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なぜ世界の投資家は東京を目指すのか?円安だけではない、2025年以降の不動産投資戦略

作成者: 稲澤大輔|2025/10/07 23:33:57 Z

2025年、世界の不動産投資市場において、東京がニューヨークやロンドンといった主要都市を抑え、投資額で世界第1位の座に輝きました。この事実は、多くの投資家にとって驚きであったかもしれません。歴史的な円安が海外投資家にとって追い風となっていることは事実ですが、東京の魅力はそれだけにとどまりません。安定した経済、独自の金融環境、そして都市としての成熟度が複合的に絡み合い、東京を世界で最も魅力的な不動産投資先の一つへと押し上げているのです。

本記事では、INA&Associates株式会社が、最新のデータを基に東京不動産市場が活況を呈する理由を多角的に分析し、2025年以降の投資戦略を展望します。なぜ今、世界のマネーが東京を目指すのか。その本質に迫ります。

活況を呈する東京の不動産市場:データが示す圧倒的な存在感

近年の東京不動産市場の勢いは、各種データによって裏付けられています。不動産サービス大手JLLの調査によれば、2025年第1四半期における日本への不動産投資額は、四半期として過去最高となる2兆952億円に達しました。これは前年同期比で23%増という高い伸び率です。

この市場を牽引しているのが、海外投資家の旺盛な投資意欲です。2025年上半期だけで、海外勢による不動産購入額は1兆円を超え、前年同期比で倍増しました。この結果、世界の都市別投資額ランキングにおいて、東京はニューヨークやダラス・フォートワースを大きく引き離し、トップの座を獲得したのです。

順位 都市名 投資額(億ドル)
1 東京 110
2 ニューヨーク 73
3 ダラス・フォートワース 63

出典:JLL(2025年第1四半期データ)

この熱気は、不動産価格にも如実に表れています。2025年1月1日時点で公示された地価は、全国平均で前年比2.7%の上昇となり、これはバブル経済崩壊後の1992年以降で最も高い伸び率です。特に首都圏の中古マンション価格は上昇を続けており、東京の資産価値が国際的に高く評価されていることを示しています。

海外投資家を惹きつける3つの引力

では、なぜこれほどまでに海外の投資マネーが東京に集中しているのでしょうか。その背景には、主に3つの強力な引力が存在します。

引力1:円安による割安感と資産防衛

第一に、現在の歴史的な円安がもたらす価格的な割安感です。例えば、数年前に1ドル110円だった際に1億円の物件は、約91万ドルでした。しかし、1ドル150円の現在では約67万ドルで購入可能となり、ドル建てで考えれば約27%も割安になります。この為替メリットは、海外投資家にとって日本不動産を取得する絶好の機会となっています。

さらに、自国通貨のインフレや地政学的リスクから資産を守りたいと考える海外の富裕層にとって、価値が安定している日本の不動産、特に東京の物件は、魅力的な資産防衛の手段として映っています。

引力2:世界でも希少な金融環境

第二に、日本の独自の金融環境が挙げられます。世界各国がインフレ抑制のために政策金利を引き上げる中、日本銀行はマイナス金利政策を解除したものの、依然として極めて緩和的な金融環境を維持しています。この低金利により、不動産投資における借入コストを低く抑えることが可能です。

その結果、投資額に対する手残りの収益、いわゆるキャッシュ・オン・キャッシュ利回りが、他の先進国の都市に比べて高くなる傾向にあります。これは、安定したインカムゲインを重視する投資家にとって、非常に大きな魅力と言えるでしょう。

引力3:安定した政治・経済と都市の成熟度

第三の引力は、日本の政治・経済の安定性と、東京という都市が持つ成熟度です。法制度が整備され、所有権が明確に保護されている日本は、カントリーリスクが低いと国際的に評価されています。これは、長期的な視点で資産を保有する不動産投資において、極めて重要な要素です。

また、東京は世界有数の巨大都市でありながら、交通インフラが高度に発達し、治安も良好です。豊かな文化や食、高い生活利便性は、不動産の賃貸需要を安定的に支える基盤となります。こうした都市としての総合力が、不動産価値の長期的な安定性への信頼につながっているのです。

2025年以降の市場予測と投資戦略

今後の市場はどう動くのでしょうか。専門家は、海外投資家のスタンスが変化していくと予測しています。これまでは円安メリットを活かした「売り先行」の姿勢が目立ちましたが、今後は積み上がった投資待機資金(ドライパウダー)を元手に、優良物件の「取得」にも積極的に動くと見られています。つまり、「取得と売却の同時並行」が市場の新たなフェーズとなる可能性が高いのです。

エリアとしては、引き続き東京が中心であることは間違いありませんが、大阪市場の成長性にも注目が集まっています。万博開催への期待だけでなく、東京に比べて価格が手頃であること、そして海外投資家の間で大阪という都市のポテンシャルへの理解が深まっていることがその理由です。

このような市場環境において、投資家はどのような戦略を取るべきでしょうか。一つは、都心の優良なオフィスビルや賃貸マンションといった、資産価値が安定した物件に長期的に投資するコア投資です。もう一つは、稼働率の低い物件や再開発の可能性がある物件を取得し、付加価値を高めて売却益を狙うバリューアッド投資です。ご自身の投資目標やリスク許容度に合わせて、適切な戦略を選択することが肝要です。

まとめ

本稿では、世界の投資家が東京の不動産市場に注目する理由を、データと共に解説してまいりました。その要点は以下の通りです。

  • 圧倒的な市場規模:2025年、東京は不動産投資額で世界第1位となり、市場の活況がデータで証明されています。
  • 3つの引力:「円安による割安感」「世界でも希少な金融環境」「政治・経済の安定性」が、海外投資家を強力に惹きつけています。
  • 投資対象の多様化:従来のオフィス中心から、物流施設、ホテル、賃貸住宅など、より高い成長性や安定性が見込めるセクターへと投資対象が広がっています。
  • 今後の展望:豊富な投資待機資金を背景に、市場はさらに活性化する可能性を秘めています。投資家は、より戦略的なアプローチが求められます。

東京の不動産市場は、まさに世界の注目が集まるダイナミックなステージにあります。しかし、このような状況だからこそ、表面的な情報に惑わされることなく、本質を見極める眼が不可欠です。正確な情報を収集し、信頼できるパートナーと共に、ご自身の目標に合った投資判断を下すことが、成功への鍵となります。

私どもINA&Associates株式会社は、お客様一人ひとりの資産状況と目標に寄り添い、最適な不動産投資ソリューションをご提案いたします。東京、そして日本の不動産投資にご興味をお持ちでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

よくある質問(Q&A)

Q1:今から東京の不動産に投資しても遅くないですか?

A1:価格は上昇傾向にありますが、日本の低金利環境や経済の安定性、そして今後の成長性を考慮すれば、東京不動産市場は依然として魅力的な投資先です。ただし、以前にも増して、将来性のあるエリアや物件を的確に選定する専門的な知見が重要になっています。

Q2:円高に振れた場合のリスクはどのように考えればよいですか?

A2:為替レートの変動は、海外投資家にとって常に考慮すべきリスクです。円高に振れると、ドル換算での資産価値や賃料収入は目減りします。しかし、不動産投資の基本は、長期的な賃料収入であるインカムゲインと、将来的な売却益であるキャピタルゲインの双方を追求することです。安定した賃料収入が、為替変動リスクをある程度相殺する効果を持ちます。短期的な為替の動きに一喜一憂せず、長期的な視点を持つことが重要です。ヘッジ手段を検討することも一案です。

Q3:地方都市への投資はどうでしょうか?

A3:大阪のように、特定の地方都市は独自の開発計画やインバウンド需要の増加により、高い成長ポテンシャルを秘めています。しかし、一般的に地方都市は東京に比べて市場規模が小さく、不動産の流動性(売買のしやすさ)が低い傾向にあります。投資を検討する際は、その都市の人口動態や産業構造、再開発計画などを綿密に調査し、リスクとリターンのバランスを慎重に評価する必要があります。

Q4:おすすめの投資セクターは何ですか?

A4:これは投資家の方のリスク許容度や投資目標によって大きく異なります。安定したキャッシュフローを重視するならば、底堅い需要が見込める賃貸住宅が適しています。一方、より高い成長性を追求するのであれば、Eコマースの拡大を背景とする物流施設や、インバウンド需要の回復が著しいホテルセクターが注目されています。それぞれのセクターの特性を理解し、ご自身のポートフォリオに合った選択をすることが大切です。

Q5:不動産投資を始めるには、まず何をすればよいですか?

A5:最初のステップとして最も重要なことは、信頼できる専門家を見つけることです。不動産市場は情報が非対称になりがちな世界です。インターネットや書籍で知識を得ることも大切ですが、市場の最新動向や非公開の物件情報、法務・税務に関する専門的なアドバイスを提供できる不動産会社をパートナーにすることが、成功の確率を大きく高めます。まずは複数の会社に相談し、ご自身の考えに真摯に耳を傾けてくれる、信頼に足る担当者を探すことから始めてみてはいかがでしょうか。