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【2025年最新】新築マンション高騰は続く?供給減で注目される中古市場の今と賢い選び方

作成者: 稲澤大輔|2025/10/07 11:42:04 Z

お客様から不動産に関する様々なご相談を承る中で、特にここ数年、「新築マンションの価格が高騰しすぎて、なかなか手が出ない」というお声を頻繁に耳にするようになりました。実際、各種データを見ても、新築マンションの価格は上昇を続け、一方で供給戸数は減少傾向にあります。この状況は、多くの方にとって、住まい探しの大きな悩みとなっていることでしょう。

しかし、私たちは、このような市場の変化を悲観的に捉える必要はないと考えております。むしろ、これまで「住まい探しといえば、まずは新築」という固定観念に縛られていた方々にとって、より多様で、ご自身のライフスタイルや価値観に合った選択肢に目を向ける絶好の機会と捉えることができるのではないでしょうか。

その中心にあるのが、中古マンションという選択肢です。新築供給の減少は、結果として中古マンション市場の活性化を促し、良質な物件が市場に流通するきっかけともなっています。また、画一的な新築の間取りに満足できない方々にとっては、中古物件を購入し、自分たちの理想の空間を創り上げる「リノベーション」への関心も高まっています。

本記事では、なぜ新築マンションの供給が減少し、価格が高騰しているのか、その背景にある構造的な要因を分かりやすく解説いたします。そして、その影響が中古マンション市場にどのようなインパクトを与えているのかを分析し、皆様がこれからの時代に「賢い住宅選び」を実現するための具体的なチェックポイントを、専門的な知見を交えながらご提案させていただきます。皆様の住まい探しの一助となれば幸いです。

なぜ新築マンションの供給は減少しているのか?

新築マンションの供給が減少し、価格が高騰している背景には、単一の理由だけではなく、複数の要因が複雑に絡み合っています。ここでは、その中でも特に影響の大きい3つの要因について、データを交えながら解説します。

1. 建設コストの継続的な上昇

まず最も大きな要因として挙げられるのが、建設コストの上昇です。マンションの販売価格は、大きく「土地の取得費」と「建物の建築費」から構成されますが、近年、この建築費が著しく高騰しています。

その背景にあるのが、世界的な規模で発生している資材価格の高騰です。2021年頃から顕在化した「ウッドショック」による木材価格の上昇は記憶に新しいですが、それに加え、鉄骨や鉄筋の価格が上昇する「アイアンショック」、さらにはロシア・ウクライナ情勢の長期化に伴うエネルギー価格の上昇などが、あらゆる建築資材の価格を押し上げています。

さらに深刻なのが、建設業界における人手不足と人件費の上昇です。少子高齢化の進展により、建設現場で働く技能労働者は年々減少し、特に専門的な技術を持つ職人の確保は極めて困難になっています。国土交通省の調査によると、公共工事の労務単価は年々上昇を続けており、2025年3月には全国全職種平均で前年比6%の上昇を記録しました。これは、マンションの建築費に直接的に反映され、販売価格を押し上げる大きな要因となっています。

項目 内容 影響
資材価格の高騰 ウッドショック、アイアンショック、エネルギー価格の上昇 建築費全体の底上げ
人件費の上昇 建設技能労働者の不足、高齢化、専門職人の確保難 労務費の大幅な増加
2024年問題 働き方改革関連法による時間外労働の上限規制 工期の長期化、人件費のさらなる上昇懸念

2. 用地取得の困難化

次に、特に都心部において顕著なのが、マンション開発に適した土地の取得が困難になっている点です。利便性の高いエリアでは、依然として住宅需要が旺盛であるため、デベロッパー各社による用地取得競争が激化しています。ホテルやオフィスビルなど、他の用途との競合も激しく、土地の仕入れ価格は高止まりしています。

また、地権者が多数存在する土地の権利関係を調整するには多大な時間と労力を要するため、まとまった規模の土地を確保すること自体のハードルが非常に高くなっています。結果として、デベロッパーは限られた土地で最大限の利益を確保するために、販売価格を高く設定せざるを得ない状況にあります。

3. デベロッパーの供給戦略の変化

こうしたコスト上昇と用地取得難を背景に、不動産デベロッパーの供給戦略にも変化が見られます。かつてのように、大量の戸数を供給して販売するビジネスモデルから、一戸あたりの付加価値を高め、富裕層やパワーカップルなどをターゲットにした高価格帯の物件に注力する傾向が強まっています。

これは、一度に多くの戸数を販売するリスクを避け、少ない戸数でも確実に利益を確保しようとする経営判断の表れです。結果として、市場に供給されるマンションの総戸数は減少し、平均価格が押し上げられるという構造が生まれています。

実際に、不動産経済研究所が発表したデータを見ると、首都圏における新築マンションの発売戸数は減少傾向にある一方で、平均価格は上昇を続けていることが分かります。

【参考】首都圏 新築分譲マンション市場動向

期間 発売戸数 平均価格 ㎡単価
2025年8月 1,301戸 1億326万円 158.8万円
前年同月比 78.7% +8.3% +8.2%

出典: 株式会社不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向 2025年8月」

このように、資材や人件費といったコストの上昇、用地取得の難しさ、そしてデベロッパーの戦略転換という複合的な要因が、現在の新築マンション供給減少と価格高騰という状況を生み出しているのです。

新築供給減が中古マンション市場に与える3つのインパクト

新築マンション市場の変化は、対の関係にある中古マンション市場に直接的な影響を及ぼします。これまで新築を主な選択肢としていた層が中古市場に目を向け始めることで、市場の構造そのものが変化しつつあります。ここでは、代表的な3つのインパクトについて解説します。

1. 中古価格の上昇と需要の拡大

最も顕著なインパクトは、中古マンションの価格上昇と需要の拡大です。新築マンションの価格が高騰し、希望のエリアや広さの物件に手が届かなくなった層が、中古マンションを現実的な選択肢として検討し始めています。この需要のシフトが、中古市場全体の価格を押し上げる大きな要因となっています。

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が発表した2025年8月のデータによると、首都圏の中古マンション成約㎡単価は、実に64ヶ月連続で前年同月を上回るという驚異的な状況が続いています。成約件数も前年同月比で54.5%増と大幅に増加しており、市場の活況ぶりがうかがえます。

【参考】首都圏 中古マンション市場の概況(2025年8月)

項目 成約状況 前年同月比
成約件数 3,555件 +54.5%
成約㎡単価 84.85万円/㎡ +13.5%
成約価格 5,279万円 +13.5%

出典: 公益財団法人東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート 2025年8月度」

特に、駅からの距離が近い、築年数が浅い、管理状態が良好であるといった、いわゆる「好条件」の物件には買い手が集中し、新築時と変わらない、あるいはそれ以上の価格で取引されるケースも珍しくありません。この傾向は、今後も継続していくものと私たちは予測しています。

2. 「リノベーション」市場の活性化

次に注目すべきは、「リノベーション」を前提とした中古物件購入の一般化です。新築の画一的な間取りや内装に満足できない、あるいは、より自分たちらしい住空間を求める層が、中古マンションを購入して大規模な改修を行う「リノベーション」に価値を見出しています。

リノベーションには、以下のようなメリットがあります。

  • 自由な空間設計: 新築に比べて間取りの制約が少なく、ライフスタイルに合わせて自由に空間を設計できます。
  • コストコントロール: こだわりたい部分に予算を集中させ、不要な部分のコストを抑えるなど、メリハリのある資金計画が可能です。
  • 資産価値の向上: デザイン性や機能性を高めることで、物件の資産価値を維持、あるいは向上させることが期待できます。

新築の建築費が高騰している現在、同等の予算で「新築を購入する」場合と「好立地の中古を購入してリノベーションする」場合を比較すると、後者の方がより広く、より理想に近い住まいを実現できる可能性が高まっています。こうした背景から、リノベーション関連の市場は今後ますます拡大していくでしょう。

3. 資産価値の再評価と「立地」の重要性

かつて日本では「建物は築年数とともに価値が下がる」という考え方が根強く、新築物件が最も資産価値が高いとする「新築神話」が存在しました。しかし、新築供給が減少し、中古市場が活性化する中で、その価値基準は大きく変化しつつあります。

現在では、単に新しいというだけでは資産価値は担保されず、その物件が持つ本質的な価値、すなわち「立地」がより一層重視される時代になっています。交通の利便性、周辺施設の充実度、地域のブランドイメージといった要素は、景気の変動や市場の変化に左右されにくい、普遍的な価値を持つからです。

管理状態が良好で、かつ優れた立地にある中古マンションは、築年数が経過しても価値が下がりにくく、むしろ周辺の再開発などによって価値が上昇することさえあります。これは、不動産を「消費」する対象としてではなく、長期的な「資産」として捉える考え方が浸透してきたことの表れと言えるでしょう。新築・中古という枠組みを超え、その物件が持つポテンシャルを正しく見極める力が、これからの不動産選びには不可欠です。

賢い中古マンション選びの5つのチェックポイント

中古マンション市場が活性化する中で、数多くの物件の中からご自身にとって最適な一つを見つけ出すことは、決して容易ではありません。やみくもに物件を探すのではなく、明確な基準を持って臨むことが、後悔しないための鍵となります。ここでは、私たちがお客様に必ずお伝えしている、プロの視点からの5つのチェックポイントをご紹介します。

1. 立地と周辺環境:将来の資産価値を左右する最重要項目

不動産の価値は「立地で決まる」と言っても過言ではありません。将来にわたって資産価値が維持・向上しやすいかどうかを見極める上で、立地は最も重要な判断基準となります。具体的には、以下の点を総合的に評価する必要があります。

  • 交通利便性: 最寄り駅からの徒歩分数(一般的に10分以内が目安)、利用可能な路線の数、都心へのアクセス時間などを確認します。
  • 生活利便性: スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、病院、学校、公園といった生活に不可欠な施設が徒歩圏内に揃っているかを確認します。
  • 地域の将来性: 周辺で再開発計画が予定されていないか、人口が増加傾向にあるかなど、そのエリアの将来性も重要な判断材料です。自治体の都市計画などを確認するのも有効です。

2. 管理状況:建物の寿命と住み心地に直結

マンションは「管理を買え」という格言があるほど、管理状況の良し悪しは、建物の寿命、住み心地、そして将来の資産価値に極めて大きな影響を与えます。どれだけ立地が良くても、管理がずさんな物件は避けるべきです。購入を検討する際には、必ず以下の書類に目を通し、管理組合が適切に機能しているかを確認してください。

  • 長期修繕計画: 将来にわたって建物を維持していくための、計画的な修繕工事(大規模修繕工事など)の予定と予算が記載されています。計画が具体的で、現実的な資金計画に基づいているかを確認します。
  • 修繕積立金の状況: 長期修繕計画を実行するために、区分所有者から毎月徴収している修繕積立金の総額と、各戸の滞納状況を確認します。積立金が計画に対して不足していないか、滞納者が多くないかは重要なチェックポイントです。
  • 総会の議事録: 管理組合の運営方針や、居住者間でどのような問題が議論されているかを知るための貴重な情報源です。少なくとも過去2〜3年分は確認することをお勧めします。

3. 築年数と耐震基準:メリット・デメリットを正しく理解

築年数は価格を左右する大きな要素ですが、単に新しい方が良い、古い方が悪いと判断するのは早計です。築年数ごとに異なるメリット・デメリットを正しく理解し、ご自身の予算やライフプランと照らし合わせることが重要です。特に、建物の構造的な安全性を担保する耐震基準は必ず確認してください。1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物に適用される「新耐震基準」を満たしていることが、一つの目安となります。

【築年数別のメリット・デメリット比較】

築年帯 メリット デメリット
築5年以内 ・新築同様のきれいさ・最新設備
・当面は修繕の心配が少ない
・価格が高い
・新築からの価格下落率が大きい
築6年~15年 ・価格が比較的こなれてくる
・デザインや設備が古すぎない
・1回目の大規模修繕が完了している場合がある
・設備の交換時期が近い場合がある
・修繕積立金が値上がりする可能性がある
築16年~30年 ・価格が手頃になる
・リノベーションのベースとして最適
・管理状態の良い物件は狙い目
・複数回の大規模修繕が必要になる
・配管など見えない部分の劣化に注意が必要
築31年以上 ・価格が非常に安い
・好立地の掘り出し物が見つかる可能性がある
・耐震性(旧耐震基準の可能性)に注意
・住宅ローン控除が利用できない場合がある
・リノベーション費用が高額になる可能性がある

4. 間取りとリノベーションの可能性

現在の家族構成やライフスタイルに合っているかはもちろんのこと、将来的な変化にも対応できる柔軟性のある間取りかという視点も大切です。例えば、子供の成長に合わせて部屋を分割したり、将来的に在宅ワーク用のスペースを確保したりといったことが可能かどうかを確認します。

また、リノベーションを検討している場合は、構造上の制約にも注意が必要です。特に、壁で建物を支える「壁式構造」のマンションは、室内の壁を撤去できない場合が多く、間取りの変更に大きな制約がかかります。一方で、柱と梁で支える「ラーメン構造」は、比較的自由な間取り変更が可能です。内見の際に、不動産会社の担当者に構造形式を確認しましょう。

5. 資金計画と住宅ローン

最後に、最も重要なのが無理のない資金計画です。物件価格だけに目を奪われず、購入時にかかる諸費用(仲介手数料、登記費用、不動産取得税など)や、リノベーションを行う場合はその費用まで含めた「総額」で考える必要があります。一般的に、諸費用は物件価格の6〜9%程度が目安となります。

また、住宅ローンを利用する際は、金融機関によって築年数や建物の構造に対する評価が異なるため、希望の物件でローンが組めるか、どのくらいの金額まで借り入れが可能なのかを、事前に確認しておくことが不可欠です。複数の金融機関に相談し、ご自身にとって最も有利な条件を引き出すことをお勧めします。私たちのような不動産のプロにご相談いただければ、資金計画や金融機関のご紹介も含め、トータルでサポートさせていただきます。

まとめ:変化の時代を乗りこなす、戦略的な不動産選び

本記事では、新築マンションの供給減少と価格高騰の背景から、それが中古マンション市場に与える影響、そして賢い中古マンション選びの具体的なチェックポイントまでを解説してまいりました。

資材価格や人件費の上昇といった建設コストの構造的な問題は、一朝一夕に解決されるものではなく、新築マンションの価格は今後も高止まり、あるいは緩やかに上昇を続ける可能性が高いと私たちは見ています。このような状況下で、理想の住まいを実現するためには、これまで以上に戦略的な視点が求められます。

新築という選択肢だけに固執せず、中古市場に目を向けることで、より良い立地の物件を、より手頃な価格で手に入れ、自分たちのライフスタイルに合わせて自由にリノベーションするという、新たな可能性が広がります。それは、画一的な「商品」としての家を選ぶのではなく、自分たちだけの「資産」としての住まいを創造する、ということに他なりません。

もちろん、中古マンションには、物件ごとに状態が大きく異なるといった特有の難しさもあります。だからこそ、信頼できる情報源から知識を得て、立地や管理状況といった本質的な価値を見極める「目」を養うことが不可欠です。

今回の記事が、皆様の住まい選びの羅針盤となり、変化の時代を乗りこなし、ご自身とご家族にとって最良の選択をするための一助となれば、これに勝る喜びはありません。INA&Associates株式会社では、豊富な経験と専門知識を持つプロフェッショナルが、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適な不動産選びを、資金計画からサポートいたします。不動産に関するお悩みやご相談がございましたら、どうぞお気軽にお声がけください。

よくある質問(Q&A)

Q1. 中古マンションの「買い時」はいつですか?

A1. 不動産価格は様々な経済情勢の影響を受けるため、「いつが絶対的な買い時」と断言することは困難です。しかし、現在のように中古市場に需要がシフトしている状況では、良い条件の物件はすぐに売れてしまいます。価格の変動に一喜一憂するよりも、ご自身のライフプラン(結婚、出産、転勤など)や資金計画が整った時が、あなたにとっての「買い時」と言えるでしょう。信頼できるパートナーを見つけ、常に市場の動向を注視しながら、好機を逃さない準備をしておくことが重要です。

Q2. 築年数が古い物件でも大丈夫でしょうか?

A2. 築年数が古くても、一概に悪い物件とは限りません。重要なのは、1981年6月以降の「新耐震基準」で建てられているかと、管理状態が良好であるかです。特に、長期修繕計画がしっかりと立てられ、修繕積立金が潤沢に貯まっているマンションは、築年数が古くても資産価値が維持されやすい傾向にあります。むしろ、同じ予算であれば、新築よりも格段に良い立地の物件を選べるという大きなメリットがあります。内装はリノベーションで一新できますので、建物の構造と管理状態を重点的にチェックしましょう。

Q3. リノベーション費用はどのくらいかかりますか?

A3. リノベーション費用は、工事の規模や内装材のグレードによって大きく変動しますが、一般的には1㎡あたり10万円~20万円程度が目安となります。例えば、70㎡のマンションを全面的にリノベーションする場合、700万円~1,400万円程度を見ておくとよいでしょう。ただし、これはあくまで目安であり、間取りの変更規模や設備のグレードによって費用は上下します。複数のリノベーション会社から相見積もりを取り、ご自身の希望と予算に合ったプランを見つけることが大切です。

Q4. 値下がりしにくい中古マンションの特徴は?

A4. 資産価値が維持され、値下がりしにくい中古マンションには、いくつかの共通した特徴があります。

  • 駅からの距離が近い(徒歩10分以内)
  • 複数の路線が利用できるターミナル駅が最寄り
  • 周辺に商業施設や公共施設が充実している
  • 管理状態が非常に良好である(清掃が行き届いている、修繕履歴が明確など)
  • 総戸数が50戸以上など、一定の規模がある(管理費や修繕積立金が安定しやすいため)
  • 地域のブランドイメージが良い

これらの条件を複数満たす物件は、景気の影響を受けにくく、将来的に売却や賃貸に出す際にも有利になります。