INA Wealth Vision|Japan Luxury Realty Group

なぜ超富裕層ほど『新築』ではなく『中古』を選ぶのか?

作成者: 稲澤大輔|2025/06/03 4:47:19 Z

日本では「新築」に大きな価値を置く文化があります。不動産広告では「新築」という言葉が輝き、住宅購入者の多くが新築を憧れの対象としています。しかし、意外なことに世界の 超富裕層 は逆の選択をしています。彼らはなぜ「新築」ではなく「中古」を好むのでしょうか。

本記事では、世帯年収1億円を超える 超富裕層の不動産投資 戦略と、彼らが中古物件を選ぶ理由に迫ります。日本と欧米の 不動産価値観の違い を紐解きながら、中古物件の隠れた 資産価値 と、富裕層が実践する不動産選びの本質をお伝えします。一般の住宅購入者も学べる「賢者の選択」の秘訣をご紹介します。

日本と欧米の不動産価値観——なぜこれほど違うのか

日本と欧米では、不動産に対する価値観が大きく異なります。データで見ると、その差は明らかです。

国・地域 中古住宅流通シェア 新築住宅流通シェア
アメリカ(2017年) 82% 18%
イギリス 88% 12%
フランス 66% 34%
日本(2013年) 14% 86%

出典:国土交通省の資料等を基に作成

欧米では住宅流通市場の8割以上が中古住宅であるのに対し、日本ではその比率が逆転しています。この違いはどこから生まれるのでしょうか。

日本で新築が好まれる理由 には、以下のような背景があります:

  1. 戦後の住宅不足から生まれた「スクラップ&ビルド」文化
  2. 建物よりも土地に価値を置く税制・評価制度
  3. 住宅の「耐用年数」に関する固定観念
  4. 厳しい耐震基準の変遷による古い建物への不安

一方で、欧米では 中古物件の価値 が適正に評価される市場が形成されています。特に築年数が古くなっても建物自体の資産価値がほとんど下がらないアメリカやイギリスでは、100年以上経過した住宅でも高値で取引されるケースも珍しくありません。

富裕層が多い地域では、歴史ある伝統的な建物が ステータス として評価され、新築よりも高い価格で取引されることもあるのです。

超富裕層が中古物件を選ぶ6つの理由

世界の富裕層、特にアメリカのお金持ちが中古物件を好んで買う傾向にあるのはなぜでしょうか。超富裕層の不動産選択の背景には、以下の6つの理由があります。

1. 過去の価格データによる資産価値の確認

新築物件は過去の取引実績がないため、適正価格かどうかの判断が難しい面があります。一方、中古物件は過去の取引価格や同じ建物内の他の部屋の売買履歴から、適正価格を判断することができます。

2. 優れた立地条件の確保

不動産の資産価値 を決める最も重要な要素は「立地」です。中古物件は多くの場合、すでに確立された優良な立地にあります。富裕層は「9割は立地で決まる」という不動産の基本原則を熟知しており、立地の良い中古物件を選ぶことで、将来的な価値の安定性を確保しています。

3. 自由度の高いカスタマイズ性

中古物件は購入後に リノベーション を行うことで、自分好みの空間に自由にカスタマイズできるメリットがあります。世帯年収3,000万円を超えるアッパー層の間では、この「自由度の高さ」が重要な選択理由となっています。

4. 資産分散とインフレヘッジ

超富裕層は現金や保険、株式、債券、ゴールドなどに加えて、インフレに強いとされる不動産を ポートフォリオ に加えることで、資産の安全性を高めています。特に都心の中古マンションは、インフレ下でも実質資産を守る防波堤として機能します。

5. 相続税対策の有効性

日本における中古不動産の評価は、実勢価格よりも低く査定される傾向があります。この特性を活かし、富裕層は 相続税対策 として中古物件を購入しています。

6. 長期的な資産形成の視点

超富裕層は投機的な短期売買ではなく、長期保有を前提とした不動産選びをします。その視点では、新築時の価値よりも、時間が経過しても価値が下がりにくい 物件特性が重要になります。

中古物件の資産価値を左右する3大要素

中古物件を購入する際、その資産価値を左右する要素は主に3つあります。超富裕層はこれらを見極めて物件を選んでいます。

1. 立地力——資産価値の9割を決める最重要要素

立地の良さ は中古物件の資産価値を左右する最も重要な要素です。立地の良さは、以下の点から判断されます:

  • 交通アクセス(駅からの距離、複数路線の利用可能性)
  • 生活利便性(商業施設、医療機関、教育施設など)
  • 将来性(再開発計画、インフラ整備の予定)
  • 自然環境(公園、緑地、水辺など)

実際、東京都心の中古マンション相場は駅によって大きく異なります。2019年から2024年の5年間で、「神谷町」駅周辺の中古マンション価格は約3.13倍(上昇率+213%)に高騰しました。これは優れた 立地の希少性 と、それを求める富裕層の需要が生み出した結果です。

 

出典:健美家

2. 街のブランド力——人気と評判がもたらす価値

物件が位置する街の ブランド力 も、中古物件の資産価値に大きな影響を与えます。超富裕層は自分と同じような富裕層が多く住む地域を好む傾向があります。それは単なるステータス志向ではなく、周辺の購買力と資産価値の安定性を重視するためです。

「街の持つブランド力は中古マンションの資産価値に大きく影響します。ブランド力とは、住民からのイメージが良く、人気の街であることです。例えば、高級住宅街や景観が美しい街、再開発が進んでいる街などはブランド力が高く、その地域の中古マンションの資産価値も維持しやすいです。」 出典:Aid My Bank

3. 物件自体のブランド力——建物の質と管理状態

中古物件であっても、建設会社(ゼネコン)やデベロッパーの ブランド力 は重要です。信頼性の高い企業が手掛けた物件は、設計や施工の質が高く、経年劣化が少ない傾向があります。

また、管理組合の運営状況や大規模修繕の履歴なども、物件の資産価値を左右する重要な要素です。超富裕層は、管理費や修繕積立金が適切に設定され、定期的なメンテナンスが行われている物件を選びます。

リノベーションで価値を高める——富裕層が注目するデザインと機能性

中古物件を購入した超富裕層は、自分好みの空間にカスタマイズするために 高級リノベーション を行うことが一般的です。彼らが重視するリノベーションのポイントには、以下のような特徴があります。

1. オープンフロアプランと大空間設計

富裕層は壁を極力減らし、リビングを最大限に広げる開かれた間取りを好みます。隣接する部屋を統合して大空間のLDKにするなど、大幅なレイアウトの再構築を行うことで、解放感と高級感を両立させています。

2. 上質な自然素材の活用

大理石、無垢材などの 自然素材 を使用して空間全体の素材感を引き上げることは、富裕層のリノベーションで特に重視されています。高級感と温かみを両立させるこれらの素材は、時間が経っても劣化せず、むしろ経年変化による風合いが増す点も評価されています。

3. ハイスペック設備の導入

多機能なシステムキッチンやビルトイン家電、ワインセラー、バイオエタノール暖炉など、国内外の有名ブランド製品を導入することで、生活の質を高めています。特に「Miele」「GAGGENAU」「LIEBHERR」などの高級ブランド製品は、富裕層のステータスの一つでもあります。

4. シックな内装デザイン

グレージュ、モノトーン、ホワイト系などの落ち着いた色調で全体を統一し、アクセントに大理石やモールディングを用いるデザインが人気です。このようなシックな内装は、時代に左右されない普遍的な美しさを持ち、将来的な資産価値の維持にも貢献します。

高級リノベーションの費用相場

物件タイプ 費用相場(㎡あたり)
マンションのハイグレードリノベーション 35万円以上/㎡
戸建て(外構含む) 40~50万円/㎡

日本と欧米の文化的背景の違い——なぜ価値観が異なるのか

日本と欧米で中古物件に対する価値観が大きく異なる背景には、文化的・歴史的な違いがあります。

日本の「新築至上主義」の背景

日本では高度成長期以降、「住宅は建てたら終わり」という考え方が一般的でした。これは以下の要因によるものです:

  1. 土地本位制:日本では建物よりも土地に価値を置く考え方が強い
  2. 短いライフサイクル:木造住宅の耐用年数が短く設定されている(22年)
  3. メンテナンス文化の欠如:定期的な修繕・改修の習慣が根付いていない
  4. 長期保証の不足:建物の品質保証期間が短く、長期的な価値を担保しない

欧米の「ストック活用」の文化

一方、欧米では次のような文化的背景から中古物件の価値が高く評価されています:

  1. 長期視点の建築:最初から100年以上の使用を前提とした設計・施工
  2. 履歴価値の重視:歴史や物語を持つ建物に価値を見出す文化
  3. DIY文化の普及:自分で手入れ・改修する習慣が一般的
  4. 建築規制の厳格さ:新築の建設に厳しい規制があり、既存建物の活用が促進される

この文化的背景の違いが、不動産市場における中古物件の価値評価の違いとなって現れているのです。

超富裕層の不動産投資戦略——教科書にない賢者の選択

超富裕層の不動産投資戦略には、一般には知られていない「賢者の選択」があります。それは以下のような特徴を持っています。

1. 長期保有を前提とした投資判断

超富裕層は短期的な値上がり益よりも、長期的な資産価値の安定性を重視します。「良い物件が出てくるまで待つ」姿勢を持ち、無理に新築物件に投資することはありません。

 

2. 資産分散による安定性の確保

超富裕層は金融資産だけでなく、不動産をポートフォリオに組み入れることで、資産の安定性を高めています。特にインフレ時代には、実物資産である不動産が資産防衛の役割を果たします。

3. 節税効果の最大化

富裕層は減価償却による節税効果を最大限活用します。特に海外の中古物件では、より大きな節税効果が得られることもあります。

4. 計画的なリノベーションによる価値向上

超富裕層は物件購入後に計画的なリノベーションを行うことで、資産価値を高めています。高級感のある内装や最新設備を導入することで、将来的な転売や賃貸時の価値を高める戦略を取ります。

まとめ—超富裕層の選択から学ぶ中古物件の価値

超富裕層が新築ではなく中古物件を選ぶ理由を見てきましたが、そこから一般の不動産購入者も学べる点は多くあります。

1. 資産価値の本質は「立地」にある

不動産の価値は建物の新しさよりも「立地」によって大きく左右されます。立地の良さ は時間が経過しても失われない価値であり、むしろ希少性が高まることもあります。中古物件であっても、立地が良ければ資産価値が維持される可能性が高くなります。

2. 過去の取引データから適正価格を判断する

新築物件は価格設定の妥当性を判断するデータが少ないのに対し、中古物件は過去の取引履歴から適正価格を判断しやすいというメリットがあります。情報の非対称性 が少なく、価格交渉の余地も大きい点は、賢明な購入者にとって重要なポイントです。

3. カスタマイズ性を活かした自分らしい住まいづくり

中古物件は リノベーション を通じて自分好みにカスタマイズできる自由度が高い点も大きな魅力です。新築では叶わない個性的な空間づくりが可能になります。費用対効果の面でも、良質な中古物件のリノベーションは新築購入よりも合理的な選択になる場合があります。

4. 長期的視点で物件を選ぶ

超富裕層は常に 長期的視点 で物件を選びます。短期的な流行や建物の新しさよりも、将来にわたって価値が維持される立地や品質を重視する姿勢は、一般の購入者にも参考になる考え方です。

中古物件の購入を検討する際は、以下の3点を特に重視しましょう:

  1. 駅からの距離や周辺環境などの「立地条件」
  2. 管理状態の良さや修繕履歴などの「建物の品質」
  3. リノベーションによる「付加価値の可能性」

超富裕層の不動産選びに学び、新築至上主義にとらわれず、物件の本質的な価値を見極める目を養うことが、賢明な不動産投資の第一歩となるでしょう。

よくある質問

Q1. 中古物件購入で最も気をつけるべきリスクは何ですか?

A. 中古物件購入で最も気をつけるべきリスクは、「隠れた欠陥」です。表面上は問題がなくても、水漏れや構造的な問題が潜んでいる可能性があります。これを回避するためには、専門家による ホームインスペクション(建物状況調査) を実施し、物件の状態を客観的に確認することをお勧めします。また、管理組合の議事録や修繕履歴をチェックすることも重要です。マンションの場合は、修繕積立金の額や管理組合の運営状況も調査しましょう。

Q2. 資産価値を維持するための効果的なメンテナンス方法は何ですか?

A. 資産価値を維持するための効果的なメンテナンス方法は、「予防的な定期点検と適切な修繕」です。特に屋根、外壁、水回りなどの劣化が進みやすい部分は、問題が大きくなる前に早めの対応が必要です。マンションの場合は、管理組合の運営に積極的に参加し、適正な 大規模修繕計画 が実施されるよう働きかけることも重要です。また、時代のニーズに合わせた設備のアップデートを定期的に行うことで、資産価値の低下を防ぐことができます。

Q3. 富裕層の物件選びと一般層の物件選びの違いは何ですか?

A. 富裕層と一般層の物件選びの主な違いは「時間軸の長さ」と「品質への投資姿勢」です。富裕層は50年、100年という超長期的な視点で物件を評価し、短期的な流行やトレンドに左右されにくい特徴があります。また、初期コストを惜しまず 高品質な素材や設備 に投資する傾向があります。一般層は住宅ローン返済期間(30〜35年)を目安に考えることが多く、初期コストの抑制を優先する場合もあります。しかし、長期的に見れば、立地や品質への投資は資産価値の維持につながるため、予算内でこれらを最大化する選択が賢明です。

Q4. 将来性のある中古物件の見分け方を教えてください。

A. 将来性のある中古物件を見分けるポイントは以下の3点です。

  1. 立地の将来性:都市計画や再開発計画がある地域、交通インフラの拡充が予定されている地域は将来的な価値上昇が期待できます。
  2. 建物の構造と維持管理:RC(鉄筋コンクリート)造など耐久性の高い構造で、かつ適切に維持管理されている物件は資産価値が維持されやすいです。
  3. 資産価値を下げない間取り:特殊な間取りではなく、汎用性の高いスタンダードな間取りの方が、将来的な売却や賃貸の際に需要が見込めます。

また、人口動態の変化や働き方の多様化なども踏まえて、長期的に需要が続くエリアを選ぶことも重要です。

Q5. リノベーションの費用対効果を最大化するコツはありますか?

A. リノベーションの費用対効果を最大化するコツは、「資産価値に直結する部分への重点投資」です。具体的には以下の点に注目しましょう。

  1. キッチン・バスルームの刷新:水回りは経年劣化が進みやすく、また居住者の満足度に直結する部分です。
  2. 断熱性・気密性の向上:光熱費の削減につながり、居住快適性も高まります。
  3. 間取りの最適化:無理な間仕切りを排除し、採光や風通しを改善することで空間の価値が高まります。

一方で、過度に個性的なデザインや特殊な設備は、将来的な売却時に好みが分かれる可能性があります。汎用性を意識しつつ、質の高い素材・設備を選ぶことが、長期的な資産価値の維持・向上につながります。

参考情報

不動産市場の統計データサイト

INA&Associatesでは、超富裕層の不動産投資戦略を参考にした中古物件の選び方に関する無料相談会を定期的に開催しています。「立地」「資産価値」「リノベーション」の視点から、あなたに最適な不動産投資プランをご提案いたします。詳しくは当社ウェブサイトをご覧いただくか、お電話・メールにてお気軽にお問い合わせください。