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不動産買取再販業者とは?

作成者: 稲澤大輔|2025/06/04 0:59:21 Z
不動産の売却を検討されている方の中には、「できるだけ早く現金化したい」「仲介手数料を抑えたい」「内覧対応の手間を省きたい」といったニーズをお持ちの方が多くいらっしゃいます。
そのような方々にとって、不動産買取再販業者は非常に有効な選択肢となります。
しかし、「買取再販業者とは具体的にどのような事業者なのか」「従来の仲介業者とはどう違うのか」「利用する際のメリットやデメリットは何か」といった疑問をお持ちの方も少なくありません。
本記事では、INA&Associatesとして長年不動産業界に携わってきた経験を基に、不動産買取再販業者の仕組みから選び方まで、一般消費者の皆様にとって有益な情報を詳しく解説いたします。

不動産売却の新たな選択肢として、買取再販業者の活用をご検討いただく際の参考にしていただければ幸いです。

不動産買取再販業者の基本概念

買取再販業者の定義と役割

不動産買取再販業者とは、個人や法人から不動産を直接買い取り、必要に応じてリノベーションやリフォームを施した後、第三者に再販売する事業を行う不動産会社のことです。

この事業モデルは、従来の仲介業務とは根本的に異なる特徴を持っています。
買取再販業者の主な役割は、不動産市場における流動性の向上価値の最大化にあります。
築年数が経過した物件や立地条件に課題がある物件であっても、専門的な知識と技術を活用してリノベーションを行い、市場価値を高めて再販することで、不動産の有効活用を促進しています。
また、買取再販業者は在庫リスクを負担する点も重要な特徴です。
物件を買い取った時点で所有権が移転するため、市場動向の変化や想定外の修繕費用の発生など、様々なリスクを事業者が負担することになります。

このリスク負担の対価として、買取価格は市場価格よりも一定程度低く設定されるのが一般的です。

従来の仲介業者との根本的な違い

不動産買取再販業者と従来の仲介業者の違いを理解することは、適切な売却方法を選択する上で極めて重要です。

以下の表で主要な違いを整理いたします。

項目

買取再販業者

仲介業者

取引形態

直接買取(業者が買主)

仲介(第三者への売却を仲介)

売却期間

即日~1週間程度

3~6ヶ月程度

売却価格

市場価格の70~80%程度

市場価格に近い価格

手数料

不要

仲介手数料(3%+6万円+消費税)

内覧対応

不要

必要

契約不適合責任

免責される場合が多い

売主が負担

現金化時期

決済と同時

買主の住宅ローン承認後

仲介業者は売主と買主の橋渡し役として機能し、できるだけ高い価格での売却を目指します。

一方、買取再販業者は最終的な買主として物件を取得し、自社のリスクで事業を行います。

この根本的な違いが、取引条件や手続きの違いを生み出しています。

業界における位置づけと市場規模

国土交通省の統計によると、中古住宅流通市場における買取再販の割合は年々増加傾向にあります。

特に首都圏では、中古マンション取引の約15~20%が買取再販によるものとなっており、不動産流通市場において重要な役割を担っています。
買取再販業者の増加背景には、以下のような市場環境の変化があります。
住宅ストックの老朽化が進む中で、築年数の経過した物件を現代のライフスタイルに合わせてリノベーションし、新たな価値を創造するニーズが高まっています。
特に都市部では、立地の良い中古物件をリノベーションして再販する事業モデルが確立されています。
消費者の価値観の多様化も重要な要因です。
「早期現金化を重視する売主」と「リノベーション済み物件を求める買主」の両方のニーズに応えることで、買取再販業者は市場における独自のポジションを確立しています。
金融環境の変化も影響しています。
低金利環境が続く中で、不動産投資に対する関心が高まり、買取再販事業への参入企業が増加しています。

また、金融機関も買取再販事業に対する融資姿勢を積極化させており、事業拡大を後押ししています。

買取再販の仕組みとプロセス

買取から再販までの全体フロー

買取再販事業は、物件の取得価値向上のための改修市場への再販という3つの主要段階で構成されています。

各段階における詳細なプロセスを以下に解説いたします。

第1段階:物件の買取プロセス

買取再販業者による物件取得は、以下のステップで進行します。

査定・調査段階では、対象物件の立地条件、建物の状況、法的制約、市場動向などを総合的に評価します。

この段階で重要なのは、再販時の想定価格改修費用の見積もりを正確に算出することです。

経験豊富な買取再販業者は、独自のデータベースと専門知識を活用して、精度の高い査定を行います。

買取価格の決定においては、以下の要素が考慮されます。

再販想定価格

改修・リノベーション費用

保有期間中の諸経費(固定資産税、管理費等)

販売活動費用

適正な事業利益

これらの要素を総合的に勘案し、市場価格の70~85%程度で買取価格が設定されるのが一般的です。

契約・決済は、売主との合意が成立次第、迅速に進められます。

多くの場合、査定から決済まで1~2週間程度で完了し、売主は現金を受け取ることができます。

第2段階:価値向上のための改修・リノベーション

買取後の改修工程は、買取再販事業の付加価値創造の核心部分です。

改修計画の策定では、ターゲットとする購入者層を明確にし、そのニーズに合わせた改修内容を決定します。

例えば、ファミリー層をターゲットとする場合は機能性と安全性を重視し、単身者向けの場合はデザイン性と利便性を重視した改修を行います。

工事の実施においては、以下のような改修が一般的に行われます。

水回り設備の更新(キッチン、浴室、洗面台、トイレ)

内装の全面リニューアル(壁紙、床材、照明器具)

間取りの変更(壁の撤去・新設による空間の再構成)

設備の更新(給湯器、エアコン、インターホン等)

外観の改善(外壁塗装、バルコニー改修等)

品質管理は事業成功の重要な要素です。

施工品質の確保と工期の遵守により、計画通りの事業推進を実現します。

第3段階:市場への再販活動

改修完了後の再販活動では、適切な価格設定効果的な販売戦略が重要になります。

価格設定では、改修後の物件価値、周辺相場、市場動向を総合的に分析し、適正な販売価格を決定します。

価格設定が高すぎると販売期間が長期化し、低すぎると収益性が悪化するため、市場感覚に基づいた精密な価格設定が求められます。

販売活動では、不動産ポータルサイトへの掲載、仲介業者への情報提供、モデルルーム的な内覧環境の整備などを行います。

改修によって向上した物件の魅力を効果的にアピールすることで、早期売却を目指します。

価格決定の仕組みと算定根拠

買取再販業者の価格決定プロセスは、科学的な分析経験に基づく判断の組み合わせによって行われます。

買取価格の算定方法

買取価格は、以下の計算式で算定されます。
買取価格=再販想定価格-改修費用-諸経費-適正利益

再販想定価格の算定では、類似物件の成約事例、現在の市場動向、立地特性などを総合的に分析します。

この分析には、不動産鑑定士や宅地建物取引士などの専門資格を持つ人財の知見が活用されます。
改修費用の見積もりでは、建物の現況調査結果に基づき、必要な工事内容と費用を詳細に算出します。
経験豊富な買取再販業者は、過去の施工実績データを活用して、精度の高い費用見積もりを行います。

諸経費には、以下のような項目が含まれます。

費用項目 内容
保有期間中の固定費 固定資産税、都市計画税、管理費、修繕積立金
金融費用 買取資金の調達コスト、金利負担
販売費用 広告宣伝費、仲介手数料、登記費用
その他 保険料、税理士費用、各種手続き費用

再販価格の設定戦略

再販価格の設定では、市場競争力収益性のバランスを取ることが重要です。

競合物件分析では、同一エリア内の類似物件の販売状況、価格動向、販売期間などを詳細に調査します。
この分析により、適切な価格帯と差別化ポイントを明確にします。
ターゲット顧客の設定では、立地特性、物件特性、改修内容に基づいて、最も訴求力の高い顧客層を特定します。

ターゲット顧客のニーズと購買力に合わせた価格設定を行うことで、効率的な販売を実現します。

リノベーション・リフォームの戦略的役割

買取再販事業において、リノベーション・リフォームは単なる原状回復ではなく、付加価値創造の重要な手段として位置づけられています。

現代的ライフスタイルへの対応

現代の住宅購入者が求める機能性と快適性を実現するため、以下のような改修が重視されています。

オープンキッチンの採用により、家族のコミュニケーションを促進し、開放感のある住空間を創造します。
従来の独立型キッチンから、リビング・ダイニングと一体化したレイアウトへの変更は、特にファミリー層から高い評価を得ています。
収納スペースの充実では、現代の多様な生活用品に対応できる収納計画を立案します。
ウォークインクローゼット、パントリー、リビング収納などを効果的に配置することで、すっきりとした住環境を実現します。
テレワーク対応として、在宅勤務に適したワークスペースの確保も重要な要素となっています。

独立した書斎の設置や、リビングの一角にワークコーナーを設けるなど、新しい働き方に対応した空間づくりが求められています。

省エネルギー・環境配慮

断熱性能の向上により、居住快適性の向上と光熱費の削減を実現します。

窓の複層ガラス化、断熱材の追加、気密性の向上などにより、年間を通じて快適な室内環境を提供します。
省エネ設備の導入では、LED照明、高効率給湯器、省エネエアコンなどの採用により、ランニングコストの削減を図ります。

これらの設備投資は、購入者にとって長期的なメリットとなるため、物件の競争力向上に寄与します。

デザイン性と機能性の両立

現代的なデザインの採用により、築年数を感じさせない魅力的な住空間を創造します。

トレンドを取り入れつつも、長期間にわたって飽きのこないデザインを選択することが重要です。
ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、年齢や身体能力に関わらず使いやすい住環境を整備します。

段差の解消、手すりの設置、広い廊下幅の確保などにより、将来にわたって安心して住み続けられる住宅を提供します。

買取再販のメリット・デメリット

売主側から見たメリット

不動産買取再販業者を利用する売主にとって、以下のような明確なメリットがあります。

迅速な現金化の実現

最大のメリットは、売却から現金化までの期間の短さです。

従来の仲介による売却では、買主探しから契約、住宅ローンの承認、決済まで3~6ヶ月程度を要するのが一般的です。
一方、買取再販業者を利用した場合、査定から決済まで1~2週間程度で完了するため、急な資金需要に対応できます。
この迅速性は、以下のような状況にある売主にとって特に価値があります。
相続による不動産取得の場合、相続税の納付期限や遺産分割の必要性から、早期の現金化が求められることがあります。
買取再販業者の利用により、相続手続きをスムーズに進めることができます。
転勤や転職による住み替えの場合、新居の購入資金や引越し費用の確保が急務となります。
売却期間の短縮により、計画的な住み替えが可能になります。

事業資金の調達が必要な場合、不動産を迅速に現金化することで、ビジネスチャンスを逃すことなく資金調達を行えます。

売却に伴う負担の軽減

内覧対応の不要は、特に居住中の物件を売却する場合に大きなメリットとなります。

仲介による売却では、週末を中心に複数回の内覧対応が必要となり、日常生活に大きな影響を与えます。
買取再販業者の場合、業者による査定のみで売却が完了するため、このような負担がありません。
契約不適合責任の免責により、売却後のトラブルリスクを回避できます。
従来の売買では、売主は物件の隠れた瑕疵について一定期間の責任を負いますが、買取再販業者との取引では、この責任が免責される場合が多く、売却後の安心感が得られます。
仲介手数料の不要により、売却コストを削減できます。

仲介手数料は「売却価格×3%+6万円+消費税」となるため、高額物件ほど節約効果が大きくなります。

確実性の高い取引

買主の住宅ローン審査リスクの回避ができます。

仲介による売却では、契約後に買主の住宅ローン審査が否認されるリスクがありますが、買取再販業者は現金または自社の事業資金で買い取るため、このようなリスクがありません。
市場動向の影響を受けにくいという特徴もあります。

仲介による売却では、売却期間中の市場価格下落リスクがありますが、買取の場合は査定時点で価格が確定するため、市場変動の影響を受けません。

売主側から見たデメリット

一方で、買取再販業者の利用には以下のようなデメリットも存在します。

売却価格の制約

最大のデメリットは、売却価格が市場価格を下回ることです。

一般的に、買取価格は市場価格の70~85%程度に設定されます。
この価格差は、買取再販業者が負担するリスクと事業コストの対価として設定されています。

価格差の要因を詳細に分析すると、以下のような構成になります。

項目

市場価格に対する割合

改修・リノベーション費用

10~15%

保有期間中の諸経費

2~3%

販売活動費用

2~3%

事業リスクと適正利益

5~10%

合計削減額

19~31%

この価格差を投資対効果の観点から評価することが重要です。

迅速な現金化、手続きの簡素化、リスクの回避などのメリットと価格差を総合的に判断し、売主にとって最適な選択を行う必要があります。

選択肢の限定

買取業者の選択肢が仲介業者と比較して限定的である点もデメリットの一つです。

すべての不動産会社が買取再販事業を行っているわけではないため、地域によっては選択肢が少ない場合があります。
物件の種類による制約も存在します。

買取再販業者は、再販の見込みが立つ物件を中心に買取を行うため、立地条件や建物の状況によっては買取を断られる場合があります。

買主側から見たメリット

買取再販物件の購入者にとっても、以下のようなメリットがあります。

リノベーション済み物件の取得

即入居可能な状態で物件を取得できることは、買主にとって大きなメリットです。

水回り設備、内装、設備機器などが新品または新品同様の状態に更新されているため、購入後すぐに快適な住環境を享受できます。
現代的な住環境を手に入れることができます。
築年数の経過した物件であっても、最新の設備や現代的なデザインが採用されているため、新築物件に近い住み心地を実現できます。
リノベーション費用の節約も重要なメリットです。

個人でリノベーションを行う場合と比較して、買取再販業者はスケールメリットを活用して効率的な改修を行うため、結果的に購入者の負担軽減につながります。

品質の担保

専門業者による施工により、一定の品質が担保されています。

買取再販業者は、自社の信用に関わるため、施工品質の管理を徹底しており、個人が行うリフォームと比較して安心感があります。
アフターサービスの提供も期待できます。

多くの買取再販業者は、販売後の不具合対応やメンテナンスサービスを提供しており、購入後の安心感を提供しています。

買主側から見たデメリット

一方で、買主にとっては以下のようなデメリットも考慮する必要があります。

カスタマイズの制約

個人の好みに合わせたカスタマイズが困難である点がデメリットとして挙げられます。

買取再販業者は、より多くの購入希望者にアピールするため、一般的な好みに合わせた改修を行います。
そのため、個人の特殊なニーズや好みには対応していない場合があります。
将来の変更コストも考慮が必要です。

購入後に間取りや設備を変更したい場合、新しい設備を撤去して再度工事を行う必要があり、コストが割高になる可能性があります。

価格プレミアム

新築物件との価格差が期待ほど大きくない場合があります。

立地条件の良い物件では、リノベーション費用が上乗せされた結果、新築物件との価格差が小さくなることがあります。
周辺相場との比較も重要です。

同じエリアの類似物件と比較して、リノベーション費用分の価格上昇が適正かどうかを慎重に判断する必要があります。

メリット・デメリットの総合評価

買取再販の利用を検討する際は、以下の評価軸で総合的に判断することが重要です。

時間価値の評価

時間的メリットを金銭価値に換算して評価します。

早期現金化により得られる機会利益、内覧対応などの時間コスト削減効果、精神的負担の軽減効果などを総合的に評価し、価格差と比較検討します。

リスク許容度の評価

リスク回避価値を適切に評価します。

契約不適合責任の免責、買主の住宅ローン審査リスクの回避、市場価格変動リスクの回避などの価値を、売主のリスク許容度に応じて評価します。

個別事情の考慮

売主の個別事情を十分に考慮した判断が必要です。

資金需要の緊急性、物件の維持管理負担、税務上の考慮事項などを総合的に勘案し、最適な売却方法を選択します。

買取再販業者の選び方

信頼できる業者の見極め方

買取再販業者の選択は、取引の成功を左右する重要な要素です。
以下の評価基準に基づいて、慎重に業者を選定することが必要です。

事業実績と経験の評価

取引実績の確認は、業者選定の基本となります。

年間の買取件数、取扱金額、事業継続年数などの定量的な実績を確認し、安定した事業基盤を持つ業者を選択します。
専門性の評価では、対象エリアでの取引経験、物件種別への対応実績、リノベーション技術力などを総合的に判断します。
地域特性を理解し、適切な改修計画を立案できる業者を選ぶことが重要です。
過去の取引事例を確認することで、業者の実力を具体的に把握できます。

Before/Afterの写真、改修内容、販売実績などの情報を通じて、業者の技術力とセンスを評価します。

財務健全性の確認

資本金と財務状況の確認により、業者の安定性を評価します。

買取には相当な資金力が必要であり、財務基盤の弱い業者では取引途中での資金ショートリスクがあります。
金融機関との関係も重要な評価要素です。
主要金融機関からの融資実績や信用状況を確認することで、業者の信頼性を判断できます。
保険加入状況の確認も必要です。

事業者賠償責任保険、工事保険などの適切な保険に加入している業者を選択することで、万一の事故やトラブルに対する備えを確認できます。

法的コンプライアンスの確認

宅地建物取引業免許の確認は必須です。

免許番号、更新回数、行政処分歴などを国土交通省のネガティブ情報検索システムで確認し、適正な業務を行っている業者を選択します。
建設業許可の有無も重要です。
大規模なリノベーションを行う場合、建設業許可が必要となるため、許可を取得している業者の方が安心です。
業界団体への加盟状況を確認することで、業者の信頼性を評価できます。

全国宅地建物取引業協会連合会、不動産流通経営協会などの主要団体への加盟は、一定の信頼性の証明となります。

査定価格の妥当性評価

複数業者による比較査定

3~5社程度の業者から査定を取得し、価格の妥当性を評価します。

極端に高い査定や低い査定を提示する業者については、その根拠を詳細に確認する必要があります。
査定根拠の説明を求めることで、業者の専門性を評価できます。
類似物件の成約事例、改修計画、再販想定価格などの具体的な根拠を示せる業者は、信頼性が高いと判断できます。
査定書の内容を詳細に確認します。

物件の評価ポイント、改修予定箇所、想定される課題などが明記されている査定書は、業者の専門性の高さを示しています。

市場価格との比較分析

周辺相場の調査を独自に行い、査定価格の妥当性を検証します。

不動産ポータルサイト、公示地価、路線価などの公開情報を活用して、客観的な価格水準を把握します。
類似物件の成約事例を調査し、査定価格との整合性を確認します。

築年数、面積、立地条件などが類似する物件の成約価格と比較することで、査定価格の適正性を判断できます。

契約条件の詳細確認

買取価格と支払条件

価格の確定性を確認します。

査定価格が確定価格なのか、契約時に変更される可能性があるのかを明確にします。
また、価格変更の条件がある場合は、その具体的な内容を確認します。
支払時期と方法の詳細を確認します。
手付金の額、中間金の有無、残代金の支払時期などを明確にし、資金計画に支障がないことを確認します。
諸費用の負担区分を明確にします。

登記費用、印紙代、固定資産税の精算などの負担区分を事前に確認し、想定外の費用負担を避けます。

契約解除条件と責任範囲

契約解除条件を詳細に確認します。

買主側の都合による解除条件、売主側の解除権、手付解除の期限などを明確にし、双方の権利義務を理解します。
契約不適合責任の範囲を確認します。
免責される範囲、免責されない事項、責任期間などを明確にし、売却後のリスクを適切に評価します。
引渡し条件を詳細に取り決めます。

引渡し時期、物件の現況、残置物の処理、鍵の引渡し方法などを明確にし、スムーズな取引を実現します。

業者選定のチェックリスト

以下のチェックリストを活用して、総合的な業者評価を行います。
評価項目 確認内容 評価
事業実績 年間買取件数、事業継続年数 ○/△/×
財務健全性 資本金、金融機関との関係 ○/△/×
法的適合性 免許・許可の取得状況 ○/△/×
査定の妥当性 査定根拠の明確性 ○/△/×
契約条件 価格・支払条件の明確性 ○/△/×
対応品質 説明の丁寧さ、レスポンス ○/△/×
アフターサービス 売却後のサポート体制 ○/△/×

注意すべき業者の特徴

避けるべき業者の特徴

極端に高い査定価格を提示する業者には注意が必要です。

契約後に価格を下げる、契約を一方的に解除するなどのトラブルが発生する可能性があります。
査定根拠を明確に説明できない業者は、専門性に疑問があります。
適当な査定を行っている可能性があり、取引の安全性に問題があります。
契約を急かす業者も注意が必要です。
十分な検討時間を与えず、不利な条件での契約を迫る可能性があります。
過度な営業活動を行う業者は、業績に問題がある可能性があります。

頻繁な電話連絡、強引な訪問営業などは、健全な事業運営に疑問を抱かせます。

トラブル回避のための対策

契約書の詳細確認を必ず行います。

不明な条項がある場合は、契約前に必ず確認し、理解できない内容での契約は避けます。
第三者の意見を求めることも有効です。
不動産に詳しい知人、税理士、弁護士などの専門家に相談し、客観的な意見を参考にします。
冷静な判断期間を確保します。

即決を求められても、最低でも数日間の検討期間を設け、冷静な判断を行います。

優良業者の見極めポイント

積極的に選ぶべき業者の特徴

透明性の高い説明を行う業者は信頼できます。

査定根拠、事業計画、リスク要因などを包み隠さず説明し、顧客の理解を重視する姿勢は、優良業者の特徴です。
地域密着型の営業を行う業者は、地域特性を深く理解しており、適切な査定と改修計画を立案できます。
長期間にわたって地域で事業を継続している実績は、信頼性の証明となります。
アフターサービスの充実も重要な評価ポイントです。
売却後の税務相談、次の住まい探しのサポートなど、総合的なサービスを提供する業者は、顧客満足度が高い傾向があります。
技術力の高さを示す業者を選択します。

建築士、インテリアコーディネーターなどの専門人財を擁し、高品質なリノベーションを実現できる業者は、再販価格の向上につながり、結果的に買取価格の向上も期待できます。

まとめ

不動産買取再販業者は、従来の仲介による売却とは異なる新しい選択肢として、不動産市場において重要な役割を担っています。

本記事で解説した内容を踏まえ、以下の要点を改めて整理いたします。

買取再販業者活用の要点

迅速な現金化手続きの簡素化が最大のメリットです。

査定から決済まで1~2週間程度で完了し、内覧対応や契約不適合責任などの負担を回避できます。
一方で、売却価格は市場価格の70~85%程度となるため、時間価値とのトレードオフを適切に評価することが重要です。
業者選定の重要性は極めて高く、事業実績、財務健全性、法的コンプライアンス、査定の妥当性などを総合的に評価し、信頼できる業者を選択する必要があります。
複数業者からの査定取得と詳細な比較検討により、最適な取引条件を実現できます。
個別事情の考慮が成功の鍵となります。

資金需要の緊急性、物件の特性、税務上の考慮事項、将来の計画などを総合的に勘案し、仲介による売却との比較検討を行うことで、最適な売却方法を選択できます。

今後の市場展望

不動産買取再販市場は、住宅ストックの有効活用消費者ニーズの多様化を背景に、今後も成長が期待されます。

特に、築年数の経過した物件の価値向上、現代的ライフスタイルへの対応、省エネルギー性能の向上などの分野で、買取再販業者の専門性が発揮されると考えられます。
テクノロジーの活用により、査定精度の向上、工事品質の標準化、販売活動の効率化などが進展し、より良いサービスの提供が期待されます。

また、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から、持続可能な住宅ストックの形成に貢献する事業として、社会的意義も高まっています。

次のアクションステップ

不動産売却を検討されている方は、以下のステップで検討を進めることをお勧めいたします。

1.現在の市場価格の把握-複数の査定方法で物件価値を確認
2.売却目的と優先順位の明確化-時間・価格・手間のバランス評価
3.複数業者からの査定取得-買取価格と仲介予想価格の比較
4.総合的な判断-メリット・デメリットを踏まえた最終決定
INA&Associates株式会社では、お客様の個別事情に応じた最適な売却方法のご提案を行っております。
買取再販に関するご相談から、仲介による売却まで、幅広いニーズにお応えいたします。

不動産売却に関するご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

よくある質問

Q1.買取価格はどのように決まるのですか?

A1.買取価格は、再販想定価格から改修費用、諸経費、適正利益を差し引いて算定されます。
具体的には、周辺の類似物件の成約事例を基に再販価格を想定し、必要な改修工事の費用見積もり、保有期間中の固定費、販売活動費用などを総合的に勘案して決定されます。
一般的に市場価格の70~85%程度となりますが、物件の状況や立地条件により変動します。

Q2.買取を断られることはありますか?

A2.はい、以下のような場合には買取を断られる可能性があります。
立地条件が著しく悪い物件、建物の損傷が激しく改修費用が過大となる物件、法的制約により再販が困難な物件、市場需要が見込めない特殊な物件などです。
ただし、業者によって判断基準が異なるため、複数の業者に相談することをお勧めします。

Q3.契約後に価格が変更されることはありますか?

A3.適正な業者であれば、契約後の一方的な価格変更はありません。
ただし、契約書に価格変更条項が記載されている場合や、物件調査の結果、当初想定していなかった重大な瑕疵が発見された場合には、価格変更の協議が行われる可能性があります。
契約前に価格の確定性と変更条件を必ず確認することが重要です。

Q4.買取と仲介、どちらを選ぶべきですか?

A4.選択基準は以下の通りです。
買取が適している場合:早期の現金化が必要、内覧対応などの手間を避けたい、契約不適合責任を負いたくない、確実な売却を重視する。
仲介が適している場合:できるだけ高い価格で売却したい、売却期間に余裕がある、物件の魅力を最大限アピールしたい。
個別の事情を総合的に考慮して判断することが重要です。

Q5.税務上の注意点はありますか?

A5.不動産売却には譲渡所得税が課税される可能性があります。
買取の場合も仲介の場合も税務上の取扱いは同じですが、売却価格の違いにより税額が変わる可能性があります。
また、居住用財産の3,000万円特別控除、買換え特例などの適用要件を満たすかどうかの確認も重要です。
税務については、税理士などの専門家にご相談されることをお勧めします。