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    Z世代・ミレニアル世代が変える不動産市場|所有より体験を重視する新しい住宅観とは

    現代の日本社会において、特に若い世代であるミレニアル世代(1980年代~1990年代半ば生まれ)やZ世代(1990年代後半~2010年頃生まれ)を中心に、不動産に対する価値観が大きく変化しています。かつては「マイホームを持つこと」が成功の証とされ、多くの人がそれを目標としてきました。しかし、現代の若者たちは、必ずしも「所有」にこだわらず、むしろ暮らしにおける「体験」や「自由」を重視する傾向が強まっています。

    本記事では、INA&Associates株式会社として、この新しい世代の住宅観が不動産市場にどのような影響を与えているのか、そして私たち不動産業界がどのように対応していくべきかについて、専門的な知見を交えながら平易に解説します。

    「所有」から「体験」へ:Z世代が示す新しい住宅価値観

    Z世代は、生まれたときからデジタル技術やSNSが身近にある「デジタルネイティブ」です。彼らの価値観は、情報へのアクセス方法、コミュニケーションの取り方、そしてライフスタイルの選択において、それ以前の世代とは一線を画します。この世代の住宅に対する考え方の根底には、「モノの所有」よりも「コト(体験)の豊かさ」を求める志向があります。

    彼らは、一つの場所に縛られる生き方よりも、自身のキャリアプランやライフステージの変化に応じて、住む場所を柔軟に変えたいと考えています。終身雇用が当たり前ではなくなり、転職や独立、あるいは海外移住さえも現実的な選択肢となる中で、35年といった長期の住宅ローンを組んで不動産を「所有」することは、人生の自由度を制約する「リスク」と捉えられることがあります。

    この価値観の変化は、実際のデータにも表れています。株式会社リクルートの調査によれば、Z世代は他の世代に比べて賃貸住宅を好む割合が高いことが示されています。しかし、これは単に住宅購入に消極的であるという意味ではありません。むしろ、彼らは不動産を「居住するための場所」としてだけでなく、「資産」として冷静に評価する視点を持っています。

    不動産市場に与える影響と変化

    「所有」から「体験」へという価値観のシフトは、不動産市場全体に構造的な変化を促しています。この変化は、賃貸市場、売買市場、そして不動産関連サービスに至るまで、多岐にわたります。

    1.賃貸市場の多様化と活性化

    住み替えへの抵抗が少ないZ世代やミレニアル世代の増加は、賃貸市場の活性化に直結します。彼らは単に「住む」だけでなく、家具・家電付きの物件や、コワーキングスペースが併設された物件、さらにはコミュニティ形成を支援するサービスが付帯した「ソーシャルアパートメント」など、付加価値の高い賃貸物件を求めています。

    このようなニーズに応えるため、不動産オーナーや管理会社は、物件のリノベーションやサービスの拡充に力を入れる必要に迫られています。

    2.「資産性」を重視した不動産投資の広がり

    一方で、若者世代が不動産購入に全く興味がないわけではありません。総務省の家計調査によると、20代の持ち家率は7年連続で上昇しており、2023年度には過去最高を記録しました。これは、彼らが将来の経済的な安定を求め、不動産を「資産」として捉える傾向が強まっていることの表れです。

    特に、低金利が続く現代において、若いうちから不動産投資を始めることは、将来への備えとして合理的な選択肢と認識されています。彼らは、居住用の物件であっても、将来的な売却や賃貸運用を見据え、資産価値が落ちにくい都心部や駅近の物件を選ぶ傾向があります。

    3.リノベーション・中古市場の拡大

    新築物件にこだわらず、中古物件を購入して自分たちのライフスタイルに合わせてリノベーションすることにも積極的です。画一的な間取りの新築物件よりも、自分たちの個性を反映できる中古物件の方が、彼らにとって「体験価値」が高いと感じられるのです。この傾向は、中古住宅市場の活性化と、リノベーション業界の成長を後押ししています。

    不動産業界が取るべき対応策

    このような市場の変化に対応するため、私たち不動産業界もまた、従来のビジネスモデルから脱却し、新しい価値を提供していく必要があります。INA&Associates株式会社では、以下の3つの視点が重要であると考えています。

    第一に、柔軟な住宅ソリューションの提供です。従来の長期的な住宅ローンだけでなく、短期的な賃貸契約、あるいは「リースバック」や「シェアハウス」といった、所有と賃貸の中間に位置するような新しい契約形態を提案していくことが求められます。これにより、顧客は自身のライフプランに合わせて、最適な住まい方を柔軟に選択できるようになります。

    第二に、体験価値を高める物件の企画・仲介です。私たちは、単に物件のスペックを説明するだけでなく、その物件でどのような「体験」ができるのかを具体的に提案する必要があります。例えば、「趣味のDIYが存分に楽しめる庭付きの物件」や、「友人を招いてホームパーティーが開ける広々としたリビングを持つ物件」など、顧客のライフスタイルに寄り添った提案力が不可欠です。

    第三に、テクノロジーを活用した新しい顧客体験の創出です。VR(仮想現実)による内見や、AIを活用した最適な物件のマッチング、オンラインでの契約手続きなど、テクノロジーを駆使して、顧客がよりスムーズで快適に住まい探しを行える環境を整備することが重要です。これは、デジタルネイティブである若い世代の顧客満足度を向上させる上で、極めて効果的なアプローチです。

    まとめ:未来の不動産選びは「生き方選び」そのもの

    本記事では、Z世代やミレニアル世代の台頭による不動産価値観の変化と、それが市場に与える影響について解説しました。彼らは「所有」という伝統的な価値観に縛られず、自身のライフスタイルを豊かにする「体験」を重視します。この変化は、不動産業界に大きな挑戦を突きつけると同時に、新しいビジネスチャンスをもたらしています。

    重要なのは、不動産を単なる「モノ」としてではなく、顧客一人ひとりの人生を豊かにするための「プラットフォーム」として捉え直すことです。私たちINA&Associates株式会社は、お客様が理想のライフスタイルを実現できるよう、不動産のプロフェッショナルとして、常に最適なソリューションを提供し続けることをお約束します。

    不動産の購入や売却、あるいは賃貸に関するご相談はもちろんのこと、ご自身のライフプランに合った住まい方についてお悩みでしたら、どうぞお気軽に当社までお問い合わせください。専門知識と豊富な経験を持つスタッフが、お客様一人ひとりに寄り添ったご提案をさせていただきます。

    よくある質問

    Q1.Z世代やミレニアル世代でも、住宅ローンを組んで家を購入することは可能ですか?
    A1.はい、可能です。近年は、若年層向けの住宅ローン商品も増えています。ただし、無理のない返済計画を立てることが重要です。専門家であるファイナンシャルプランナーや不動産会社の担当者と相談し、ご自身の収入やライフプランに合った資金計画を検討することをお勧めします。
    Q2.賃貸と購入、結局どちらがお得なのでしょうか?
    A2.一概にどちらがお得とは言えません。住む期間や場所、ライフスタイルによって最適な選択は異なります。短期的な居住やライフスタイルの変化を重視するなら賃貸、長期的な資産形成や安定した住環境を求めるなら購入が適している場合があります。それぞれのメリット・デメリットを比較検討することが大切です。
    Q3.若いうちから不動産投資を始めるメリットは何ですか?
    A3.主なメリットとして、①長期的な視点で資産形成ができる、②ローンを活用することで少ない自己資金で始められる(レバレッジ効果)、③インフレ対策になる、などが挙げられます。ただし、空室リスクや価格変動リスクも伴うため、始める前には十分な知識の習得と専門家への相談が不可欠です。
    稲澤大輔

    稲澤大輔

    INA&Associates株式会社 代表取締役。大阪・東京・神奈川を拠点に、不動産売買・賃貸仲介・管理を手掛ける。不動産業界での豊富な経験をもとに、サービスを提供。 「企業の最も重要な資産は人財である」という理念のもと、人財育成を重視。持続可能な企業価値の創造に挑戦し続ける。 【取得資格(合格資格含む)】 宅地建物取引士、行政書士、個人情報保護士、マンション管理士、管理業務主任者、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、賃貸不動産経営管理士、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者、不動産コンサルティングマスター