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    マンション貸し出しの手順完全ガイド|賃貸管理会社選びから家賃収入まで徹底解説

    自宅として購入したマンションを賃貸物件として活用することは、安定した家賃収入を得る有効な資産運用方法です。近年、働き方の多様化や住まいに対する価値観の変化により、マンション貸し出しを検討される方が増加しています。

    個人が所有するマンションの貸し出しを行う際には、適切な手順を踏まなければ思わぬトラブルや損失を招く可能性があります。

    本記事では、INA&Associates株式会社が、マンション貸し出しの基本的な流れから賃貸管理会社の選び方、法的な注意点、収益計算まで、実務経験に基づいて詳しく解説いたします。これからマンション貸し出しを検討されている方が、安心して賃貸経営をスタートできるよう、必要な知識を体系的にお伝えします。

    マンション貸し出しの基本的な流れ

    マンション貸し出しを成功させるためには、計画的な準備と適切な手順の実行が不可欠です。ここでは、貸し出し開始から運用開始まで、段階別に詳しく解説いたします。

    貸し出し前の準備段階

    マンション貸し出しの第一歩は、物件の現状把握と必要な準備を行うことです。まず、マンションの管理規約を確認し、賃貸に関する制限事項がないかを確認します。多くの分譲マンションでは、賃貸に関する届出義務や制限が設けられているため、事前の確認が必要です。

    次に、物件の状態を詳細に点検し、必要に応じてリフォームやクリーニングを実施します。入居者にとって魅力的な物件にするためには、設備の動作確認、壁紙や床材の状態チェック、水回りの清掃などが重要です。特に、エアコンや給湯器などの設備については、故障していると入居者募集に大きく影響するため、事前の点検と修理が欠かせません。

    また、賃貸に必要な書類の準備も重要な準備項目です。登記簿謄本、固定資産税評価証明書、建物図面、設備仕様書などを事前に用意しておくことで、賃貸管理会社との契約や入居者募集がスムーズに進行します。

    賃貸管理会社との契約

    物件の準備が整ったら、信頼できる賃貸管理会社を選定し、管理委託契約を締結します。賃貸管理会社は、入居者募集から日常的な管理業務まで、賃貸経営の重要な部分を担当するパートナーです。

    管理委託契約では、管理業務の範囲、管理手数料、契約期間、解約条件などを明確に定めます。一般的な管理業務には、入居者募集、契約手続き、家賃収納、クレーム対応、退去立会い、原状回復工事の手配などが含まれます。管理手数料は家賃の5%程度が相場ですが、提供されるサービス内容によって異なります。

    契約形態についても慎重に検討する必要があります。一般媒介契約では複数の管理会社に依頼できますが、専任媒介契約や専属専任媒介契約では一社に限定される代わりに、より積極的な営業活動が期待できます。

    入居者募集から契約まで

    賃貸管理会社との契約が完了したら、入居者募集を開始します。効果的な募集活動のためには、適正な家賃設定と魅力的な物件情報の作成が重要です。

    家賃設定では、周辺相場の調査、物件の特徴や立地条件の評価、設備や築年数の考慮などを総合的に判断します。相場より高すぎると入居者が決まらず、安すぎると収益性が低下するため、バランスの取れた設定が必要です。

    物件情報の作成では、間取り図、写真、設備一覧、周辺環境の情報などを詳細に記載します。特に写真は入居希望者の第一印象を左右するため、明るく清潔感のある写真を撮影することが重要です。

    入居希望者が現れたら、内見対応、入居審査、契約手続きを順次進めます。入居審査では、収入証明、勤務先確認、保証人の有無などを確認し、家賃支払い能力を慎重に判断します。

    運用開始後の管理業務

    入居者との契約が成立し、引き渡しが完了したら、日常的な管理業務が始まります。主な業務には、家賃収納管理、設備トラブル対応、定期点検、更新手続き、退去対応などがあります。

    家賃収納管理では、毎月の家賃入金確認、滞納者への督促、保証会社との連携などを行います。設備トラブルが発生した場合は、迅速な対応が入居者満足度に直結するため、24時間対応体制を整えている管理会社を選ぶことが重要です。

    また、契約更新時期には、家賃改定の検討、契約条件の見直し、更新手続きなどを適切に実施します。退去が発生した場合は、退去立会い、原状回復工事、敷金精算、次の入居者募集などを速やかに進める必要があります。

    段階 主な作業項目 所要期間 注意点
    準備段階 管理規約確認、物件点検、リフォーム、書類準備 1-2ヶ月 管理規約の制限事項を必ず確認
    管理会社選定 会社比較、契約交渉、契約締結 2-3週間 管理業務の範囲を明確化
    入居者募集 家賃設定、物件情報作成、募集活動 1-3ヶ月 適正な家賃設定が重要
    契約手続き 内見対応、入居審査、契約締結 1-2週間 入居審査を慎重に実施
    運用開始 家賃管理、設備対応、更新・退去対応 継続 迅速な対応で入居者満足度向上

    賃貸管理会社選びのポイント

    賃貸管理会社の選択は、マンション貸し出しの成功を左右する最も重要な要素の一つです。適切な管理会社を選ぶことで、安定した家賃収入の確保、入居者満足度の向上、オーナー様の負担軽減が実現できます。

    管理会社の種類と特徴

    賃貸管理会社は、その規模や特徴によっていくつかのタイプに分類されます。大手不動産会社系列の管理会社は、豊富な実績と全国ネットワークを活用した幅広いサービスを提供します。一方、地域密着型の管理会社は、地元の市場に精通した細やかなサービスが特徴です。

    大手管理会社のメリットは、システム化された業務プロセス、充実した保証制度、24時間対応体制、豊富な入居者データベースなどです。しかし、担当者の変更が頻繁であったり、個別対応が難しい場合もあります。

    地域密着型管理会社のメリットは、地域の特性を熟知した営業活動、オーナーとの密接なコミュニケーション、柔軟な対応力などです。ただし、サービス範囲が限定的であったり、システム化が不十分な場合もあります。

    近年では、ITを活用した新しいタイプの管理会社も登場しています。これらの会社は、オンラインでの業務効率化、データ分析による最適化、コストパフォーマンスの向上などを特徴としています。

    選定基準と比較項目

    賃貸管理会社を選定する際は、複数の会社を比較検討することが重要です。主な比較項目には、管理実績、サービス内容、管理手数料、対応エリア、財務状況、担当者の質などがあります。

    管理実績については、管理戸数、入居率、平均空室期間、オーナー継続率などの具体的な数値を確認します。特に、同じエリアや同じタイプの物件での実績があるかどうかは重要な判断材料です。

    サービス内容では、入居者募集方法、家賃保証制度の有無、メンテナンス体制、レポート提供頻度、緊急時対応などを詳細に確認します。また、デジタル化の進展状況や、オーナー向けのWebサービスの充実度も重要な要素です。

    管理手数料は、提供されるサービス内容と照らし合わせて適正性を判断します。単純に安い会社を選ぶのではなく、費用対効果を総合的に評価することが大切です。

    契約形態の違い

    賃貸管理における契約形態には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つがあります。それぞれに特徴とメリット・デメリットがあるため、物件の特性やオーナー様のニーズに応じて選択する必要があります。

    一般媒介契約では、複数の管理会社に同時に依頼することができます。競争原理により積極的な営業活動が期待できる一方、責任の所在が曖昧になったり、情報管理が複雑になる可能性があります。

    専任媒介契約では、一社のみに依頼しますが、オーナー自身が直接入居者を見つけることも可能です。管理会社は専任であることから、より積極的な営業活動を行い、定期的な報告義務も発生します。

    専属専任媒介契約では、完全に一社に委託し、オーナー自身による直接契約も禁止されます。管理会社にとって最も有利な契約形態であるため、最優先で営業活動を行ってもらえる可能性が高くなります。

    比較項目 大手管理会社 地域密着型 IT特化型
    管理戸数 数万戸以上 数百〜数千戸 数千戸程度
    対応エリア 全国 特定地域 主要都市部
    管理手数料 5% 5〜10% 1〜3%
    システム化 非常に高
    個別対応
    24時間対応 あり 限定的 あり
    保証制度 充実 限定的 充実

    貸し出し前に確認すべき法的事項

    マンション貸し出しを行う前には、関連する法的事項を十分に理解し、適切な対応を取ることが重要です。法的な問題を見落とすと、後々大きなトラブルや損失につながる可能性があります。

    区分所有法の制限事項

    分譲マンションの賃貸には、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)が適用されます。この法律により、専有部分の使用について一定の制限が設けられており、賃貸に関しても影響を受ける場合があります。

    区分所有法第6条では、区分所有者は建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならないと定められています。賃貸行為自体は原則として制限されませんが、入居者の行為によって他の区分所有者に迷惑をかけることがないよう、適切な管理が求められます。

    また、管理組合の決議により、賃貸に関する制限が設けられている場合があります。例えば、賃貸する場合の事前届出義務、入居者の審査基準、短期賃貸の禁止などが定められていることがあります。これらの制限に違反すると、管理組合から是正を求められたり、最悪の場合は区分所有権の競売を申し立てられる可能性もあります。

    管理規約の確認ポイント

    マンションの管理規約は、そのマンション特有のルールを定めたものであり、賃貸に関する重要な制限事項が記載されている場合があります。貸し出し前には、管理規約を詳細に確認し、賃貸に関する制限がないかを確認する必要があります。

    確認すべき主な項目には、賃貸の可否、賃貸時の届出義務、入居者の資格制限、契約期間の制限、又貸しの禁止、ペット飼育の可否、楽器演奏の制限、リフォーム工事の制限などがあります。

    特に注意が必要なのは、民泊やシェアハウスなどの短期賃貸に関する制限です。近年、多くのマンションで民泊を禁止する管理規約改正が行われており、違反した場合は厳しい措置が取られる可能性があります。

    また、賃貸する場合の管理組合への届出義務についても確認が必要です。届出が必要な場合は、入居者の氏名、連絡先、契約期間などの情報を管理組合に提出する必要があります。

    税務上の注意点

    マンション貸し出しによる家賃収入は、不動産所得として所得税の課税対象となります。適切な税務処理を行うためには、関連する税法を理解し、必要な手続きを適切に実施する必要があります。

    不動産所得の計算では、家賃収入から必要経費を差し引いた金額が課税所得となります。必要経費には、管理費、修繕積立金、管理委託手数料、修繕費、減価償却費、固定資産税、都市計画税、損害保険料、借入金利息などが含まれます。

    減価償却については、建物部分のみが対象となり、土地部分は対象外です。マンションの場合、建物と土地の価格を適切に按分し、建物部分について法定耐用年数に基づいて減価償却を行います。鉄筋コンクリート造の住宅用建物の法定耐用年数は47年です。

    また、青色申告を選択することで、青色申告特別控除(最大65万円)の適用を受けることができます。青色申告を行うためには、事前に税務署への届出が必要であり、複式簿記による記帳と貸借対照表・損益計算書の作成が求められます。

    確認項目 確認内容 確認先 注意点
    管理規約 賃貸可否、届出義務、制限事項 管理組合 改正履歴も確認
    使用細則 具体的な使用ルール 管理組合 最新版を入手
    重要事項説明書 購入時の制限事項 購入時資料 変更の有無を確認
    建築基準法 用途制限、建築制限 行政庁 違法建築でないか確認
    消防法 防火・避難設備 消防署 住宅用途での適合性
    税法 不動産所得、消費税 税務署 青色申告の検討

    家賃設定と収益計算

    適切な家賃設定は、マンション貸し出しの成功を左右する重要な要素です。家賃が高すぎると入居者が決まらず空室期間が長期化し、安すぎると収益性が低下します。市場相場を正確に把握し、物件の特徴を考慮した適正な家賃設定を行うことが重要です。

    適正家賃の算出方法

    適正家賃の算出には、複数のアプローチを組み合わせて総合的に判断することが重要です。主な算出方法には、市場比較法、収益還元法、原価法があります。

    市場比較法は、周辺の類似物件の家賃相場を調査し、自分の物件と比較して家賃を設定する方法です。立地条件、築年数、間取り、設備、管理状況などの要素を総合的に比較し、相場との差額を調整します。この方法は最も一般的で実用的な算出方法です。

    収益還元法は、期待する利回りから逆算して家賃を設定する方法です。物件の購入価格や投資額に対して、目標とする利回りを設定し、そこから適正家賃を算出します。投資用物件として購入した場合に特に有効な方法です。

    原価法は、物件の取得費用、維持管理費用、期待利益を考慮して家賃を設定する方法です。ただし、市場の需給関係を反映しにくいため、他の方法と組み合わせて使用することが一般的です。

    家賃設定の際は、季節要因も考慮する必要があります。一般的に、転勤や進学の多い1月から3月は需要が高く、やや高めの家賃設定が可能です。一方、夏場は需要が低下するため、柔軟な対応が求められます。

    初期費用と運営費用

    マンション貸し出しには、様々な初期費用と継続的な運営費用が発生します。これらの費用を正確に把握し、収益計算に反映させることが重要です。

    初期費用には、リフォーム・クリーニング費用、管理会社への仲介手数料、広告宣伝費、火災保険料、各種手続き費用などがあります。リフォーム費用は物件の状態によって大きく異なりますが、一般的には1㎡あたり1万円から3万円程度が目安となります。

    運営費用には、管理委託手数料、管理費・修繕積立金、固定資産税・都市計画税、火災保険料、修繕費、空室時の費用などがあります。これらの費用は家賃収入から差し引かれるため、実質的な収益に大きく影響します。

    管理委託手数料は家賃の5%から10%程度が相場ですが、提供されるサービス内容によって異なります。管理費・修繕積立金は毎月一定額が発生し、築年数が経過するにつれて増加する傾向があります。

    空室時の費用も重要な考慮事項です。空室期間中も管理費・修繕積立金、固定資産税などの費用は継続して発生するため、年間の空室率を想定して収益計算を行う必要があります。

    利回り計算の基本

    不動産投資の収益性を評価する指標として、利回りが広く使用されています。利回りには表面利回り(グロス利回り)と実質利回り(ネット利回り)があり、それぞれ異なる意味を持ちます。

    表面利回りは、年間家賃収入を物件価格で割った値で、簡易的な収益性の目安として使用されます。計算式は「年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100」です。ただし、運営費用を考慮していないため、実際の収益性とは乖離がある場合があります。

    実質利回りは、年間家賃収入から運営費用を差し引いた実質収入を、物件価格に取得費用を加えた実質投資額で割った値です。計算式は「(年間家賃収入 - 年間運営費用)÷(物件価格 + 取得費用)× 100」です。より実態に近い収益性を表すため、投資判断には実質利回りを使用することが重要です。

    一般的に、都心部のマンションでは表面利回り3%から5%程度、郊外では5%から8%程度が相場とされています。ただし、立地条件、築年数、物件の状態などによって大きく異なるため、個別の物件ごとに詳細な分析が必要です。

    費用項目 金額目安 発生時期 備考
    リフォーム費用 50-200万円 初回のみ 物件状態により変動
    仲介手数料 家賃1ヶ月分 契約時 管理会社により異なる
    管理委託手数料 家賃の5-10% 毎月 サービス内容により変動
    管理費・修繕積立金 1-3万円/月 毎月 築年数により増加傾向
    固定資産税等 10-30万円/年 年4回 評価額により決定
    火災保険料 1-3万円/年 年1回 補償内容により変動
    修繕費 家賃の5-10% 随時 築年数により増加

    まとめ

    マンション貸し出しは、適切な準備と手順を踏むことで、安定した家賃収入を得られる有効な資産運用方法です。成功のためには、以下の重要ポイントを押さえることが不可欠です。

    まず、事前準備の徹底が重要です。管理規約の確認、物件の状態点検、必要書類の準備を怠らず、法的な制限事項についても十分に理解しておく必要があります。特に、区分所有法や管理規約による制限は、後々のトラブルを避けるために必ず確認しましょう。

    次に、信頼できる賃貸管理会社の選定が成功の鍵となります。管理実績、サービス内容、手数料、対応力などを総合的に比較検討し、長期的なパートナーとして適切な会社を選ぶことが重要です。契約形態についても、物件の特性と自身のニーズに応じて慎重に選択しましょう。

    適正な家賃設定も収益性に大きく影響します。市場相場の調査、物件の特徴分析、競合物件との比較を通じて、空室リスクと収益性のバランスを取った家賃設定を行うことが重要です。

    税務処理の適正化も忘れてはいけません。不動産所得の計算、必要経費の整理、青色申告の検討など、税務面での適切な対応により、手取り収益の最大化を図ることができます。

    最後に、継続的な管理と改善が長期的な成功につながります。入居者満足度の向上、物件価値の維持、市場動向への対応など、常に改善意識を持って賃貸経営に取り組むことが重要です。

    マンション貸し出しは決して簡単な投資ではありませんが、適切な知識と準備があれば、安定した収益を得ることができます。不明な点や専門的な判断が必要な場合は、経験豊富な不動産会社に相談することをお勧めします。

    INA&Associates株式会社では、マンション貸し出しに関する包括的なサポートを提供しております。物件の査定から管理会社の選定、税務相談まで、お客様の賃貸経営を全面的にバックアップいたします。マンション貸し出しをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

    よくある質問

    Q1. 管理会社に依頼する場合の費用相場はどのくらいですか?

    賃貸管理会社への管理委託手数料は、一般的に家賃の5%程度が相場です。大手管理会社では5%%、地域密着型では5%から10%程度が一般的です。ただし、提供されるサービス内容によって手数料は変動します。

    入居者募集時の仲介手数料は家賃1ヶ月分が標準的ですが、一部の管理会社では半月分や無料の場合もあります。また、契約更新時の手数料、退去時の立会い費用、原状回復工事の手配手数料なども発生する場合があるため、契約前に詳細を確認することが重要です。

    Q2. 入居者とのトラブル対応はどのように行えば良いですか?

    入居者とのトラブルは、迅速かつ適切な対応が重要です。まず、管理会社との契約でトラブル対応の範囲を明確にしておきます。一般的なクレーム対応、設備故障、近隣トラブルなどは管理会社が対応し、重大な契約違反や法的問題についてはオーナーと管理会社が連携して対応します。

    トラブルを未然に防ぐためには、入居時の説明を徹底し、管理規約や使用ルールを明確に伝えることが重要です。また、定期的な物件点検や入居者とのコミュニケーションにより、小さな問題を早期に発見し、大きなトラブルに発展することを防ぐことができます。

    Q3. 確定申告での注意点はありますか?

    マンション貸し出しによる家賃収入は不動産所得として確定申告が必要です。家賃収入から必要経費を差し引いた金額が課税所得となります。必要経費には、管理費、修繕積立金、管理委託手数料、修繕費、減価償却費、固定資産税、保険料などが含まれます。

    青色申告を選択することで、最大65万円の青色申告特別控除を受けることができます。ただし、事前の届出と複式簿記による記帳が必要です。また、減価償却については建物部分のみが対象となり、土地部分は対象外となるため、適切な按分計算が必要です。

    Q4. 空室リスクを軽減する方法はありますか?

    空室リスクを軽減するためには、複数のアプローチを組み合わせることが効果的です。まず、適正な家賃設定により、市場競争力を維持することが重要です。相場より高すぎる家賃は空室期間の長期化を招きます。

    物件の魅力向上も重要な要素です。定期的なメンテナンス、設備の更新、内装のリフレッシュなどにより、入居者にとって魅力的な物件を維持します。また、家賃保証制度のある管理会社を選ぶことで、空室時のリスクを軽減することも可能です。

    Q5. 契約期間中の家賃変更は可能ですか?

    契約期間中の家賃変更は、借地借家法により制限されています。家賃の増額については、土地・建物の価格上昇、税金の増加、周辺相場の上昇、経済事情の変動などの正当な理由が必要です。また、契約書に家賃改定に関する条項がある場合は、その内容に従って手続きを行います。

    家賃減額についても、上記と逆の事情がある場合に可能です。ただし、入居者との合意が得られない場合は、調停や訴訟による解決が必要となる場合があります。家賃変更を検討する際は、法的な要件を満たしているか慎重に検討し、必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。

    稲澤大輔

    稲澤大輔

    INA&Associates株式会社 代表取締役。大阪・東京・神奈川を拠点に、不動産売買・賃貸仲介・管理を手掛ける。不動産業界での豊富な経験をもとに、サービスを提供。 「企業の最も重要な資産は人財である」という理念のもと、人財育成を重視。持続可能な企業価値の創造に挑戦し続ける。 【取得資格(合格資格含む)】 宅地建物取引士、行政書士、個人情報保護士、マンション管理士、管理業務主任者、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、賃貸不動産経営管理士、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者、不動産コンサルティングマスター