個人の超富裕層のお客様を中心に、不動産を通じた資産形成のサポートをさせていただいております。INA&Associates株式会社が日々多くのお客様と接する中で、「富裕層は、なぜ不動産を所有するのか」「どのような哲学に基づいて不動産を選んでいるのか」といったご質問をいただく機会が少なくありません。
先行き不透明な経済状況の中、株式や債券といった伝統的な金融資産に加え、実物資産である不動産の価値に改めて注目が集まっています。しかし、その一方で、不動産投資には専門的な知識が必要であり、誰もが成功できるわけではない、というのもまた事実です。
そこで本記事では、これまで弊社が培ってきた知見に基づき、富裕層が実践する不動産の「持ち方」の哲学と、その具体的な戦略について、専門的な視点から平易に解説いたします。本記事が、皆様の資産形成戦略の一助となれば幸いです。
富裕層が不動産を「持つ」7つの戦略的理由
富裕層が資産ポートフォリオに不動産を組み入れる理由は、単に「儲かるから」という短絡的なものではありません。そこには、資産を保全し、着実に成長させるための、より深く戦略的な意図が存在します。ここでは、その代表的な7つの理由を解説します。
- 安定的なインカムゲインの確保: 株式の配当や債券の利子と比較して、不動産から得られる家賃収入は景気変動の影響を受けにくく、安定的です。富裕層は、資産を守りながらコンスタントなキャッシュフローを生み出す、この「安定性」を高く評価します。
- ポートフォリオの多様化: 不動産市場は、株式市場や債券市場とは異なる値動きをする傾向があります。金融資産と不動産を組み合わせることで、資産全体のリスクを分散し、市場の急変に対する耐性を高めることができます。
- 税制優遇の活用: 不動産投資は、様々な税制上の優遇措置が設けられており、効果的な節税対策となり得ます。特に、減価償却費の計上による所得税の圧縮や、相続時における評価額の圧縮効果は、高所得者である富裕層にとって大きな魅力です。
- 戦略的な相続対策: 現金や金融資産をそのまま相続する場合と比較して、不動産は相続税評価額を大幅に低く抑えることが可能です。これにより、次世代への円滑な資産承継を実現します。
- レバレッジ効果の最大化: 金融機関からの融資を利用することで、自己資金だけでは成し得ない規模の投資が可能になります。富裕層は、その高い信用力を活かして有利な条件で融資を引き出し、自己資金効率を飛躍的に高めています。
- インフレーションへのヘッジ: インフレは、現金の価値を目減りさせます。一方、不動産のような実物資産の価値や家賃は、物価の上昇に伴って上昇する傾向があるため、インフレリスクから資産を守る「ヘッジ」として機能します。
- 実物資産としての永続性: 不動産は、その名の通り「動かない資産」です。金融資産のように価値がゼロになるリスクが極めて低く、土地は永続的な価値を持つため、長期的な資産保全に適しています。
富裕層の不動産哲学:短期的な利益より長期的な価値創造
成功を収めている富裕層の不動産投資には、共通する「哲学」が存在します。それは、目先の利益に一喜一憂するのではなく、10年、20年、さらには世代を超えて価値を生み出し続ける「真の資産」を構築するという、長期的かつ大局的な視点です。
「負債」ではなく「資産」となる不動産の見極め
投資家のロバート・キヨサキ氏が述べたように、「資産はあなたのポケットにお金を入れ、負債はあなたのポケットからお金を取っていく」ものです。富裕層は、この定義を徹底し、継続的にキャッシュフローを生み出し、資産全体の価値を高める不動産を「資産」と見なします。たとえ高利回りであっても、空室リスクや修繕リスクが高く、結果的に手出しが多くなる物件は「負債」と判断されるのです。
都心の一等地や再開発エリアへの集中投資
富裕層が投資対象として特に好むのは、人口が集中し、経済活動が活発な都心の一等地 です。これらのエリアは、賃貸需要が安定しているため空室リスクが低く、将来的な資産価値の上昇(キャピタルゲイン)も大いに期待できます。以下のデータは、その優位性を明確に示しています。
| エリア | 令和7年基準地価格(前年比) |
|---|---|
| 東京23区(商業地) | +13.2% |
| 多摩地区(商業地) | +5.5% |
【出典】国土交通省「令和7年都道府県地価調査」より弊社作成
このように、都心部の地価は郊外に比べて高い上昇率を示しており、長期的な資産価値の向上を狙う上で、極めて有望な市場であることがご理解いただけるかと存じます。
長期保有を前提とした「質」へのこだわり
長期的な価値創造を目指す上で、物件の「質」は極めて重要な要素です。富裕層は、単に利回りの高さだけで物件を選ぶことはありません。建物の構造、設備のグレード、管理状態、そして何よりも「立地の希少性」を重視します。なぜなら、これらの要素こそが、長期にわたって資産価値を維持し、安定した賃貸需要を確保するための基盤となるからです。
| 築年数 | 資産価値(新築時を100とした場合) |
|---|---|
| 5年 | 90~95 |
| 10年 | 80~85 |
| 20年 | 60~70 |
| 30年以上 | 40~50(ただし、立地により大きく異なる) |
【注】上記は一般的な傾向であり、物件の管理状態や立地条件によって大きく変動します。
建物の価値は経年と共に減少しますが、都心の一等地など、土地の価値が高い物件であれば、建物価値の減少を土地価値の上昇が上回り、トータルでの資産価値は維持、あるいは上昇する可能性が高まります。
まとめ:戦略的な不動産ポートフォリオで資産の最大化を
本記事では、富裕層が実践する不動産の「持ち方」について、その哲学と具体的な戦略を解説いたしました。
重要なのは、不動産を単なる「点」として捉えるのではなく、ご自身の資産全体のポートフォリオにおける「戦略的なパーツ」として位置づけることです。インカムゲインを狙うのか、キャピタルゲインを重視するのか。節税や相続対策といった目的をどう組み込むのか。これらの目的を明確にし、長期的な視点から最適な不動産ポートフォリオを構築することが、資産を最大化するための鍵となります。
不動産投資は、決して簡単な道のりではありません。しかし、正しい知識と哲学に基づき、信頼できるパートナーと共に戦略を立てることで、皆様の資産形成における強力なエンジンとなり得ます。INA&Associates株式会社では、お客様一人ひとりの状況と目標に合わせた、オーダーメイドの不動産コンサルティングを提供しております。ご自身の不動産戦略について、より深く検討されたい方は、ぜひ一度、弊社までお気軽にご相談ください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 不動産投資を始めるには、どのくらいの自己資金が必要ですか?
A1. 一概には言えませんが、物件価格の10%~20%程度の自己資金をご用意いただくのが一般的です。ただし、お客様の属性や金融機関の評価によっては、より少ない自己資金で始められる場合もございます。重要なのは、無理のない資金計画を立てることです。
Q2. 地方の物件と都心の物件、どちらがおすすめですか?
A2. 投資目的によって異なります。地方の高利回り物件でインカムゲインを狙う戦略もございますが、長期的な資産価値の安定性や流動性(売却のしやすさ)を重視する場合、弊社では人口減少リスクが低く、賃貸需要が旺盛な都心の物件をおすすめしております。
Q3. 管理はすべてお任せできますか?
A3. はい、可能でございます。弊社では、賃貸募集から入居者対応、建物管理、家賃の集金代行まで、ワンストップでサポートする管理サービスを提供しております。オーナー様の手を煩わせることなく、安定した不動産経営を実現いたします。
稲澤大輔
INA&Associates株式会社 代表取締役。大阪・東京・神奈川を拠点に、不動産売買・賃貸仲介・管理を手掛ける。不動産業界での豊富な経験をもとに、サービスを提供。 「企業の最も重要な資産は人財である」という理念のもと、人財育成を重視。持続可能な企業価値の創造に挑戦し続ける。 【取得資格(合格資格含む)】 宅地建物取引士、行政書士、個人情報保護士、マンション管理士、管理業務主任者、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、賃貸不動産経営管理士、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者、不動産コンサルティングマスター