INA Wealth Vision|Japan Luxury Realty Group

株式投資と不動産投資の違い

作成者: 稲澤大輔|2025/05/23 10:38:48 Z

不動産投資は、株式投資で培った資産運用の知見を活かしつつ、長期安定収益と資産保全を同時に実現できる選択肢として注目されています。とりわけ富裕層の皆様にとっては、インフレ耐性・節税・相続対策など、株式だけではカバーしにくいメリットが大きい一方、「誰でもできる」と言われるほど参入が容易なのか、戸惑いを覚える方も少なくありません。本稿では、株式投資家が不動産投資へ踏み出す際に押さえるべき条件とステップ、そして初心者がつまずきやすいポイントを解説します。

株式投資と不動産投資の違い・相補性

  • 価格変動・安定性:不動産投資は株式投資に比べて市場変動に強く、長期的に安定した収益を狙いやすい点が特徴です。投資物件を保有していれば定期的な家賃収入(インカムゲイン)が得られ、立地や物件品質が良ければ空室リスクも低く抑えられるため、収益の安定性が高まります。また、インフレ局面では不動産価値や賃料が上昇しやすく、実質資産価値を守るインフレ・ヘッジ効果も期待できます。一方、株式投資は企業業績や経済情勢による価格変動が大きく、短期間で大きく動く傾向があります。

  • 流動性・レバレッジ:株式は売買が容易で流動性が高い反面、個別銘柄の急落リスクもあります。不動産は売却に時間がかかる不便さがありますが、高い担保価値を活用して金融機関から大きな融資を受けやすく、少ない自己資金で大きな取引が可能です。こうしたレバレッジ効果は、不動産投資の大きな魅力といえます。

  • 投資リターンの性質:不動産投資では、家賃収入(インカムゲイン)に加えて物件売却時の売却益(キャピタルゲイン)の両方を狙えます。表面利回りだけに頼るのは危険で、 利回り以外にも立地・物件状態・将来の需給動向など多くの要素を総合的に重視 する必要があります。

  • 相補性(分散投資):株式と不動産は値動きの相関性が低いため、両者を組み合わせることで資産全体のリスク分散が図れます。例えば「財産3分法」では株式・債券・不動産に分散投資することで、経済の下落局面でも一方の損失を他方で補えるとされます。不動産は株式市場が急落しても即座に供給急増・価格暴落とはならない実物資産であるため、資産全体の保全に寄与します。「卵を一つの籠に盛るな」という格言の通り、余裕資金があれば両者を併用して長期的に安定した資産形成を目指すのが一般的です。

富裕層にとっての不動産投資の魅力

  • 安定した収益と高利回り:富裕層にとって、不動産投資は安定的な家賃収入と大規模な融資による高いレバレッジが得られる点で魅力的です。物件価格1億円の都心タワーマンションでも頭金1~2割で始められることが多く、小額の資本で大きな投資が可能です。さらに立地が良ければ賃料収入や将来の売却益も期待できます。表面利回りが高くても修繕コストや空室リスクを加味した実質利回りが重要ですが、利回りだけでなく物件の質や立地、需給環境を重視することで成功確率を高められます。

  • 分散投資と資産保全:不動産をポートフォリオに含めるとリスク分散効果が得られます。株式や債券と組み合わせれば、市場変動に強いバランスの取れた資産運用が可能となり、長期的な資産形成に寄与します。

  • インフレ・ヘッジ効果:前述の通り、不動産はインフレ局面で実質資産価値を維持しやすい点も魅力です。物価上昇期には賃料や土地価格が上がる傾向があるため、実質的な資産価値を守りながら収益を伸ばせるメリットがあります。

「誰でもできる」とは?必要資金・属性・リスク許容度

「誰でもできる」と言っても、十分な準備と条件が伴います。結論として「不動産投資は誰でもできるわけではありません」が、必要な資金調達能力があれば挑戦可能です。具体的には次のような要件があります:

  • 資金規模:不動産購入には頭金や諸経費が必要です。一般に、投資用物件では物件価格の2~3割程度を自己資金(頭金)として用意する必要があるとされます。例えば5,000万円の投資物件なら自己資金1,000~1,500万円が目安です。近年は金融機関の融資枠が拡大し、自己資金1~2割でも取引できるケースもありますが、諸費用(仲介手数料、登記費用、修繕積立金等)も含めると数百万円の資金が必要になります。

  • 属性・年収:不動産投資ローン審査では借主の年収や雇用の安定性、他の借入状況などが総合的に判断されます。目安として年収500~700万円以上が望ましいと言われています。700万円程度の年収があれば融資条件も有利になりますが、それ以下でも金融機関やローン商品を工夫して審査を通す方法はあります。サラリーマン等で勤続年数が長いと審査は通りやすく、逆に若年層やフリーランス、低収入の場合は融資が難しくなる傾向があります。実際、年収500万円程度から不動産投資を始め成功した例も多数あります。

  • 年齢:特定の年齢制限はありませんが、「30~40代」が最も有利だと言われています。20代・30代は資産や年収が少なく金融審査が厳しくなる一方、50代以上ではローン完済時の年齢が高齢(80歳以上)になるため審査が難しくなることがあります。とはいえ、年齢に関係なく適切な戦略を立てれば投資は可能です。

  • リスク許容度:不動産投資は流動性が低く、空室・家賃下落・突発的な修繕費用や災害リスクなど、様々なリスクがあります。これら変動を受け止められる精神的余裕と資金的な余力が必要です。「リスク許容度を超える投資」は精神的ストレスを招き、投資判断を誤りがちです。したがって、最悪のケースを想定した返済計画や保険の活用、修繕準備金の積立て等でリスク管理することが重要です。

投資可能な条件(資金・属性・年齢・目標別)

  1. 自己資金・投資規模:前述の通り、物件価格の20~30%が目安の頭金が必要です。なお、10%以下の頭金で始められる案件もありますが、返済負担が増すため慎重な検討が必要です。自己資金が少ない場合は、所得控除を利用した「不動産保険運用」や、1万円から投資できるクラウドファンディングなども選択肢となります。

  2. 属性・職業:安定収入のサラリーマンや公務員、税金面で優遇される医師・弁護士・公認会計士などは銀行審査で有利です。自営業者や短期間での転職歴がある場合は、審査が厳しくなる可能性があります。逆に、富裕層で既に多額の金融資産を持つ場合は金融機関との関係性次第で柔軟に融資を引けるケースもあります。

  3. 年齢:若年層(20代)は審査が厳しくなる一方で長期運用が可能です。40代は最も資金と返済期間のバランスが良く、融資を引きやすいと言われます。50代以降は定年や年金受給を見据えたキャッシュフロー計画が必要です。

  4. 投資目的・目標:例えば老後の年金代替を目指す場合は、堅実な賃貸物件を長期保有して安定収入を確保する戦略が向いています。一方、短期的な資産増加を狙うなら、開発や再開発期待の土地・古家再生などリスクを取った手法もあります。目標に応じて物件種別(区分マンション・一棟アパート・戸建・再開発案件など)を選び、運用期間や出口戦略を明確に定めることが大切です。

初心者向けの基本的考え方・進め方

  • 物件選定:表面利回りだけで判断せず、周辺相場、需要、建物状態、築年数、管理状況など多角的に検証しましょう。専門家は「利回りだけで物件を選ぶのは危険だ」と指摘し、立地・物件の状態・空室リスクなど複数のポイントに注目するよう勧めています。一般には都心部や交通利便性の高い駅近物件が空室リスクが低いとされますが、競争も激しいため収益性と割安度のバランスを見極めます。

  • リスク管理:不動産投資で最も対策が必要なのは空室リスクとされます。入居者退去後はできるだけ早く次の借り手を決めることが重要です。具体的には、優良な管理会社への委託やリフォーム・内装改善による付加価値向上、敷金礼金設定の最適化などで稼働率を高めます。その他、自然災害(地震・洪水等)への備えや、金利上昇に対する返済計画の見直し、建物修繕費用の積立てもリスク緩和策です。保険加入や災害対応の強化(高台物件や耐震評価の高い物件選定)も検討しましょう。

  • 収益の見通し:投資前にシミュレーションでキャッシュフローを試算します。想定家賃収入からローン返済額、固定資産税・管理費・修繕積立金・賃貸管理手数料などの費用を差し引き、事業利益(税引前キャッシュフロー)を見積もります。通常、表面利回り5~7%程度でも、諸経費を引くと実質利回りは3~4%程度に低下することが多い点に留意が必要です。長期保有を前提にすれば、初年度は建物減価償却を活用した節税効果も期待できますし、将来の売却による値上がり益も視野に入ります。ただし景気動向や金融市場の変動に左右されるため、短期的な価格変動に一喜一憂せず、中長期的に着実に収益を積み上げる心構えが求められます。

INA&Associatesの考え方

  • 長期的視点での資産形成:短期的な値上がり益だけでなく、次世代に引き継げる不動産づくりを心がける。将来的に価値を維持・増加できるような商品を選定すべきです。具体的には、災害に強い立地選びや耐久性の高い建物の選定、テクノロジー(スマート設備など)導入で資産価値を高めるなど、継続的な価値創造を念頭に置きましょう。

  • 人財と信頼の重視:不動産投資は物件だけでなく「人との信頼関係」が成否を分けます。投資家自身もパートナー(不動産会社、管理会社、施工会社など)選びにおいて「誠実さ」「信頼性」を重視すべきです。投資家は、「透明性の高い情報提供・誠実なコミュニケーション・責任ある行動」を徹底し信頼関係を築くことが大切です。投資でも、物件情報や契約条件は開示度を高め、見込み収支に対しても慎重かつ誠実な検証を行うことで、リスクを管理しやすくなります。

  • 組織力・専門家の活用:投資家も一人で判断せず、信頼できるファイナンシャルアドバイザー、不動産鑑定士、税理士など専門家と連携することが成功の鍵です。長期視点の戦略を練るには、多様な知見が必要であります。また、テクノロジーを活用して効率的な運営体制を整える姿勢も示していますので、IoT物件管理やスマート契約など新しい手法も積極的に取り入れると良いでしょう。

  • 誠実・持続可能な運用:購入した物件はオーナーにとって社会資産でもあるため、住民への責任を果たす誠実な管理(メンテナンスの実施、苦情対応など)が重要です。短期的な利益追求ではなく、長期に安定した収益を得るためには、物件や入居者を大切にする姿勢が不可欠です。