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ヒルトン、新ブランド「キャノピー東京赤坂」を2028年開業へ

作成者: 稲澤大輔|2025/04/29 15:00:00 Z

ヒルトンは三菱地所株式会社および株式会社TBSホールディングスとの提携により、ライフスタイル型ホテルブランド「キャノピーbyヒルトン東京赤坂」を2028年に開業すると発表しました。このホテルは東京メトロ千代田線「赤坂」駅に直結する大規模複合開発プロジェクト内に位置し、東京および関東地域で初となる「キャノピー」ブランドのホテルです。同ブランドの日本進出はこれが3軒目で、既に大阪(梅田、2024年開業)と沖縄(宮古島、2026年開業予定)で展開が決まっています。

ライフスタイルブランド「キャノピー」とは

「キャノピーbyヒルトン」はヒルトンが世界展開するライフスタイルホテルブランドで、地元の魅力を活かした体験や洗練されたデザイン、ゲストの嗜好に合わせた飲食提供を通じて、ワンランク上の快適な滞在を提供することをコンセプトとしています。現在、世界13か国・地域で40軒以上を展開しており、地域とのつながりを重視した没入型のホテルステイを特徴としています。近年、ホテル市場ではこのようなライフスタイル系ブランドへの需要が高まっており、ヒルトンは「キャノピー」を通じて多様化する宿泊ニーズに応える戦略です。ビジネス・レジャーを問わず、旅先の地域文化や個性的なデザイン空間を楽しみたいゲスト層をターゲットに据え、従来型ホテルとの差別化を図っています。

「キャノピー東京赤坂」の施設と特徴

「キャノピーbyヒルトン東京赤坂」は、赤坂二・六丁目地区の西街区に建設される地上18階建て複合ビルの7~18階部分に入居します。客室は約31㎡を中心とした全174室(うちスイート24室)で、都心にありながらゆとりある空間を確保します。館内には、オールデイダイニングとしてのレストラン&バーと、赤坂の街並みを一望できるテラスカフェという2つの飲食施設が併設され、地域の景観や雰囲気を楽しめる設計となっています。さらに約77㎡のミーティングラウンジや24時間利用可能なフィットネスルームを備え、ビジネス利用から観光客まで幅広いニーズに応えます。ホテル直結の赤坂駅から都内各所へのアクセスが良好で、建物下層階には劇場・ホールも整備予定であることから、エンターテインメント目的の滞在やビジネス出張にも便利なロケーションです。また、空港と直結するリムジンバスの発着も計画されており、国内外からの旅行者に高い利便性を提供します。

ヒルトン全体戦略における位置づけ

「キャノピー東京赤坂」の開業は、ヒルトンが日本市場でブランドポートフォリオを拡充する戦略の一環です。ヒルトンは世界で24のブランドを展開していますが、その中でも「キャノピー」は新世代のライフスタイル志向の顧客を取り込むアップスケールブランドとして位置づけられています。実際、ヒルトンは近年日本でも高級路線からライフスタイル路線まで新ブランドを積極展開しており、2025年には大阪に日本初の最高級ブランド「ウォルドーフ・アストリア」を開業するなど事業を拡大しています。東京は世界有数の旅行先であり、多様化する旅行者ニーズに応えるべく、ヒルトンは同市場へのライフスタイルブランド投入を決断しました。同社のエリア担当責任者ジョセフ・カイララ氏も「東京という世界トップクラスの都市へのCanopy導入により、国内外のゲストに赤坂エリアの魅力を存分に楽しめる体験を提供したい」と述べており、ヒルトン全体のグローバル戦略の中で「キャノピー東京赤坂」は日本におけるライフスタイルホテル展開の重要な一翼を担うものとなります。

赤坂二・六丁目地区開発計画:エンターテインメント都市への変貌

「キャノピー東京赤坂」が入る赤坂二・六丁目地区開発計画は、港区赤坂における大規模再開発プロジェクトです。旧国際新赤坂ビル跡地を再開発し、地上41階建ての東棟(主にオフィス)と19階建ての西棟(ホテル・エンタメ施設主体)の2棟からなる超高層複合ビル群を建設する計画で、国家戦略特区の「都市再生特別地区」にも指定されています。事業主体(デベロッパー)は三菱地所とTBSホールディングスであり、2024年3月に起工式が行われました。完成は2028年3月末の竣工、同年10月末の全体完成を見込んでおり、赤坂駅に直結する利便性と合わせて新たなランドマークとなる予定です。

本プロジェクトは「赤坂エンタテインメント・シティ」をビジョンに掲げ、エンターテインメント産業の集積地として赤坂の街を進化させる狙いがあります。計画地内には最先端の劇場やホールが新設され、エンタメ関連企業やクリエイターが集う施設も配置される計画です。既存の「赤坂サカス」(2008年開業の商業・劇場複合施設)とも一体的に整備され、訪れる人々が多様なコンテンツに触れられる街づくりが進められています。伝統的に赤坂は放送局(TBS)を中心にエンターテインメントとビジネスが融合した地域であり、歴史ある街並みや文化も併せ持つエリアです。今回の再開発により、そうした赤坂の地域特性をさらに強化し、世界に発信できる一大エンタメ拠点へと生まれ変わることが期待されています。