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    なぜ富裕層の成功者は一棟アパート投資を選ぶのか?

    一棟まるごとアパートを所有する投資は、高資産層に支持されるだけの明確な理由があります。以下に主なポイントを挙げます。

    • 安定したキャッシュフローと分散効果: アパート一棟には複数の居室があるため、家賃収入源が分散されます。一部の空室が発生しても他の部屋から収入が入るため、空室による収入ゼロのリスクが低く、安定した賃料収入を得られます。住宅需要は景気に極端に左右されにくく、人々の「住まい」のニーズに支えられるため、株式のように急変動しづらい点も魅力です。

    • 高い収益性とレバレッジ効果: 一棟アパートは一度の投資で複数戸分の家賃を得られるため、総収入が大きく高利回りを期待できます。特に地方や郊外の中古アパートは都心ワンルームより表面利回りが高い傾向があり、資金力のある富裕層にとって効率的な運用先となります。また、銀行融資を活用しやすいのも富裕層ならではの利点です。自己資金に融資を組み合わせてレバレッジをかければ、少ない自己資金で大きな資産を運用でき、資産拡大のスピードを上げられます。もっとも借入が過大になれば金利上昇時に収益悪化のリスクも増すため、融資の使い方には計画性が必要です。

    • 大規模な資産形成を少ない手間で実現: 資産数億円規模を目指す場合、ワンルーム区分を何十戸も買い集めるより、一棟物件を数棟取得した方が取引回数が少なく効率的です。一棟購入でも売買契約や融資手続きなどプロセスは区分と大差ないため、同じ資産規模なら取引数の少ない一棟物の方が手間がかからないと言えます。例えば年収1,200万円以上・金融資産3,000万円以上あるような高所得者なら、区分を小刻みに買い増すより最初から一棟アパートでまとめて運用した方が時間効率も良く、成功者ほど一棟投資を選ぶ傾向があります。

    • オーナーの裁量で資産価値を向上できる: 区分マンションと異なり、一棟アパートでは建物全体を自分の判断で管理できます。例えば賃料設定やリフォーム、共用設備の改善、大規模修繕の時期などをオーナーの裁量で決定可能です。入居率を上げる施策や賃料アップのための投資を自ら実行できるため、中長期的に見て物件の資産価値や収益性を高めやすいメリットがあります。これは区分所有では管理組合の決定に依存する部分であり、一棟所有ならではの強みです。

    以上のような理由から、「儲かっている人ほど一棟アパートに投資している」とも言われます。高収入かつ多忙なビジネスパーソンにとって、手間を抑えつつ安定収益と節税メリットを享受できる一棟アパート投資は魅力的な選択肢となっています。

    他の不動産投資と比較した一棟アパートの優位性

    不動産投資には、一棟アパートのほかにも区分マンション(マンションの一室)投資や戸建て住宅の賃貸投資など様々な形態があります。富裕層がそれらより一棟アパートを選ぶのはなぜか、他の投資手法との比較で優れている点を見てみましょう。

    区分マンション投資との比較

    • 利回りの違い: 一般的に投資利回りは一棟アパートの方が高いケースが多いです。同程度の立地・築年数であれば、一棟物は総投資額が大きく買い手が限られる分だけ割安に評価されやすく、結果として利回りが高くなる傾向があります。一方、区分マンションは競争が激しく人気エリアでは利回りが圧縮されがちです。また空室になると収入がゼロになる点で、一棟に比べ空室リスクの影響が直接的と言えます。

    • 流動性(売却のしやすさ)の違い: 売却の出口戦略を立てやすいのは区分マンションのメリットです。購入希望者が多く融資も付きやすいため、売りたい時に比較的現金化しやすい傾向があります。一棟アパートは価格が大きい分、買える人が限られて流動性は低めです。ただし注意すべきは、ローン残債以下の価格でしか売れない物件だと区分でも売却できない点です。特にフルローンで買った新築ワンルームは残債割れで「売るに売れない」状態に陥る例もあり、出口を確保するには購入時から慎重な物件選びが必要です。

    • 管理・運用面の裁量: 区分所有では自分の部屋以外の共用部管理や建物修繕の判断は管理組合に委ねられます。一棟所有なら建物全体の運営を自分の裁量でコントロールできるため、入居促進や価値向上の施策を自由に打てる利点があります。例えば老朽化した設備をオーナー判断で更新して魅力を高めたり、空室対策を機動的に講じたりできます。これは区分投資にはない強みで、収益改善の余地を自ら作り出せる点で一棟物が優位です。

    • 規模拡大の効率: 資産規模を増やす効率という面でも、一棟アパートに軍配が上がります。区分マンションは1戸ずつしか増やせず、同じ投資額なら取引件数が多く手間がかかるのが難点です。一棟物なら1回の購入で戸数をまとめて増やせるため、忙しい富裕層でも効率よくポートフォリオを拡大できます。

    • 減価償却による節税効果: 節税面では木造が多い一棟アパートの方が有利です。木造(法定耐用年数22年)は短期間で減価償却できるため毎年の経費計上額が大きくなり、所得圧縮効果が高まります。一方、区分マンションはRC造が大半で耐用年数47年と長く、年間償却額が小さいため節税効果は限定的です。したがって高所得者にとって所得税対策としては一棟アパートが適していると言えます。

    以上から、ローン審査に通る資産力があり長期運用を見据えるなら、一棟アパートの方が総合的なメリットが大きいことが分かります。一方で「少額から始めてすぐ売却もしやすい」という区分投資の手軽さも事実なので、自身の資産規模・経験値に応じて選択すべきでしょう。

    戸建て投資との比較

    近年、地方の中古戸建て(いわゆる「ボロ戸建て」)を格安で買い取りリフォームして高利回りで貸し出す手法も個人投資家の間で流行しています。一棟アパートとの主な違いは投資規模手間の面です。

    • 利回り・収益性: 戸建て賃貸は物件次第では驚異的な高利回りも可能です。地方の築古戸建てを安く仕入れて再生できれば表面利回り50%以上のケースすら見られ、一棟アパートより利回りの上限は高いと言えます。20%超えの高利回り物件も、数だけ見ればアパートより戸建ての方が圧倒的に多いでしょう。しかしそのような物件は競合も多く、初心者が簡単に見つけられるものではありません。また一戸あたりの家賃収入は小さいため、どんなに利回りが高くても得られる利益額は年間数十万円レベルに留まりがちです。一方、一棟アパートは戸数が多く絶対額のキャッシュフローが大きいため、富裕層が求めるリターン規模を実現しやすいという違いがあります。

    • 必要な手間・運用難易度: 戸建て投資は物件探しからリフォーム手配まで自力で動く部分が多いため、不動産投資というより「事業」に近い労力が必要です。流通市場が整備されておらず業者頼みでは良い戸建てが見つからないこと、工事費も規模が小さいと割高になりやすく自分で動かないと収支が合わないことなど、初心者にはハードルが高めです。その点、一棟アパートは不動産会社から情報提供を受けやすく、管理も委託しやすいため本業が忙しい人でも参入しやすいと言えます。実際、高所得の会社員や経営者には戸建てよりアパート経営の方が適しているケースが多いです。

    • 流動性(売却しやすさ): 戸建て賃貸は投資用だけでなく実需(マイホーム)として売却できるため、比較的買い手が付きやすい側面があります。価格帯も低いため現金化しやすく、一般的に戸建ては流動性が高めと言えます。しかし市場の未成熟さゆえに「流動性が高いのに高利回り」のケースも多く、需要があるのに利回りも良いという戸建て特有のチャンスも存在します。一棟アパートも立地次第では十分売却しやすいですが、買い手は基本的に投資家に限られるため、流動性では戸建てに一歩譲るでしょう。ただし前述の通り、一棟アパートは相続対策として長期保有されるケースも多く、流動性はさほど重視されないこともあります。

    • 節税効果の違い: 減価償却などによる節税効果は、物件価格の規模が大きい一棟アパートが有利です。同じ税効果を得るにも戸建てでは物件数を増やさねばならず、取引ごとの手続きや管理負担を考えると効率が悪くなります。高所得者ほど効果の大きい減価償却を活かすには、一棟物件で一度にまとまった額を経費計上した方が得策と言えるでしょう。

    以上の比較から、戸建て投資は「不動産投資自体を趣味・ビジネスにできる人」向き、一棟アパート投資は「忙しくても資産運用効果を追求したい人」向きと言えます。すでに十分な資金力があり、投資を効率よく進めたい富裕層にとっては、一棟アパートの方がマッチしやすいでしょう。

    一棟アパート投資のメリットとデメリット

    一棟アパート投資には多くのメリットがありますが、当然ながら注意すべきリスクやデメリットも存在します。ここでは主なメリットとデメリットを整理します。

    メリット(長所)

    • 安定した大量の家賃収入: 前述の通り、一棟物件は複数入居からの収入でキャッシュフローが安定しています。仮に1室空室でも他の部屋から家賃収入が入るため、収益がゼロになるリスクが低いことは大きな安心材料です。また戸数分だけ月々の家賃総額も大きくなるため、まとまった不労所得を得やすくなります。

    • 高い収益性と資産価値向上の余地: 一棟買いは高利回りを期待できる投資であり、適切な運用次第でさらに収益率を高められます。オーナー自ら建物全体の管理・運営を工夫することで、入居率アップや賃料増額による資産価値の向上が可能です。例えば空室に対してリフォームや設備追加で付加価値を与えるなど、戦略次第で長期的なリターンを伸ばせる点は魅力です。

    • 節税効果・相続対策: 高額所得者ほど恩恵の大きい減価償却による節税効果を享受できます。一棟アパートは木造比率が高く毎年大きな減価償却費を計上できるため、不動産所得を赤字化して他の所得と損益通算し、所得税・住民税を軽減できます。累進課税の税率が高い富裕層ほどこの効果は絶大です。また前述の通り、不動産の相続税評価額は実勢価格より大幅に低くなるため、現金で持つより相続税額を抑制できます。このように一棟アパートは収入面だけでなく税負担面でも資産保全に寄与します。

    • インフレに強い実物資産: 不動産は実物資産であり、インフレーション時にも価値が目減りしにくい特性があります。物価や建築コストが上がれば家賃や不動産価格も上昇傾向となるため、インフレヘッジ効果を期待できます。金融資産がインフレで目減りする局面でも、賃料収入は相対的に実質価値を保ちやすく、富裕層が資産の一部を不動産で持つ理由の一つとなっています。

    • 規模拡大のしやすさ: 一棟物件は資産規模拡大を効率的に進めやすいメリットも見逃せません。たとえば1億円の資金を運用する場合、1,000万円の区分を10戸買うよりも1億円の一棟を1棟買う方が手続きは一度で済みます。複数棟を所有すれば更に収益源を増やせるため、時間のない中でスピーディに資産形成したい富裕層には有利です。

    • 専門業者によるサポート: 物件探しから管理まで、不動産会社や管理会社など専門家のサポートを受けやすいのも一棟投資のメリットです。富裕層向けに一棟収益物件を紹介・コンサルティングする業者も多く存在し、自分で細かい運営をしなくてもプロに任せて運用できる体制が整っています。忙しい中でも資産運用できる環境が整っている点も成功者が活用している理由でしょう。

    デメリット(短所・リスク)

    • 初期費用・投資金額が大きい: 一棟アパートは物件価格が数千万円から数億円に及ぶため、どうしても初期投資額が大きくなります。金融機関から融資を受けられる富裕層であっても、頭金や諸費用でまとまった現金が必要です。また購入時には物件価格以外に不動産取得税や登記費用、仲介手数料など数百万円規模の初期コストも発生します。しっかり資金計画を立て、無理のない借入額に抑えないと、返済負担で身動きが取れなくなるリスクがあります。

    • 管理・維持の手間がかかる: 一棟物のオーナーは建物全体の管理責任を負います。共有部の清掃や設備点検、入居者対応など管理業務が多岐にわたりがちです。管理会社に委託しても最終的な意思決定や費用負担はオーナーであるため、複数戸の入居者を抱える分だけ煩雑さも増します。特に築年が経てば修繕箇所も増えるため、老朽化リスクへの備えが欠かせません。一般に築12~15年ほどで外壁塗装や屋根補修など大規模修繕の時期を迎え、数百万円単位の費用が必要になります。毎月の家賃から修繕積立金をプールし、計画的にメンテナンスをしていく姿勢が重要です。

    • 空室リスクと収入変動: 戸数が多い分、満室時と空室発生時の収入差も大きくなります。例えば10戸中2戸空けば20%の収入減となり、ローン返済額とのバランス次第では手残りが大きく目減りします。地域の賃貸需要が低下した場合、一棟全体に影響が及ぶ点にも注意が必要です。特定エリアに資産が集中するため、立地選定を誤ると空室だらけで家賃収入が想定を下回るリスクがあります。そうならないために購入前の市場調査や、購入後の積極的な空室対策が重要です。

    • 流動性が低く売却しにくい: 一棟物件は売買価格が高額ゆえに個人投資家の買い手が限られ、希望のタイミングですぐ売却して現金化しにくいデメリットがあります。特に郊外物件は買い手を見つけるのに時間がかかる傾向があります。また融資を引き継ぐには購入者も高い信用力が必要なため、出口戦略には留意が必要です。急な資金ニーズに対応できない可能性がある点は、現金や上場株式など流動資産とは異なる不動産投資特有のリスクと言えます。売却しやすくするには日頃から物件の状態を良好に保ち、入居率も高く維持して資産価値をアピールできるよう努めることが大切です。

    • 金融リスク(借入金利・信用リスク): 多くの一棟投資はローン利用が前提のため、金利変動リスクがあります。変動金利型で借りている場合、市場金利が上昇すると返済額が増えて収益を圧迫する可能性があります。また購入者個人の信用状況が悪化すると追加融資や借換えが難しくなることもあります。幸い現在の低金利環境では大きな問題になりにくいものの、余裕を持った返済計画と金利上昇時の対策(固定金利への切替え検討等)は考えておくべきでしょう。

    このように一棟アパート投資にはメリットとデメリットの両面があります。重要なのは、これらを十分理解した上で対策を講じながら運用することです。適切なリスク管理と計画的な資産運用によって、デメリットを抑えつつメリットを最大化することが成功へのポイントになります。

    初心者が陥りがちな失敗とその回避策

    資産に余裕のある富裕層とはいえ、不動産投資の経験が浅い初心者は思わぬ失敗をしてしまうことがあります。ここでは、一棟アパート投資において初心者が陥りがちな典型的ミスと、その回避策を紹介します。

    • 表面利回りだけで飛びつかない: 初心者は物件広告の高い利回り数字につられて飛びつきがちですが、利回りは表面的なものだけで判断しないことが肝心です。例えば郊外の築古アパートで「想定利回り15%」とあっても、実際には空室期間や維持費を差し引くと手取りは大幅に減るケースもあります。対策としては、空室率や経費を織り込んだ実質利回り(ネット利回り)を算出し、収支シミュレーションを綿密に行うことです。物件資料の家賃想定額も楽観的すぎる場合があるため、周辺相場を調べて妥当性を検証しましょう。また極端に高利回りな物件はそれ相応の理由(立地不人気、老朽化など)があると疑い、慎重に精査することが大切です。

    • 立地条件の重要性を軽視しない: 「利回りが高いから」と需要の乏しいエリアの物件を買ってしまうのは初心者の典型的な失敗です。賃貸経営において立地選びは最重要と言っても過言ではありません。人口減少が著しい地域や最寄駅から極端に遠い立地、周辺に需要を支える大学・企業等がないエリアは空室リスクが高まります。回避策として、購入前に周辺の人口動態や賃貸ニーズ、競合物件の稼働状況を入念に調査することが不可欠です。自治体の統計データや不動産ポータルサイトを活用し、「今後も賃貸需要が見込めるエリアか」「競合過多でないか」を見極めましょう。立地に不安がある場合は、たとえ物件自体が魅力的でも思い切って見送る判断も必要です。

    • 維持管理費用・修繕計画の見落とし: 不動産は時とともに劣化し、修繕費が必ず発生します。初心者が収支計画で見落としがちなのが将来の修繕コストです。エアコンや給湯器の交換、外壁塗装、屋根防水、配管更新など、築年数の経過に応じて数百万円規模の工事が必要になります。これらを考慮せずに「家賃収入-ローン返済=儲け」と甘い見積もりを立てると、後々大規模修繕で資金ショートしかねません。回避策は、毎月のキャッシュフローから修繕積立金を確保し、長期の修繕計画を立てておくことです。購入前にも専門家による建物調査(インスペクション)を行い、近い将来必要になりそうな補修箇所と費用を把握しましょう。さらに空室リスクも織り込んで、満室想定ではなく一定の空室率を見込んだ収支シミュレーションを行うことが重要です。

    • 借入のしすぎ・資金計画の甘さ: 不動産投資ローンはレバレッジを利かせられる反面、過度な借入は危険です。初心者が陥る失敗に、自己資金ギリギリまで頭金を入れてフルローンを組み、予備資金を残さないケースがあります。予期せぬ空室や金利上昇で収支が悪化した際、手元資金が乏しいと返済に行き詰まるリスクが高まります。対処法として、余裕ある自己資金(物件価格の20%程度+予備費)を確保し、無理のない借入額に留めることが大切です。また複数物件に立て続けに融資を受けると債務超過に陥りやすくなるため、新規購入の際は既存ローンとのバランスも考慮しましょう。健全な財務状況を保つことで、将来の追加融資も受けやすくなります。

    • 知識不足による判断ミス: 不動産投資には法律・税務・融資など幅広い知識が求められます。初心者のうちは十分な知識がないまま業者任せで進めてしまい、後から不利な契約条件に気づくこともあります。例えば賃貸借契約のサブリース(一括借上げ)で家賃減額リスクの条項を見落とす、融資の金利タイプを理解せず契約する、といった失敗です。回避策は、投資家自身が勉強を続ける姿勢を持つことと、信頼できる専門家の助言を得ることです。のように不動産投資セミナーや書籍で正しい知識を身につけ、分からない点は遠慮なく不動産会社や税理士に質問しましょう。管理会社に委託できる部分は任せて自分は戦略判断に集中するなど、リスク管理はプロと二人三脚で行うのが賢明です。

    • 「まずは小さい物件から」という誤解: 高額な一棟物に尻込みして「最初は小さな区分から始めよう」と考える初心者もいます。しかし前述した通り、区分マンション投資はキャッシュフローが出にくく融資評価上も不利なため、後から一棟物に移行しようとしてもローン審査で躓く可能性があります。実際、低利回り区分をフルローンで買った結果、家賃収入がローン返済で消えてしまい、「賃貸経営がうまくいっていない」とみなされ新たな融資が下りないケースが散見されます。また区分は残債割れで売却もままならず、身動きが取れなくなる恐れもあります。富裕層で購入余力があるなら、最初から一棟アパートを選ぶ方が健全な資産拡大への近道です。

    以上のような失敗を避けるには、事前準備と計画性が何より重要です。焦って物件を買わずに市場や物件の勉強に時間をかける、専門家に相談する、シミュレーションで様々な事態を想定する、といった慎重な姿勢が成功への近道となります。最初の一棟を堅実に運用できれば、富裕層の資産力を活かして次の投資機会に繋げることも十分可能です。

    一棟アパート投資の始め方と戦略

    最後に、富裕層の初心者が一棟アパート投資を始めるにあたっての基本的なステップと戦略を示します。初めてでも失敗しにくいよう、以下の手順で進めると良いでしょう。

    1. 投資目的とゴールを明確にする: まずは「なぜ不動産投資をするのか」をはっきりさせます。短期的な家賃収入が目的なのか、長期的な資産形成なのか、あるいは節税や相続対策なのか。目的によって適切な物件タイプや運用方針が異なるため、ゴール設定は重要です。同時に自身のリスク許容度も考慮しましょう。万一損失が出ても耐えられる範囲を把握し、自己資金と借入可能額から無理のない投資予算を割り出します。富裕層であってもリスクシナリオを想定しておくことが健全な運用に繋がります。

    2. 市場リサーチと物件選定: 投資成功のカギは適切なエリア選びです。まずは国内の賃貸需要が旺盛な地域をピックアップしましょう。一般的に人口が増加している都市圏や、大学・企業が集積し若年層の流入が見込めるエリア、再開発が進んで将来性のある地域などが狙い目です。具体的には主要都市の駅近物件大学・病院周辺工業団地や企業城下町などは需要が底堅い傾向があります。エリアを絞り込んだら、そこで売りに出ている収益物件の情報を集めます。不動産会社の収益物件サイトや、一括問い合わせサービスを利用し、条件に合う中古アパート(オーナーチェンジ物件)をリストアップしましょう。物件選びでは、築年数・構造・間取り・利回りなどの基本指標に加え、時代のニーズに合った設備かも確認します。例えばバス・トイレ別やインターネット無料対応など、入居者に好まれる仕様になっているかをチェックします。古い物件でもリフォームやリノベーションで対応できる場合は、その費用を考慮したうえで投資判断します。

    3. 収支シミュレーションの作成: 候補物件が見つかったら、購入前に必ず詳細な収支計画書を作成します。不動産会社に相談すれば試算を手伝ってくれる場合もあります。年間家賃収入(満室想定)から、想定空室率・滞納率を引いて現実的な収入を見積もります。次に維持コストを計上します。固定資産税、火災保険料、管理委託料(家賃の5%前後)や将来の修繕積立、さらにローン返済額など、漏れなく経費を算出します。これらを反映した上で、手残りキャッシュフローがプラスになるか、利回りが自分の目標水準を満たすかを確認しましょう。表面利回りだけでなくローン返済後の投下資本利益率(ROI)にも着目します。シミュレーションが甘いと、実際に運用してから「思ったより儲からない」という事態になりかねません。保守的なくらいが丁度良いと心得て、複数のシナリオで収支を検証します。

    4. 融資先の選定と打診: 購入資金の大部分を融資に頼る場合、金融機関選びは極めて重要です。まずは自身が融資を受けられる上限額と条件を把握するため、メインバンクや不動産融資に積極的な銀行に事前相談します。富裕層であればメガバンク・地方銀行・信用金庫など複数行が競合する可能性があるので、金利や融資期間を比較検討し、最も有利な条件を提示してくれる金融機関を選びましょう。地方銀行や信金は案件によって柔軟な審査をしてくれる場合もあります。この際、自己資金として物件価格の最低10~20%(できれば30%程度)は用意しておくと交渉が有利です。金融機関には物件資料や収支計画書、そしてご自身の財務資料(収入証明や資産状況)を提示し、前向きな融資姿勢を引き出します。高所得で資産背景が厚いほど条件の良い融資を引き出せるのは富裕層の強みです。とはいえ金利交渉や担保評価の判断など専門的な部分も多いので、不動産会社の融資担当者にも協力してもらいながら進めると安心でしょう。

    5. 物件の詳細調査と売買契約: 購入する物件が決まったら、買付申込を経て売買契約の手続きに入ります。契約前に重要事項説明を受け、物件の権利関係(所有権や抵当権の状況)、法令上の制限、設備の状態、過去の修繕履歴、敷地の境界などを詳細に確認します。不明点があれば納得いくまで質問し、必要に応じて追加調査(建物検査や境界確認など)も行います。不動産会社が仲介の場合、買主の立場でリスクを指摘してくれることもありますが、自衛のためにも契約書・重要事項説明書は隅々まで目を通すべきです。契約時には売買代金、手付金、支払いスケジュール、融資特約の有無、瑕疵担保(契約不適合責任)の扱いなど重要事項をチェックします。特に中古アパートの場合、現況有姿で引き渡され後から瑕疵が見つかっても補償されないケースが多いため、契約条項をよく理解しておきます。問題なければ売主と売買契約を締結し、手付金を支払い契約成立となります。

    6. 物件引き渡しと運用開始準備: 売買契約後、融資実行の準備が整えば決済・引き渡しに移ります。残代金の支払いと同時に所有権移転登記を行い、物件の鍵を受け取ります。引き渡し時には契約通りの状態で物件が引き渡されるか現地確認し、設備や共用部に破損がないか、図面や書類が揃っているかをチェックします。同時に賃貸管理の体制もスタートさせます。物件引き渡し前に信頼できる管理会社を選定し、管理委託契約を結んでおきましょう。管理会社は入居者募集・審査、契約手続き、家賃集金、クレーム対応、清掃・点検手配などを代行してくれるため、忙しいオーナーの強い味方です。一般に管理委託料は家賃収入の5%前後が相場ですが、その中に何が含まれるか(入居者管理のみか建物管理も含むか)を明確にして契約します。富裕層であれば複数物件を任せる前提で交渉し、手厚いサポートを引き出すことも可能です。管理会社には定期巡回やトラブル報告の体制を整備してもらい、オーナーとして全体をモニタリングしつつ、必要な意思決定を行っていきます。

    7. 長期的な運用計画と改善: 運用開始後は、当初の計画通り収益が上がっているか定期的にチェックします。想定外の空室や出費があれば原因を分析し、早めに対策を打ちましょう。例えば空室が埋まらない場合、家賃設定や募集条件を見直したり、内装をグレードアップする投資も検討します。修繕についても計画的に実施して資産価値を維持・向上させることが肝心です。また、金利情勢や不動産市況の変化にもアンテナを張り、必要に応じて借換えや売却を検討します。常に経営者目線で物件の収益力を高める工夫を凝らすことで、時間の経過とともに資産価値も向上し、次の投資へ繋げる好循環を生み出せます。

    以上が、一棟アパート投資の基本的な始め方と流れです。特に富裕層の方は、資金力と信用力を武器に有望な物件を押さえられるチャンスがあります。専門家の知見も積極的に取り入れながら、戦略的に運用を開始しましょう。最初の一棟目を成功させられれば、安定したキャッシュフローと節税メリットを享受しつつ、更なる不動産投資や他の資産運用への展開も見えてくるはずです。信頼できるパートナーと共に、一棟アパート投資で着実な富の拡大と保全を目指してください。

    稲澤大輔

    稲澤大輔

    INA&Associates株式会社 代表取締役。大阪・東京・神奈川を拠点に、不動産売買・賃貸仲介・管理を手掛ける。不動産業界での豊富な経験をもとに、サービスを提供。 「企業の最も重要な資産は人財である」という理念のもと、人財育成を重視。持続可能な企業価値の創造に挑戦し続ける。