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【2025年最新】リースバックとは?家を売っても住み続けられる仕組みとメリット・デメリットを徹底解説

作成者: 稲澤大輔|2025/08/10 8:19:49 Z

住宅ローンの返済に困っている、まとまった資金が必要になった、しかし住み慣れた自宅を手放したくない。このような状況でお悩みの方にとって、リースバックは有効な選択肢の一つです。

リースバックとは、自宅を売却して現金を得ながら、同時に賃貸借契約を結ぶことで、売却後も同じ住宅に住み続けることができる仕組みです。近年、資金調達の手段として注目を集めており、多くの不動産会社がリースバックサービスを提供しています。

本記事では、INA&Associates株式会社が、リースバックの仕組みから利用方法、メリット・デメリット、注意点まで、一般消費者の皆様にもわかりやすく詳しく解説いたします。リースバックの利用を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。

リースバックの仕組みとは

リースバックの基本概念

リースバック(セール&リースバック)とは、不動産所有者が自身の不動産を第三者に売却し、その後、買い手から同じ不動産を賃貸借して利用し続けることができる仕組みです。

具体的には、以下の3つのステップで構成されています。

1.売却(セール):現在お住まいの自宅を不動産会社や投資家に売却し、売却代金を受け取ります

2.賃貸借契約(リース):売却と同時に、買主との間で賃貸借契約を締結します

3.継続居住:家賃を支払いながら、これまでと同じ住宅に住み続けることができます

リースバックの契約形態

リースバックにおける賃貸借契約は、主に「定期借家契約」が採用されています。定期借家契約とは、契約期間が明確に定められており、期間満了時に契約が自動的に終了する契約形態です。

一般的な賃貸借契約(普通借家契約)とは異なり、借主からの更新請求権がないため、契約期間終了後の継続居住については、貸主との再契約が必要となります。

リースバックの主な参加者

関係者 役割 詳細
売主(利用者) 不動産の売却者・賃借人 自宅を売却し、賃料を支払って住み続ける
買主(事業者) 不動産の購入者・賃貸人 不動産会社や投資運用会社が多い
保証会社 賃料保証 賃料の支払い能力を審査し、保証を提供
金融機関 住宅ローン債権者 売却代金で住宅ローンを完済

リースバックが注目される背景

近年、リースバックが注目される背景には、以下のような社会情勢があります。

高齢化社会の進行:高齢者世帯において、年金収入だけでは生活費が不足するケースが増加しており、住宅資産を活用した資金調達のニーズが高まっています。

住宅ローン返済の困難:経済情勢の変化により、住宅ローンの返済に困る世帯が増加しており、住宅を手放すことなく資金を調達できるリースバックへの関心が高まっています。

住環境への愛着:長年住み慣れた地域や住宅への愛着から、引っ越しを避けたいと考える方が多く、住み続けながら資金調達できるリースバックが選択されています。

リースバックのメリット

1.住み慣れた環境を維持できる

リースバックの最大のメリットは、売却後も自宅に住み続けられることです。引っ越しの必要がないため、以下のような利点があります。

-近隣との人間関係を維持できる

-子どもの学校や職場への通勤・通学環境が変わらない

-住み慣れた生活環境を保持できる

-引っ越し費用や手間を省くことができる

2.まとまった資金を迅速に調達できる

リースバックでは、不動産会社が物件の買取金額を一括現金で支払うため、売主にとっては資金調達に時間がかからないことが大きなメリットです

通常の不動産売却では買主を見つけるまでに数ヶ月かかることがありますが、リースバックなら最短1ヶ月程度で資金調達が可能です。

3.資金使途が自由

売却によって得られた資金は自己資金であるため、資金使途に制限がありません。以下のような用途に活用できます。

-住宅ローンの完済

-事業資金の調達

-医療費や介護費用

-子どもの教育費

-老後資金の確保

-投資資金

4.維持管理費用の負担軽減

リースバック後は物件の所有者が買主となるため、以下の維持管理費用は買主負担となります。

費用項目 従来(所有時) リースバック後
固定資産税 所有者負担 買主負担
都市計画税 所有者負担 買主負担
建物修繕費 所有者負担 買主負担
火災保険料 所有者負担 買主負担
管理費・修繕積立金 所有者負担 買主負担

5.将来的な買い戻しの可能性

多くのリースバック契約では、買い戻し特約を付けることができます。将来的に資金状況が改善した際に、物件を買い戻すことが可能です。

リースバックのデメリット

1.売却価格が市場価格より安くなる

リースバックにおける買取価格は、一般的に市場価格の60%~80%程度になる傾向があります。これは以下の理由によるものです。

-買主が投資利回りを確保する必要がある

-賃貸経営リスクを考慮した価格設定

-迅速な現金化に対する対価

2.家賃負担が発生する

売却後は毎月の家賃支払いが必要となります。家賃は一般的に以下の計算式で設定されます。

月額家賃=買取価格×期待利回り÷12ヶ月

期待利回りは通常6%~10%程度に設定されるため、買取価格が高いほど家賃も高くなります。

3.契約期間に制限がある

定期借家契約のため、契約期間に制限があります。一般的な契約期間は以下の通りです。

契約期間 特徴 適用ケース
2年~3年 短期契約 一時的な資金調達
5年~10年 中期契約 一般的な契約期間
終身契約 長期契約 高齢者向けサービス

4.買い戻し価格が高額になる

買い戻しを希望する場合、買い戻し価格は買取価格の1.1倍~1.3倍程度に設定されることが一般的です

5.所有権を失う

物件の所有権が買主に移転するため、以下のような制約が生じます。

-リフォームや改築には買主の許可が必要

-物件を担保とした融資を受けることができない

-相続財産としての価値がなくなる

リースバックの利用条件

基本的な利用条件

リースバックを利用するためには、以下の条件を満たす必要があります

1.住宅ローン残債の条件

自宅の売却代金>住宅ローン残債の状態であることが原則的な利用条件となります。

オーバーローン状態(住宅ローン残債が売却価格を上回る状態)でも契約は可能ですが、残債の返済に加えて月々の家賃を支払う必要があるため、大きな金銭的負担となります。

2.物件の状態

売却対象となる物件は、以下の条件を満たす必要があります。

項目 条件 詳細
建物構造 制限なし 戸建て、マンション、アパート等
築年数 制限なし 古い物件でも対象となる場合が多い
立地条件 一定の需要がある地域 賃貸需要が見込める立地
建物状況 居住可能な状態 大規模修繕が不要な状態

3.名義人の同意

共有名義の物件の場合、全ての名義人の同意が必要です。夫婦共有名義の場合は、夫婦両方の同意と署名が必要となります。

4.家賃支払い能力

継続的な家賃支払い能力があることが求められます。審査では以下の項目が確認されます。

-安定した収入源の有無

-収入に対する家賃負担率

-信用情報の状況

-保証人の有無

審査で重視されるポイント

リースバック事業者は、以下の観点から総合的に審査を行います。

物件の収益性

-立地条件と賃貸需要

-建物の状況と将来的な修繕費用

-周辺の賃料相場

-将来的な資産価値の見通し

利用者の信用力

-収入の安定性と継続性

-過去の支払い履歴

-他の借入状況

-年齢と健康状態

リースバック利用の流れ

STEP1:相談・業者選定

まず、リースバック事業者への相談から始まります。複数の事業者に相談し、以下の点を比較検討することが重要です。

-買取価格の水準

-家賃設定の妥当性

-契約条件の内容

-事業者の信頼性と実績

STEP2:仮査定

物件の基本情報を基に、仮査定が実施されます。この段階で提示される内容は以下の通りです。

査定項目 内容 注意点
仮買取価格 概算の売却価格 正式査定で変動する可能性
想定家賃 月額賃料の目安 最終的な家賃設定の参考
契約期間 賃貸借契約の期間 更新可能性も確認

STEP3:現地調査・本査定

不動産の専門家による現地調査が実施され、詳細な査定が行われます。調査項目は以下の通りです。

-建物の構造と状況

-設備の状態

-周辺環境と立地条件

-法的制約の確認

STEP4:正式な条件提示

本査定の結果を基に、正式な契約条件が提示されます。この段階で以下の内容が確定します。

-最終的な買取価格

-月額家賃

-契約期間

-買い戻し条件(設定する場合)

-その他の契約条件

STEP5:契約締結

条件に合意した場合、以下の契約を同時に締結します

1.不動産売買契約:物件の売却に関する契約

2.賃貸借契約:物件の賃貸に関する契約

STEP6:決済・賃貸開始

売買代金の決済が行われ、同時に賃貸借契約が開始されます。住宅ローンが残っている場合は、売却代金で完済手続きを行います。

必要書類

リースバック契約には、以下の書類が必要です。

本人確認書類

-運転免許証

-パスポート

-マイナンバーカード

物件関連書類

-登記事項証明書

-固定資産税納税通知書

-建築確認済証

-重要事項説明書(購入時)

収入関連書類

-源泉徴収票

-確定申告書

-給与明細書

-年金証書

住宅ローン関連書類

-金銭消費貸借契約書

-返済予定表

-残高証明書

リースバック利用時の注意点

契約前に確認すべき重要事項

1.家賃設定の妥当性

リースバックにおける家賃は、一般的な賃貸相場よりも高く設定される傾向があります。契約前に以下の点を必ず確認しましょう。

-周辺の賃貸相場との比較

-家賃の値上げ条項の有無

-支払い能力に見合った金額設定か

2.契約期間と更新条件

定期借家契約では、契約期間満了時の更新は保証されていません。以下の点を事前に確認することが重要です。

確認項目 重要度 確認内容
契約期間 何年間住み続けられるか
更新可能性 更新の条件と可能性
更新時の家賃 更新時の家賃変更の有無
退去条件 どのような場合に退去が必要か

3.買い戻し条件の詳細

買い戻しを検討している場合は、以下の条件を書面で確認しましょう

-買い戻し可能期間

-買い戻し価格の算定方法

-買い戻し時の手続き

-買い戻し権の譲渡可能性

よくあるトラブル事例と対策

1.家賃の値上げトラブル

事例:契約更新時に大幅な家賃値上げを要求された

対策:

-契約書で家賃変更条項を詳細に確認

-値上げの根拠となる条件を明確にする

-周辺相場との比較資料を準備

2.契約更新拒否トラブル

事例:契約期間満了時に更新を拒否され、退去を求められた

対策:

-更新に関する条件を契約書で明確化

-更新拒否の正当事由を事前に確認

-複数年契約や終身契約の検討

3.買い戻し条件変更トラブル

事例:買い戻しを希望したが、当初の条件と異なる条件を提示された

対策:

-買い戻し条件を詳細に書面化

-価格算定方法を明確に規定

-第三者による価格査定の活用

4.物件管理トラブル

事例:設備故障時の修繕対応が遅れ、生活に支障が生じた

対策:

-修繕責任の範囲を明確化

-緊急時の連絡体制を確認

-修繕対応の期限を設定

悪質業者の見分け方

危険な業者の特徴

以下のような業者は避けることをお勧めします。

-強引な営業:長時間の訪問営業や契約を急かす行為

-不透明な条件:契約条件の説明が曖昧

-相場からかけ離れた条件:極端に安い買取価格や高い家賃

-書面での説明不足:口約束に頼る説明

信頼できる業者の選び方

-実績と信頼性:豊富な取引実績と良好な評判

-透明性:契約条件の詳細な説明

-アフターサポート:契約後のサポート体制

-適正な価格設定:市場相場に基づいた条件提示

契約書で確認すべきポイント

必須確認事項

項目 確認内容 重要度
売買価格 買取価格と支払い条件
家賃 月額家賃と支払い方法
契約期間 賃貸借契約の期間
更新条件 契約更新の可能性と条件
買い戻し条件 買い戻し価格と期間
修繕責任 修繕費用の負担区分
解約条件 中途解約の条件と違約金

特約事項の確認

-家賃の値上げに関する条項

-物件の使用制限

-第三者への転貸禁止

-ペット飼育の可否

-リフォーム・改築の制限

専門家への相談の重要性

リースバック契約は複雑な取引であるため、以下の専門家への相談を強くお勧めします。

不動産鑑定士

-物件の適正価格評価

-買取価格の妥当性判断

弁護士

-契約書の内容確認

-法的リスクの評価

ファイナンシャルプランナー

-資金計画の策定

-将来的な収支シミュレーション

税理士

-売却に伴う税務処理

-節税対策の検討

まとめ

リースバックは、住み慣れた自宅を手放すことなく、まとまった資金を調達できる有効な手段です。特に以下のような方にとって、メリットの大きい選択肢となります。

リースバックが適している方

-住宅ローンの返済に困っている方:売却代金でローンを完済し、月々の負担を軽減

-まとまった資金が必要な方:事業資金、医療費、教育費などの調達

-住環境を変えたくない方:引っ越しによる環境変化を避けたい

-維持管理費用を削減したい方:固定資産税や修繕費用の負担軽減

成功のための重要ポイント

1.複数業者での比較検討:買取価格、家賃、契約条件を総合的に比較

2.契約条件の詳細確認:特に更新条件と買い戻し条件を重点的にチェック

3.専門家への相談:不動産鑑定士、弁護士、FPなどの専門家の意見を参考

4.長期的な資金計画:家賃支払い能力を含めた将来的な収支計画の策定

5.信頼できる業者選択:実績と信頼性を重視した業者選定

リースバックは適切に活用すれば、住環境を維持しながら資金調達できる優れた仕組みです。しかし、契約内容によっては将来的なトラブルの原因となる可能性もあります。

慎重な検討と専門家への相談を通じて、ご自身の状況に最適な選択をされることをお勧めいたします。

よくある質問

Q1.リースバック後、何年間住み続けることができますか?

A1.契約期間は事業者や契約内容によって異なりますが、一般的には2年~10年程度の定期借家契約が多く見られます。一部の事業者では終身契約も提供していますが、契約更新の保証はありません。契約前に更新条件を詳細に確認することが重要です。

Q2.リースバックの家賃は一般的な賃貸相場と比べてどうですか?

A2.リースバックの家賃は、一般的な賃貸相場よりも10%~30%程度高く設定される傾向があります。これは事業者の投資利回りを確保するためです。買取価格が高いほど家賃も高くなるため、総合的な収支を検討することが大切です。

Q3.住宅ローンが残っていてもリースバックは利用できますか?

A3.住宅ローンが残っていても利用可能ですが、売却代金でローンを完済できることが条件となります。オーバーローン状態の場合は、不足分を自己資金で補填する必要があります。

Q4.リースバック後に物件を買い戻すことはできますか?

A4.多くの事業者で買い戻し特約を設けることができます。ただし、買い戻し価格は買取価格の1.1倍~1.3倍程度に設定されることが一般的です。買い戻し条件は契約時に詳細に確認し、書面で明記することが重要です。

Q5.リースバック契約にクーリングオフは適用されますか?

A5.リースバック契約はクーリングオフの対象外です。契約後の取り消しは原則として認められないため、契約前の慎重な検討が不可欠です。不明な点は専門家に相談し、十分に理解した上で契約することをお勧めします。