる建物の高層化ではなく、三つの重要な事業効果実現することを目的としています。これらの効果は、地域住民の生活の質向上と都市全体の持続可能性に寄与する包括的なアプローチとなっています。
第一の効果は、木造建築物の密集の解消による防災性の向上です。現在の地区内には老朽化した木造建築物が密集しており、火災発生時の延焼リスクや地震時の倒壊リスクが懸念されています。敷地の整序・集約化により、これらの建物を不燃化された高層建築物に集約することで、地域全体の防災性能を飛躍的に向上させることができます。また、工場機能と居住機能の混在も解消され、より安全で快適な住環境が実現されます。
第二の効果は、安全で快適な歩行者ネットワークの形成です。現在の細街路による交通環境の課題を解決するため、都道の交差点を再整備し、横断歩道の短縮や安全な歩行空間を創出します。区道においても道路拡幅整備とあわせて歩道を整備し、敷地外周に歩道状空地を配置することで、歩行者の安全性と快適性を大幅に向上させます。これにより、高齢者や子育て世代にとっても安心して移動できる環境が整備されます。
第三の効果は、街区公園規模の緑豊かなオープンスペースの創出です。既存の児童遊園を移設拡張し再整備するとともに、児童遊園と一体的に利用できる広場を配置します。さらに、低層部屋上に屋上庭園を整備し、児童遊園・広場からアクセス可能な構造とすることで、約2,500平方メートルの街区公園規模の緑豊かな空間を創出します。この空間は、様々な世代の地域住民にとって憩いと交流の場となるとともに、災害時の避難場所としての機能も担います。
建物計画と施設構成
計画建物は地上45階、地下2階、高さ167.5メートルの超高層複合施設として設計されています。延べ面積は約75,000平方メートルに及び、住宅、事務所、店舗、工場、駐車場等の多様な用途を包含する複合用途建築物となります。この規模は、港区内でも有数の大型開発プロジェクトに位置づけられます。
公共施設整備として、区画道路2号(幅員8メートル)の整備と児童遊園(面積約960平方メートル)等の再整備が計画されています。これらの都市基盤施設の充実により、地域全体の利便性と安全性が向上します。特に、道路拡幅による交通環境の改善は、緊急車両のアクセス向上にも寄与し、防災面での効果も期待されます。
建物の設計においては、環境負荷の軽減とエネルギー効率の向上にも配慮されています。最新の建築技術と設備システムを導入することで、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)やBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)等の環境認証取得を目指しています。これは、持続可能な都市開発の観点から極めて重要な取り組みです。
地域コミュニティとの協働
本事業の最も特筆すべき点は、地域住民が主体となって推進してきたことです。2016年の再開発協議会発足から約9年間にわたり、地域住民と事業者、行政が一体となって検討を重ねてきました。このボトムアップ型のまちづくりは、住民の真のニーズを反映した計画の実現を可能にしています。
地域住民の参画により、単なる物理的な環境改善だけでなく、コミュニティの絆の強化も図られています。新たに整備される広場や屋上庭園は、地域イベントや交流活動の場として活用され、多世代間の交流促進に寄与します。また、商店街の再整備による賑わいの創出も計画されており、地域経済の活性化効果も期待されます。
事業スケジュールと段階的推進
三田五丁目西地区再開発事業は、明確なマイルストーンに基づいて段階的に推進されます。2025年7月11日の組合設立認可を皮切りに、2025年度中に権利変換計画認可を取得し、2026年度の工事着手、そして2030年度の建物竣工という5年間のプロジェクト期間が設定されています。
権利変換計画認可は、再開発事業における最も重要な手続きの一つです。この段階で、従前の土地・建物の権利者が新しい建物における権利を取得する具体的な内容が確定します。権利変換計画の策定においては、従前資産の適正な評価と権利者の意向を十分に反映することが求められ、公平性と透明性を確保した手続きが実施されます。
工事着手後は、約4年間の建設期間を経て2030年度の竣工を目指します。この期間中は、周辺地域への工事影響の最小化と安全管理の徹底が重要な課題となります。住友不動産の豊富な施工管理経験により、近隣住民への配慮を最優先とした工事運営が実施される予定です。
時期 | 主要な手続き・工程 | 内容 |
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2025年7月 | 組合設立認可 | 東京都による市街地再開発組合の設立認可 |
2025年度 | 権利変換計画認可 | 従前権利者の新建物における権利内容の確定 |
2026年度 | 工事着手 | 解体工事・建設工事の開始 |
2030年度 | 建物竣工 | 施設完成・引き渡し・入居開始 |
不動産投資としての価値分析
三田五丁目西地区再開発事業は、不動産投資の観点からも極めて魅力的なプロジェクトです。港区という都心立地、白金高輪駅という交通利便性、そして総事業費770億円という事業規模は、長期的な資産価値の向上を期待できる要素が揃っています。
立地面での投資価値として、港区は東京都内でも最も地価が安定しているエリアの一つです。特に白金・麻布エリアは、国際的な居住地としてのブランド価値が確立されており、海外投資家からの需要も継続的に見込まれます。白金高輪駅周辺は、今後も都市再生の拠点として発展が期待される地域であり、本プロジェクトはその中核的な役割を担うことになります。
建物仕様の面では、地上45階という 希少性の高い超高層建築であることが大きな付加価値となります。港区内でこの規模の新築物件が供給される機会は限られており、供給希少性による価値プレミアムが期待されます。また、最新の建築技術と設備仕様により、長期にわたって競争力を維持できる持続可能な投資対象となることが予想されます。
賃貸需要の面では、都心部への通勤利便性と住環境の質の高さにより、安定した賃貸収益が見込まれます。特に、外資系企業の駐在員や高所得者層からの需要が期待され、相場を上回る賃料設定も可能と考えられます。また、商業・業務機能も併設されることで、複合的な収益機会を享受できる点も投資魅力の一つです。
周辺開発との相乗効果
三田五丁目西地区再開発事業は、周辺で進行中の複数の再開発プロジェクトとの相乗効果も期待されます。近隣の白金ザ・スカイをはじめ、三田三・四丁目地区や三田小山町西地区でも再開発事業が計画されており、エリア全体の価値向上が進んでいます。
これらの開発プロジェクトが相次いで完成することで、白金高輪駅周辺は新たな都市拠点として生まれ変わります。商業施設の充実、交通インフラの改善、緑地空間の拡充により、居住環境と投資環境の両面で大幅な向上が実現されます。このような 面的な開発効果は、個別プロジェクトの価値を相互に押し上げる重要な要因となります。
また、港区が推進する「国際都市港区」 の実現に向けた各種施策とも連動しており、国際的な都市競争力の向上に寄与します。多言語対応の公共サービス、国際教育機関の誘致、文化・芸術施設の充実などにより、グローバルな居住・投資需要の取り込みが期待されます。
まとめ:持続可能な都市開発モデルとしての意義
三田五丁目西地区第一種市街地再開発事業は、21世紀の都市開発のあるべき姿を示す先進的なプロジェクトです。総事業費770億円を投じて実現される地上45階の超高層複合施設は、単なる建物の建設を超えて、地域コミュニティの再生と都市機能の向上を同時に実現する 包括的な街づくりの模範例となります。
本事業の最大の特徴は、地域住民主体のボトムアップ型開発であることです。2016年の再開発協議会発足から9年間にわたる地域の合意形成プロセスは、真に住民のニーズに応える開発を可能にしました。住友不動産の参画により、専門性と地域性の両立が実現され、持続可能な事業運営の基盤が構築されています。
防災性の向上、歩行者ネットワークの形成、緑豊かなオープンスペースの創出という 三つの事業効果は、都市部が抱える共通課題の解決策として、他の地域への展開可能性も秘めています。特に、街区公園規模の緑地空間の創出は、都市部における ヒートアイランド現象の緩和や生物多様性の保全にも寄与する重要な取り組みです。
投資価値の観点からは、港区という立地優位性、白金高輪駅の交通利便性、そして希少性の高い超高層建築という 三つの価値要素が長期的な資産価値の向上を支えます。2030年の竣工に向けて、周辺開発との相乗効果により、エリア全体の価値向上が期待されます。
私たちINA&Associates株式会社は、「人財投資カンパニー」として、このような社会的価値の高い開発プロジェクトを通じて、関係する全ての人々の成長と豊かさの実現に貢献してまいります。三田五丁目西地区再開発事業は、テクノロジーと人間力の融合による新たな価値創造の実例として、今後の都市開発の指針となることでしょう。
不動産投資をご検討の皆様におかれましては、このような 長期的視野に立った価値創造の観点から、投資判断を行われることをお勧めいたします。単なる短期的な収益追求ではなく、持続可能な社会の実現に寄与する投資こそが、真の意味での 資産価値の向上をもたらすものと確信しております。

稲澤大輔
INA&Associates株式会社 代表取締役。大阪・東京・神奈川を拠点に、不動産売買・賃貸仲介・管理を手掛ける。不動産業界での豊富な経験をもとに、サービスを提供。 「企業の最も重要な資産は人財である」という理念のもと、人財育成を重視。持続可能な企業価値の創造に挑戦し続ける。 【取得資格(合格資格含む)】 宅地建物取引士、行政書士、個人情報保護士、マンション管理士、管理業務主任者、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、賃貸不動産経営管理士、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者、不動産コンサルティングマスター