東京で不動産の購入や投資を検討される際、「都心」という言葉を頻繁に耳にされることでしょう。しかし、この「東京都心」という概念には明確な定義が存在せず、使用する文脈や立場によって指す範囲が異なることをご存知でしょうか。
不動産業界において、都心3区、都心5区、都心6区といった区分が使われる一方で、城東・城西・城南・城北といったエリア分類も存在します。これらの違いを正確に理解することは、適切な不動産選択を行う上で極めて重要です。
本記事では、INA&Associates株式会社が、東京都心の範囲について詳細に解説するとともに、2025年最新の東京23区における不動産価格相場と投資エリアの特徴を包括的にご紹介いたします。不動産投資を検討されている方、マイホーム購入をお考えの方、そして東京の不動産市場について深く理解したい方にとって、実践的な判断材料となる情報を提供いたします。
東京都心の範囲と定義を徹底解説
都心3区・都心5区・都心6区の違いとそれぞれの特徴
東京都心を語る上で最も基本となるのが、都心3区、都心5区、都心6区という区分です。これらの分類は不動産業界において広く使用されており、それぞれ異なる特徴と投資価値を持っています。
都心3区 は、千代田区、中央区、港区の3つの区を指します。これらの区域は、日本の政治・経済・文化の中心地として機能しており、最も狭義の「東京都心」として認識されています。千代田区には皇居、国会議事堂、最高裁判所などの国家中枢機能が集中し、中央区には日本銀行、東京証券取引所などの金融機関の本拠地があります。港区には多くの外国大使館や国際企業の日本本社が立地しており、国際色豊かなエリアとして知られています。
都心5区 は、都心3区に新宿区と渋谷区を加えた5つの区を指します。新宿区には東京都庁が所在し、行政機能の中心地としての役割を担っています。また、新宿駅は世界最大級の乗降客数を誇るターミナル駅として、交通の要衝となっています。渋谷区は若者文化の発信地として国内外から注目を集めており、近年の大規模再開発により、さらなる発展を遂げています。
都心5区の概念は、都心3区の伝統的な都市機能に加えて、商業・文化・エンターテインメントの要素を包含した、より広範囲な都心エリアを表現しています。これらの区域では、オフィス需要だけでなく、住宅需要も高く、多様なライフスタイルに対応した不動産市場が形成されています。
都心6区 は、都心5区に文京区を加えた6つの区を指します。文京区は「文の京」という名前が示すとおり、東京大学をはじめとする多くの教育機関が集積する文教地区として発展してきました。住環境の良さと教育環境の充実により、ファミリー層からの人気が高く、安定した住宅需要を維持しています。
以下の表は、各区分の特徴を比較したものです:
区分 | 構成区 | 主な特徴 | 主要機能 |
---|---|---|---|
都心3区 | 千代田・中央・港 | 政治・経済・国際機能の中心 | 官庁街・金融街・国際業務 |
都心5区 | 上記+新宿・渋谷 | 商業・文化機能を包含 | 商業・エンターテインメント |
都心6区 | 上記+文京 | 教育・住環境を重視 | 文教・住宅 |
城東・城西・城南・城北エリアの区分と地域特性
東京23区は、皇居(旧江戸城)を基準として、城東・城西・城南・城北の4つのエリアに区分されることがあります。この分類は、歴史的な発展過程と地域特性を反映した区分として、不動産業界でも重要な指標となっています。
城東エリア は、皇居の東側に位置する台東区、墨田区、江東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区の7区から構成されます。このエリアは、江戸時代から続く下町文化の中心地として発展してきました。近年では、東京スカイツリーの建設や豊洲市場の開場、東京オリンピック・パラリンピックの会場整備などにより、大きな変貌を遂げています。
城東エリアの特徴は、相対的に手頃な不動産価格と、下町らしい人情味あふれるコミュニティです。特に江東区は、湾岸エリアの開発により高層マンションが多数建設され、都心へのアクセスの良さと住環境のバランスが取れたエリアとして注目を集めています。
城西エリア は、皇居の西側に位置する新宿区、渋谷区、中野区、杉並区、世田谷区、目黒区の6区から構成されます。このエリアは、戦後の急速な都市化により発展し、現在では多様な文化と商業機能が集積する地域となっています。
城西エリアの最大の特徴は、JR山手線や中央線、京王線、小田急線などの主要路線が通っており、都心部へのアクセスが極めて良好であることです。また、代官山、恵比寿、自由が丘、吉祥寺などの人気エリアを擁し、洗練されたライフスタイルを求める層からの支持を集めています。
城南エリア は、皇居の南側に位置する港区、品川区、大田区の3区から構成されます。このエリアは、高級住宅地としてのブランドイメージが確立されており、白金、麻布、田園調布などの名門住宅地を擁しています。
城南エリアの特徴は、国際色豊かな環境と高い資産価値です。多くの外国大使館や国際企業が立地しており、外国人居住者も多く、国際的な住環境が形成されています。また、羽田空港へのアクセスが良好であることから、国内外への移動が頻繁なビジネスパーソンからの需要も高くなっています。
城北エリア は、皇居の北側に位置する文京区、豊島区、北区、板橋区、練馬区の5区から構成されます。このエリアは、教育機関や医療機関が充実しており、落ち着いた住環境を求めるファミリー層からの人気が高い地域です。
城北エリアの特徴は、相対的に手頃な価格で良質な住環境を確保できることです。特に文京区は都心6区の一角を占めており、教育環境の充実と都心へのアクセスの良さから、子育て世代からの強い支持を得ています。
以下の表は、各エリアの特徴をまとめたものです:
エリア | 構成区 | 主な特徴 | 代表的な地域 | 平均価格帯 |
---|---|---|---|---|
城東 | 台東・墨田・江東・荒川・足立・葛飾・江戸川 | 下町文化・再開発進行 | 浅草・豊洲・錦糸町 | 中価格帯 |
城西 | 新宿・渋谷・中野・杉並・世田谷・目黒 | 文化・商業の中心 | 恵比寿・自由が丘・吉祥寺 | 高価格帯 |
城南 | 港・品川・大田 | 高級住宅地・国際色 | 麻布・白金・田園調布 | 最高価格帯 |
城北 | 文京・豊島・北・板橋・練馬 | 文教・住環境重視 | 本郷・池袋・大塚 | 中高価格帯 |
不動産投資におすすめのエリア分析
都心3区の投資メリット・デメリット
都心3区(千代田区、中央区、港区)への不動産投資は、多くの投資家にとって憧れの対象となっていますが、その特性を正確に理解することが成功の鍵となります。
投資メリット
都心3区の最大のメリットは、資産価値の安定性 です。これらのエリアは日本の政治・経済の中心地として機能しており、その地位が揺らぐ可能性は極めて低いと考えられます。過去のデータを見ても、経済危機や自然災害などの外的要因があっても、長期的には価値を回復し、さらなる上昇を続けてきました。
高い賃貸需要 も重要な特徴です。都心3区には多くの大企業の本社や外資系企業のオフィスが集中しており、高所得者層の住宅需要が安定的に存在します。また、外国人駐在員や国際的なビジネスパーソンからの需要も高く、賃料水準の維持・向上が期待できます。
流動性の高さ も見逃せません。都心3区の物件は常に一定の購入希望者が存在するため、売却時期を選ばずに適正価格での売却が可能です。これは投資戦略の柔軟性を高める重要な要素となります。
投資デメリット
一方で、初期投資額の高さ は大きなハードルとなります。都心3区の物件価格は他のエリアと比較して2-3倍程度高く、個人投資家にとっては資金調達が困難な場合があります。また、高額な物件ほど金融機関の融資審査も厳しくなる傾向があります。
利回りの低さ も課題です。物件価格が高い一方で、賃料の上昇幅には限界があるため、表面利回りは3-4%程度に留まることが多く、他のエリアと比較して収益性は劣ります。
管理コストの高さ も考慮すべき点です。都心3区の物件は築年数が古いものも多く、適切な維持管理には相応のコストが必要となります。また、固定資産税や都市計画税も高額になる傾向があります。
注目の投資エリアランキングと特徴分析
不動産投資において、都心3区以外にも魅力的なエリアが数多く存在します。利回りと将来性のバランスを考慮した、注目の投資エリアをランキング形式でご紹介します。
第1位:中野区
中野区は東京23区の中でも特に不動産投資におすすめのエリアとして注目されています。JR中央線快速や東京メトロ東西線などの主要路線が通っており、新宿や東京駅へのアクセスが良好です。
中野区の魅力は、相対的に手頃な価格 と 安定した賃貸需要 のバランスにあります。中野駅周辺の再開発計画も進行しており、将来的な資産価値向上が期待されています。また、サブカルチャーの聖地として国内外から注目を集めており、多様な入居者層からの需要があります。
第2位:江東区
江東区は湾岸エリアの開発により大きく変貌を遂げたエリアです。豊洲、有明、お台場などの人気エリアを擁し、都心へのアクセスと住環境のバランスが取れています。
江東区の特徴は、新築・築浅物件の豊富さ と ファミリー層からの高い人気 です。東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとして整備されたインフラも充実しており、長期的な人口増加が見込まれています。
第3位:品川区
品川区は城南エリアの一角を占める高級住宅地としてのブランドを持ちながら、比較的投資しやすい価格帯の物件も存在します。品川駅は東海道新幹線の停車駅であり、リニア中央新幹線の始発駅としても整備が進んでいます。
品川区の投資メリットは、交通利便性の高さ と 国際的な需要 です。羽田空港へのアクセスも良好で、国内外のビジネスパーソンからの需要が安定しています。
第4位:文京区
文京区は都心6区の一角を占めながら、教育環境の充実により子育て世代からの絶大な支持を得ています。東京大学をはじめとする教育機関が多数立地し、文教地区としてのブランドが確立されています。
文京区の特徴は、長期安定的な需要 と 住環境の良さ です。ファミリー向け物件の需要が高く、長期入居が期待できるため、安定した賃貸経営が可能です。
第5位:新宿区
新宿区は都心5区の一角を占め、日本最大のターミナル駅である新宿駅を擁しています。商業・業務・住宅機能がバランス良く配置されており、多様な投資機会があります。
新宿区の投資メリットは、圧倒的な交通利便性 と 多様な物件タイプ です。ワンルームから大型ファミリー向けまで、様々な投資戦略に対応できる物件が豊富に存在します。
以下の表は、投資エリア比較表です:
エリア | 利回り目安 | 将来性 | リスク | 初期投資額 | 推奨投資家層 |
---|---|---|---|---|---|
中野区 | 5.5-6.5% | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | 中程度 | 初心者〜中級者 |
江東区 | 5.0-6.0% | ★★★★★ | ★★★☆☆ | 中程度 | 中級者 |
品川区 | 4.5-5.5% | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | 高程度 | 中級者〜上級者 |
文京区 | 4.0-5.0% | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ | 高程度 | 安定志向投資家 |
新宿区 | 4.5-5.5% | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | 高程度 | 中級者〜上級者 |
都心3区 | 3.0-4.0% | ★★★★★ | ★☆☆☆☆ | 最高 | 上級者・機関投資家 |
再開発による将来性と投資タイミング
東京23区では現在、複数の大規模再開発プロジェクトが進行しており、これらは不動産投資における重要な判断材料となります。
虎ノ門・麻布台エリアの再開発
港区の虎ノ門・麻布台エリアでは、日本最高層の複合施設「麻布台ヒルズ」が2023年に開業し、周辺エリアの資産価値向上に大きな影響を与えています。このエリアでは今後も継続的な開発が予定されており、さらなる価値向上が期待されています。
虎ノ門・麻布台エリアの再開発は、国際競争力の向上 を目的としており、外国企業の誘致や国際的な居住環境の整備が進められています。これにより、外国人富裕層からの不動産需要が一層高まることが予想されます。
品川駅周辺の再開発
品川駅周辺では、リニア中央新幹線の開業に向けた大規模な再開発が進行しています。2027年のリニア開業により、品川は東京と名古屋を結ぶ新たな交通の要衝となり、その価値は飛躍的に向上することが期待されています。
品川駅周辺の再開発では、業務機能の集積 と 国際的な都市機能の強化 が図られており、オフィス需要と高級住宅需要の両方が高まることが予想されます。
豊洲・有明エリアの発展
江東区の豊洲・有明エリアは、東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとして、スポーツ・文化施設が充実したエリアとして発展を続けています。また、豊洲市場の開場により、食文化の新たな拠点としても注目を集めています。
このエリアの特徴は、計画的な街づくり により、住環境と商業環境が調和した魅力的な都市空間が形成されていることです。今後も継続的な人口流入が見込まれており、長期的な投資価値が期待できます。
投資タイミングの考察
再開発エリアへの投資タイミングは、プロジェクトの進行段階によって大きく異なります。一般的に、再開発計画の発表から完成まで5-10年程度の期間を要するため、早期の投資ほど大きなリターンが期待できる一方で、計画変更や遅延のリスクも存在します。
最適な投資タイミングは、計画の具体化 と インフラ整備の進捗 を総合的に判断することが重要です。また、周辺エリアの価格動向や競合物件の供給状況も考慮し、慎重な判断を行うことが求められます。
まとめ
東京都心の範囲について正確に理解することは、適切な不動産選択を行う上で極めて重要です。都心3区、都心5区、都心6区という区分や、城東・城西・城南・城北というエリア分類は、それぞれ異なる特徴と投資価値を持っており、投資目的や予算に応じた選択が必要となります。
2025年の東京23区不動産市場は、継続的な価格上昇傾向を示している一方で、エリアや物件タイプによって大きな差が生じています。都心3区では資産価値の安定性が最大の魅力である一方、利回りの低さと高い初期投資額がハードルとなります。一方、中野区や江東区などの注目エリアでは、適度な利回りと将来性のバランスが取れており、幅広い投資家層にとって魅力的な選択肢となっています。
不動産投資を成功させるためには、単純な価格や利回りだけでなく、エリアの将来性、交通利便性、住環境、管理のしやすさなど、多角的な視点からの分析が不可欠です。また、再開発計画や交通インフラの整備状況も、長期的な投資価値を左右する重要な要素となります。
次のアクションとして 、具体的な投資検討を進められる場合は、専門的な市場分析と個別物件の詳細調査を行うことをお勧めいたします。INA&Associates株式会社では、超富裕層の皆様に向けた高品質な不動産投資コンサルティングサービスを提供しており、お客様の投資目標に最適なソリューションをご提案いたします。
東京の不動産市場は今後も変化を続けていくことが予想されます。適切な情報収集と専門家のアドバイスを活用し、長期的な視点での投資判断を行うことが、成功への鍵となるでしょう。
よくある質問
Q1: 都心3区と都心5区、投資するならどちらがおすすめですか?
A: 投資目的と資金力によって最適な選択は異なります。
都心3区は資産保全を重視する投資家に適しており、長期的な価値の安定性と流動性の高さが最大のメリットです。一方、都心5区(特に新宿区・渋谷区)は、都心3区と比較して初期投資額を抑えながら、一定の資産価値向上が期待できます。
収益性を重視される場合は都心5区、資産保全を重視される場合は都心3区をお勧めいたします。ただし、個別物件の立地や条件によって投資価値は大きく変わるため、具体的な物件での比較検討が重要です。
Q2: 東京23区で最も価格上昇が期待できるエリアはどこですか?
A: 2025年現在、最も価格上昇が期待できるのは再開発が進行中のエリアです。
具体的には、品川駅周辺(リニア中央新幹線開業効果)、虎ノ門・麻布台エリア(国際業務機能の集積)、豊洲・有明エリア(計画的な街づくりの進展)が挙げられます。
ただし、再開発エリアへの投資は計画変更や遅延のリスクも存在するため、プロジェクトの進捗状況を慎重に見極めることが重要です。また、既に価格上昇が始まっているエリアでは、投資タイミングの判断が成功の鍵となります。
Q3: 初心者が不動産投資を始めるのに適したエリアは?
A: 初心者の方には、中野区や文京区をお勧めいたします。
中野区は比較的手頃な価格で投資を始められ、安定した賃貸需要があります。交通利便性も良好で、管理のしやすさも初心者向きです。文京区は価格帯は中野区より高めですが、教育環境の充実により長期安定的な需要が期待でき、空室リスクが低いのが特徴です。
初心者の方は、まず1-2物件での小規模投資から始め、市場の動向や管理業務に慣れてから投資規模を拡大することをお勧めいたします。
Q4: 東京都心の不動産価格は今後も上昇し続けますか?
A: 長期的には上昇傾向が続くと予想されますが、短期的な調整局面もあり得ます。
東京都心の不動産価格を支える要因として、継続的な人口集中、企業の本社機能集約、外国人投資家からの需要、金融緩和政策などが挙げられます。これらの要因は今後も継続すると考えられるため、長期的な上昇トレンドは維持される可能性が高いです。
ただし、経済情勢の変化や金融政策の転換、国際情勢の変化などにより、短期的な価格調整が発生する可能性もあります。投資判断においては、長期的な視点を持ちつつ、市場動向を注意深く観察することが重要です。
Q5: 外国人投資家に人気のエリアはどこですか?
A: 外国人投資家からは、都心3区と城南エリアが特に高い人気を集めています。
港区(六本木、麻布、赤坂)、千代田区(丸の内、大手町)、中央区(銀座、日本橋)は、国際的な認知度が高く、外国人富裕層からの継続的な需要があります。また、品川区や目黒区などの城南エリアも、高級住宅地としてのブランドイメージから外国人投資家に人気です。
これらのエリアでは、外国人向けの賃貸需要も高く、賃料水準の維持・向上が期待できます。ただし、外国人投資家の動向は国際情勢や為替レートの影響を受けやすいため、市場環境の変化には注意が必要です。

稲澤大輔
INA&Associates株式会社 代表取締役。大阪・東京・神奈川を拠点に、不動産売買・賃貸仲介・管理を手掛ける。不動産業界での豊富な経験をもとに、サービスを提供。 「企業の最も重要な資産は人財である」という理念のもと、人財育成を重視。持続可能な企業価値の創造に挑戦し続ける。 【取得資格(合格資格含む)】 宅地建物取引士、行政書士、個人情報保護士、マンション管理士、管理業務主任者、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、賃貸不動産経営管理士、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者、不動産コンサルティングマスター