近年、中国富裕層による日本不動産投資が急速に拡大しています。2024年の調査では、87.5%もの中華圏投資家が「日本の不動産を買うタイミングは今」と回答しており調査でも、この動向が顕著に表れています。
中国人投資家が日本の不動産市場に注目する背景には、安定した投資利回り、透明な法制度、そして円安による割安感があります。2024年は日本を移住先に選ぶ中国人富裕層の数が前年比約15%増加する見通しであり、日本経済新聞によると、富裕層1万5200人が流出し、2年で4割増となっています。
中国富裕層が日本不動産を選ぶ理由
安定した投資利回りと収益性
中国人投資家が日本の不動産に魅力を感じる最大の理由は、安定した収益性です。日本の物件は想定利回り3.5~4%程度とされ、北京や上海など中国主要都市の利回り(約2%弱)より高く、安定収入源として魅力的です。
比較項目 | 中国主要都市 | 日本(東京) |
---|---|---|
平均利回り | 約2.0% | 3.5~4.0% |
価格安定性 | 変動大 | 比較的安定 |
所有権 | 使用権70年 | 永続的所有権 |
永続的な所有権による資産保全
中国では土地は国有で建物のみ所有可能ですが、日本では土地権利も含めて永久的に所有できるため、資産保全手段として好まれています。これにより、世代を超えた資産承継が可能となります。
投資動向とデータ分析
購入予算と支払い方法
中国富裕層の超富裕層クラスは、予算3億~5億円規模の物件を、ほぼ100%現金一括で購入しています。この現金購入により、金利リスクを回避し、迅速な取引を実現しています。
外国人購入比率の上昇
東京都港区における不動産購入動向では、中央区・港区など都心高級物件に限れば、2024年には購入者の約15~20%を外国人不動産購入が占めたとの報告があります。外国人向けマンション仲介会社では、毎月40件前後の契約があり、その件数は1年前と比べて約2倍に増加しています。
人気エリアと物件タイプ
超富裕層に人気のプレミアムエリア
中国富裕層に最も人気の物件エリアは、東京23区内の都心一等地です。具体的には以下の地域が代表的な高級住宅エリアとして挙げられます:
エリア | 特徴 | 平均購入価格帯 |
---|---|---|
港区(赤坂・六本木・青山) | 国際色豊か、アクセス良好 | 3億~5億円 |
渋谷区(広尾・恵比寿・代官山) | 高級住宅街、文化施設充実 | 2億~4億円 |
千代田区(番町・霞が関周辺) | 政治・経済の中心地 | 3億~6億円 |
投資用物件の特徴
投資用としては、一棟買い収益物件が人気で、年間家賃収入による3~4%前後の利回り重視の運用が行われています。高級マンションのペントハウスでは、120㎡超の広尺住戸を「セカンドハウス」や子女の教育拠点として活用するケースが増加しています。
経営管理ビザと移住動向
経営管理ビザの活用
中国富裕層の中には、不動産投資を入り口として経営管理ビザを取得し、日本への移住を図るケースが増加しています。資本金500万円と基本的な事業計画があれば、合法的な在留資格を取得できるため、移住手段として注目されています。
民泊経営による事業展開
民泊運営を通じた事業展開により、「経営管理ビザ」取得の要件を満たすケースも見られます。これにより、不動産投資と日本移住を同時に実現する投資家が増加しています。
規制環境と今後の見通し
現在の規制状況
現在、日本には外国人不動産購入を制限する法規制は存在しません。不動産購入規制がないため、外国人でも日本人と同一条件で売買が可能です。
今後の規制強化の可能性
2024年3月25日には、岸田元首相が参院予算委員会で「安全保障に関わる土地売買の規制について検討する」旨を発言しており、今後は外国人向けの投資規制の導入を含めた議論が必要とされています。
送金に関する制約
中国の人民元は直接国際送金ができず、外貨に換金してから外貨口座からの送金となります。個人の国際送金の場合は、一人当たり年間5万ドル相当額に制限されているため、高額な不動産購入時には複数の送金ルートを活用する必要があります。
まとめ
中国富裕層の日本不動産投資は、安定した投資利回り、永続的な所有権、円安による割安感を背景に急速に拡大しています。2024年現在、87.5%の中華圏投資家が「今が買い時」と考えており、特に東京不動産の港区、渋谷区、千代田区などのプレミアムエリアで3億~5億円規模の現金購入が活発化しています。
経営管理ビザを活用した移住ニーズも高まっており、不動産投資と日本移住を同時に実現する投資家が増加しています。現在は不動産購入規制がないため自由な投資が可能ですが、安全保障上の観点から今後規制強化が検討される可能性があります。
不動産業界としては、これらの動向を踏まえ、中国人投資家のニーズに対応したサービス提供と、適切なコンプライアンス体制の構築が重要です。INA&Associates株式会社では、人財を最も重要な資産と捉え、関係する全ての人々の成長と豊かさを追求する理念のもと、中国富裕層の皆様にも信頼されるパートナーとして、持続可能な不動産投資のサポートを提供してまいります。
よくある質問
Q1:中国人投資家が日本の不動産を購入する際の法的制限はありますか?
A1:現在、日本では外国人による不動産購入に対する法的制限はありません。外国人でも日本人と同等の条件で不動産を購入し、完全な所有権を取得することができます。ただし、安全保障上の観点から、今後規制が導入される可能性が議論されています。
Q2:中国から日本への不動産購入資金の送金に制限はありますか?
A2:中国では個人の国際送金は年間5万ドル相当額に制限されています。高額な不動産購入の場合は、複数年にわたる送金や複数のルートを活用する必要があります。また、人民元は直接送金できないため、外貨に換金してからの送金となります。
Q3:経営管理ビザを通じた日本移住にはどのような要件がありますか?
A3:経営管理ビザの取得には、資本金500万円以上の会社設立と具体的な事業計画が必要です。不動産投資や民泊運営も事業として認められる場合があります。申請者の年齢、言語、学歴の制限はなく、家族も一緒に滞在することが可能です。
Q4:日本の不動産投資で期待できる利回りはどの程度ですか?
A4:東京など大都市圏では平均3.5~4%前後の利回りが期待できます。これは中国主要都市の約2%と比較して高い水準です。地方都市ではさらに高い利回りが見込める場合もあります。
Q5:人気の投資エリアと物件タイプを教えてください。
A5:超富裕層には港区(六本木、赤坂)、渋谷区(広尾、恵比寿)、千代田区(番町)などが人気です。物件タイプとしては、120㎡超のペントハウスや一棟収益物件が好まれ、予算は3億~5億円規模が中心となっています。

稲澤大輔
INA&Associates株式会社 代表取締役。大阪・東京・神奈川を拠点に、不動産売買・賃貸仲介・管理を手掛ける。不動産業界での豊富な経験をもとに、サービスを提供。 「企業の最も重要な資産は人財である」という理念のもと、人財育成を重視。持続可能な企業価値の創造に挑戦し続ける。 【取得資格(合格資格含む)】 宅地建物取引士、行政書士、個人情報保護士、マンション管理士、管理業務主任者、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、賃貸不動産経営管理士、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者、不動産コンサルティングマスター