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    渋谷の未来を創る国際競争力の核 〜渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業の展望〜

    渋谷は常に変化し続ける街です。その中でも近年、渋谷駅周辺では様々な再開発プロジェクトが進行しており、都市としての魅力と国際競争力を高めています。今回は、私たちINA&Associates株式会社の不動産市場分析として、「渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業」についてご紹介します。この事業は渋谷駅東側(青山側)で進行中の大規模再開発プロジェクトであり、渋谷の街の新たな顔となる可能性を秘めています。

    事業の概要

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    sub5-1渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業は、東京都渋谷区渋谷2丁目地内で進められている大規模再開発事業です。この事業は「Shibuya REGENERATION Project」と銘打たれ、A・B街区の市街地再開発事業とC街区の任意共同化事業で構成されています。

    事業主体は、渋谷二丁目西地区市街地再開発組合で、参加組合員として東京建物と都市再生機構(UR)が加わっています。2023年1月31日に東京都知事より組合設立の認可を受け、組合設立総会を経て市街地再開発組合が設立されました。

    敷地面積は約18,800㎡、延床面積は約322,200㎡にも及び、渋谷エリアでは最大規模の計画となっています。

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    各街区の特徴

    A街区

    • 地上5階、地下1階、高さ約50m
    • 延床面積:約4,200㎡(約2,940㎡に変更)
    • 主な用途:店舗等
    • 特徴:斬新なデザインの屋外施設と階段状の上空広場を整備。イベント等でも活用できるよう地域に開放される計画

    B街区

    • 地上41階、地下4階、高さ約208m
    • 延床面積:約255,000㎡(約246,850㎡に変更)
    • 主な用途:事務所、店舗、ホテル、人材育成施設、バスターミナル、熱源機械室、駐車場等
    • 特徴:中高層部にオフィス、低層部にホテルや人材育成施設、店舗、バスターミナルを配置。大屋根のある広場も整備予定

    C街区(任意の共同建て替え事業)

    • 地上41階、地下2階、高さ約175m
    • 延床面積:約63,000㎡
    • 主な用途:住宅、生活支援施設等
    • 特徴:外国人ビジネスワーカー等の中長期滞在の需要を満たす国際水準の居住施設(国家戦略住宅)を整備

    事業の意義とポテンシャル

    この再開発事業の最大の特徴は、「人材」を中心に据えた都市機能の創出です。B街区には人材育成施設が設けられ、IT・クリエイティブ産業におけるビジネス拠点としての発展に向けた次世代イノベーション創出の核となることが期待されています。

    また、この事業では以下のような都市機能の向上も図られます:

    1. 広域交通機能の強化:国際空港や地方都市を結ぶバスターミナルの整備
    2. 回遊性の向上:渋谷駅中心地区から周辺市街地へデッキレベルでつながる歩行者ネットワークの整備
    3. にぎわい創出:渋谷駅周辺のにぎわいと憩いの核となる大規模広場の整備
    4. 国際競争力の向上:ビジネス・観光での短期滞在ニーズを満たす国際水準の宿泊施設、高度人材の入居を促す国際水準の居住施設の整備
    5. 防災対応力の強化:帰宅困難者の一時滞在施設や自立・分散型エネルギーシステムの導入
    6. 環境負荷低減:建物の省エネルギー化等の取組み

    事業の進捗と今後のスケジュール

    現在、B街区の「みずほ銀行渋谷事務センター」(地上20階、地下4階、高さ91.81m)の解体工事が2025年3月から開始されました。施工はゼクオスが担当し、解体工期は2026年12月25日までとなっています。

    今後のスケジュールは以下の通りです:

    • 2025年度:権利変換計画認可、建築工事着工
    • 2029年度:建築工事完了(竣工予定)

    都市開発における人財の重要性

    INAでは、企業の価値を創造するのは「人財」であると常に考えています。同様に、都市の価値を高めるのも「人財」です。渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業は、単なる箱物開発ではなく、人材育成拠点や国際水準の居住施設を整備することで、国際競争力のある人材を惹きつける都市づくりを目指しています。

    結びに

    渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業は、総事業費約1,800億円にも及ぶ大規模プロジェクトです。渋谷駅周辺では「渋谷スクランブルスクエア」(地上47階、高さ229.706m)に次ぐ高さとなるB街区のタワー(高さ約208m)は、新たなランドマークとなることでしょう。

    不動産業界に身を置く者として、この再開発が渋谷の街にもたらす変化と可能性に大きな期待を寄せています。特に「人財」を中心に据えた都市開発の視点は、今後の都市再開発のモデルケースとなり得るものです。

    私たちINAは、このような都市開発の動向を注視しながら、不動産市場の分析と展望を皆様にお伝えしていきます。渋谷の未来を創るこの壮大なプロジェクトの進展を、引き続き見守っていきましょう。

    稲澤大輔

    稲澤大輔

    INA&Associates株式会社 代表取締役。大阪・東京・神奈川を拠点に、不動産売買・賃貸仲介・管理を手掛ける。不動産業界での豊富な経験をもとに、サービスを提供。 「企業の最も重要な資産は人財である」という理念のもと、人財育成を重視。持続可能な企業価値の創造に挑戦し続ける。