2025年3月10日、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)と東急不動産ホールディングス株式会社は、千葉県船橋市市場一丁目のJR社宅跡地における大規模開発プロジェクト「(仮称)JR船橋市場町社宅跡地開発計画」の本格始動を発表しました。
本計画は、JR東日本が保有する社宅跡地約4万5400㎡を開発し、総戸数1000戸を超える住宅と商業施設を一体整備するものです。再生可能エネルギーの活用や緑化によって環境負荷の低減を図りつつ、商業機能も備えた賑わいある街づくりを目指しています。以下では、本プロジェクトの背景・意義やコンセプト、工程、特徴についてリリースなどの公開情報からお伝えいたします。
JR船橋市場町社宅跡地は、JR総武線船橋駅から徒歩約10分の場所に位置し、船橋市地方卸売市場(船橋市場)と隣接するエリアです。元々この場所にはJR東日本の社宅が東西に4列・計15棟建ち並んでいましたが、老朽化に伴い現在は解体工事が進められており、大規模な跡地が生まれていました。こうした都心近接の広大な遊休地を地域活性化に活かすべく、JR東日本と東急不動産ホールディングスが包括的業務提携を結び、環境共生・コミュニティ自助型の持続可能なまちづくりに取り組む第一号プロジェクトとして本開発が位置付けられました。船橋市も本計画地を含む「船橋都市計画市場1丁目地区地区計画」を2025年3月7日付で決定し、官民連携で本格的な開発がスタートする運びとなりました。このように、本プロジェクトは地域の未利用地活用と持続可能な街づくりという双方の観点から大きな意義を持っています。
本計画のコンセプトは、「環境共生」と「地域コミュニティの創出」を両立させた持続可能な街づくりです。JR東日本・東急不動産ホールディングス両社の強みを結集し、住宅、商業、エネルギー、コミュニティの多機能を融合させた新しい暮らしの場を創造します。具体的には、総戸数1000戸超の住宅ゾーンと商業ゾーンを一体化し、日常の買い物利便性を高めるとともに、人々が集い交流できる場を設けます。エネルギー面では、太陽光パネル等の再生可能エネルギー発電設備を導入し、クリーンエネルギーで街全体を支える計画です。さらに敷地内には地域住民も利用可能なコミュニティ施設を整備し、防災拠点や交流拠点として機能させることで、「コミュニティ自助型」のまちづくりを実現していきます。環境と人々の暮らしが調和し持続可能な発展を目指すことが、このプロジェクトの核となる理念です。
現時点での予定によれば、本プロジェクトは 2025年8月に着工 し、約3年強の工期を経て 2028年12月に工事完了 する見通しです。2023年から2024年にかけて都市計画の決定や既存建物の解体・準備工事が進められ、2025年夏より本格的な建設段階に入ります。工事期間中は周辺への安全対策や環境対策に万全を期しながら、段階的に住宅棟・商業棟などの建設を進めていく計画です。2028年末の完成後、諸手続きを経て開業・入居開始時期は2029年にかかる見込みです。今後、工事の進捗に伴い詳細なスケジュールや入居者募集に関する情報も順次発信される予定であり、地域の皆様には適宜最新情報をご案内してまいります。
本プロジェクトの街づくりの特徴として、環境への配慮 と 地域連携 が随所に盛り込まれています。環境面では、建物屋上や敷地内への太陽光パネル設置、雨水の有効利用、敷地全体の緑化などを通じて省エネ・創エネを図り、脱炭素社会に貢献する計画です。また、緑地帯の整備により夏場のヒートアイランド現象を緩和し、居住者に快適な生活環境を提供します。敷地南側の海老川沿いには散策路や親水性のあるオープンスペースが設けられ、桜を含む植栽計画によって季節を感じられる憩いの場が創出されます。こうした川沿いの緑地と歩道ネットワークは周辺エリアとも接続され、北側の船橋駅方面と南側の卸売市場方面を結ぶ歩行者動線を形成します。地域連携の面では、隣接する船橋市場との協調により、市場来訪者が気軽に立ち寄れる商業施設やイベントスペースの整備を検討しています。例えば、市場で賑わう朝市・催事と連動したマルシェや、地元産品を扱うショップの誘致など、「市場のあるまち船橋」 ならではの魅力を取り入れたプランニングが期待されています。さらに、防災面にも配慮し、広場や道路は災害時に避難路・避難場所として機能するよう設計されます。耐震性に優れた建物構造や非常用電源の確保などにより、万が一の災害時にも地域住民の安全を守る拠点となることを目指します。こうした設備・計画を総合することで、環境に優しく地域と共生した暮らしやすい街づくりを実現します。