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六本木5丁目西地区再開発〜第2六本木ヒルズ 最新情報

作成者: 稲澤大輔|2025/05/12 8:26:28 Z

東京都ホームページより引用

六本木5丁目西地区再開発(六本木五丁目西地区第一種市街地再開発事業)は、六本木ヒルズに隣接する広大なエリアを対象とする東京最大級の再開発事業です。通称「第2六本木ヒルズ」とも呼ばれるこのプロジェクトは、森ビル株式会社と住友不動産株式会社が共同で推進しており、六本木の街並みを大きく変える画期的な都市開発となる見込みです。

基本情報

  • 正式名称: 六本木五丁目西地区第一種市街地再開発事業
  • 所在地: 東京都港区六本木5・6丁目、麻布十番1丁目
  • 開発事業主: 森ビル株式会社、住友不動産株式会社
  • 事業面積: 約10.3ヘクタール(約8万平方メートル)
  • 総延床面積: 約108万平方メートル
  • 総事業費: 約8,000億円(日本国内の再開発事業としては過去最大級)
  • 着工予定: 2025年度
  • 竣工予定: 2030年度
  • 主要コンセプト: 「安全安心で緑豊かな丘陵都市」

1. 計画の特徴と施設概要

内閣府ホームページより引用

A街区

A-1街区

  • 地上66階・地下8階建て超高層ビル
  • 高さ: 約327メートル(日本一の高層ビル「麻布台ヒルズ森JPタワー」に匹敵)
  • 主要用途: オフィス、ホテル、商業施設、文化施設、展望施設
  • 延床面積: 約794,500平方メートル
  • 特徴: 最上階には都心を一望できる展望施設を設置

A-2街区

  • 地上3階建てビル
  • 主要用途: 寺院

A-3街区

  • 地上3階・地下1階建てビル
  • 主要用途: 教会

B街区

  • 地上70階・地下5階建て超高層マンション
  • 高さ: 約288メートル(日本一の高さとなるタワーマンション)
  • 主要用途: 住居(約800戸)、店舗、オフィス
  • 延床面積: 約239,100平方メートル
  • 特徴: 24時間対応のバイリンガルコンシェルジュサービス、ポーターサービス、フィットネスジムなど国際水準の住居施設

C街区

  • 地上6階建てビル
  • 主要用途: 学校(東洋英和女学院小学部、東洋英和幼稚園)
  • 延床面積: 約16,900平方メートル

D街区

  • 地上3階・地下1階建てビル
  • 主要用途: イベントホール、ホテル
  • 特徴: 既存の国際文化会館・旧岩崎邸の庭園を保全

E街区

  • 地上9階・地下3階建てビル
  • 主要用途: 住居、店舗
  • 延床面積: 約29,200平方メートル

2. 開発の背景と目的

現状の課題

  1. 交通・アクセス面の課題

    • 六本木駅および交差点周辺に十分な滞留空間がない
    • バリアフリー非対応な場所が多い
    • 駅周辺の乗換利便性が低い(バス・タクシー乗り場が分散)
    • 地区の東西を連絡する歩行者ネットワークの欠如
    • 高低差のある地形により、急勾配道路となっている歩行者空間
  2. 交通環境の課題

    • 外苑東通りと環状第3号線間を行き来する通過交通が特別区道へ流入
    • 六本木五丁目交差点における右折車線の容量不足
    • 新一の橋交差点における右折車線の容量不足
  3. 防災面の課題

    • 細い街路や行き止まりの道路が多い
    • 緊急輸送道路沿いに多数の旧耐震基準の建物が残存
    • 土砂災害特別警戒区域が広範囲に指定

開発目的

  1. 都市機能の強化

    • 六本木駅周辺の交通結節機能の強化
    • 地下鉄駅などの交通結節機能の強化
    • 文化性や国際性の豊かな商業・業務・交流機能の集積の促進
  2. 国際競争力の向上

    • 外国人を含めた多様な人々のニーズに対応した居住、文化、教育などの生活環境の整備
    • 「六本木の特性を活かした文化・交流(MICE)・宿泊機能等の整備」
    • 国際会議など大規模イベントの開催も可能なイベントホール(約2,000平方メートル)の設置
  3. 環境・防災面の強化

    • 約16,000平方メートルの立体的な屋上庭園「都心の森」の整備
    • 国際文化会館の庭園と連なる緑豊かな空間の創出
    • 災害時の帰宅困難者のための滞留空間(約5,000平方メートル)の確保
    • 防災備蓄庫の整備、非常災害用井戸の整備等

3. 進捗状況と今後のスケジュール

本再開発は2008年3月に計画が始まり、以下のような経緯で進んでいます。

これまでの経緯

  • 2008年3月: 六本木五丁目西地区市街地再開発準備組合が設立
  • 2011年末: 住友不動産が事業受託者として参加
  • 2019年11月: 新たな基本計画が策定
  • 2023年夏: 森ビルと住友不動産が東京都などに都市計画案を提出
  • 2024年4月8日: 「六本木五丁目西地区第一種市街地再開発事業」の都市計画が決定
  • 2024年度: 再開発組合の設立認可を受ける

今後のスケジュール

  • 2025年度: 権利変換計画認可と工事着工
  • 2030年度: 建物竣工予定
  • 2035年度: 六本木駅接続通路完成予定

4. 期待される効果

経済的効果

  • 周辺の再開発との相乗効果により、東京駅周辺の「大丸有」地区に肩を並べる東京都心の中核エリアへの発展が期待される
  • 一日当たり約6万人の来訪者を見込む
  • 国際ビジネス拠点としての東京の競争力強化に寄与

都市環境の改善

  • 六本木の知名度にふさわしい街並みへの変貌
  • 雑然とした六本木駅周辺の刷新
  • 緑豊かな立体的都市空間の創出
  • 歴史的資源(国際文化会館など)の保全と活用

国際競争力の強化

  • 外国人高度人材向けの国際水準の居住施設の提供
  • 国際会議などの大規模イベント開催が可能な施設の整備
  • 文化・交流機能の拡充

5. まとめ

六本木5丁目西地区再開発(第2六本木ヒルズ)は、2030年の完成を目指す国内最大級の都市再開発プロジェクトです。高さ327メートルと288メートルの2棟の超高層ビルを中心に、オフィス、住宅、商業、文化、教育施設などが集積する複合都市空間が創出されます。

事業費約8,000億円という規模の大きさから、単なる建物の建設にとどまらず、六本木の街の風景を一変させる壮大なプロジェクトと言えるでしょう。2003年に完成した六本木ヒルズが六本木の街のイメージを大きく変えたように、この再開発も完成すれば、六本木の更なる国際化と高度化に大きく貢献することが期待されます。