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大崎リバーウォークガーデン(東五反田二丁目第3地区第一種市街地)再開発事業の最新情報

作成者: 稲澤大輔|2025/05/02 1:06:43 Z

東五反田二丁目第3地区第一種市街地再開発事業の完成予想図(外観イメージ)。左が住宅棟(約39~40階建て・高さ約150m)、右が業務棟(20階建て・高さ約104m)。目黒川沿いに公園・広場を整備し、桜並木の親水空間を創出する計画。

再開発事業の概要

大崎リバーウォークガーデン(東五反田二丁目第3地区第一種市街地)再開発事業は、JR大崎駅と五反田駅の中間に位置する東京都品川区東五反田二丁目の約1.6ヘクタールの地区で実施される大規模複合再開発です。地区の南側は目黒川に面し、周辺には品川区立日野学園・区立総合体育館、過去の再開発で整備されたパークタワーグランスカイやオーバルコートなどが立地しています。しかし地区内には老朽建物が密集し約30棟が存在、6割が築35年以上を経過しており、歩道のない道路や狭隘道路も多く防災上の課題となっていました。こうした背景から本再開発事業が計画され、低未利用地の有効活用と老朽建物の更新、土地利用転換を図りつつ、業務機能の集積と住宅機能の供給を両立させ、さらに道路拡幅や公園・緑道等の整備によって安全で快適な都市環境を実現することが目的とされています。再開発により目黒川沿いの親水空間やオープンスペースを創出し、周辺の段階的開発で整備が進んできた公園・広場・道路とも一体化させることで、エリア全体のまちづくりの完成を目指す事業です。

計画内容

本事業では住宅棟(超高層タワーマンション)と業務棟(オフィスビル)、そして目黒川沿いの公園・広場で街区全体を構成します。再開発区域全体の施行面積は約1.6ha、総延べ面積は約11万2,400㎡規模、総事業費は約1,030億円にのぼります。計画は2街区に分かれており、1街区(業務棟)はオフィス及び店舗で構成される地上20階・地下2階建て、高さ約104mの高層ビルです。業務棟の敷地面積は約9,210㎡、延べ床面積は約69,000㎡超に及び、低層部に商業施設(にぎわい施設)、中高層部にオフィスを整備します。一方、2街区(住宅棟)は地上39階・地下1階建て、高さ約150mの超高層タワーマンションで、保育所等の公益施設を低層部に併設します。住宅棟の敷地面積は約4,440㎡、延べ床面積は約43,000㎡強、分譲予定の総戸数は約389戸と発表されています。住宅棟の名称は東急不動産の高級マンションブランド「ブランズタワー大崎」として位置づけられており、2025年1月に公式サイトが開設されています。さらに街区内には約1,500㎡規模の公園が整備される計画で、目黒川沿いの桜並木を生かした親水公園・広場となり、地域に不足している機能を補完する場としてコミュニティ菜園や木々に囲まれた屋外ワークスペース等の設置も検討されています。

主な関係事業者

本再開発事業の施行者(事業主体)は地元権利者により結成された「東五反田二丁目第3地区市街地再開発組合」です。再開発組合は2022年2月に東京都知事より設立認可を受け発足しており、理事長は地権者代表の山田保行氏が務めています。事業協力者として東急不動産株式会社が参加組合員(デベロッパー)として参画し、資金面・技術面で事業を推進しています。計画・設計面では、都市計画段階の基本設計を株式会社アール・アイ・エー(RIA)社が担当し、その後の実施設計は竹中工務店とRIAによる設計共同企業体(JV)が担いました。施工者(特定業務代行者)としては大手ゼネコンの株式会社竹中工務店が選定されており、既存建物の解体撤去から新築工事、公共施設整備、そして保留床(分譲マンション・オフィス)の処分業務まで一括して担当しています。

事業の進捗状況とスケジュール

再開発事業はすでに都市計画決定・組合設立を経て本格的な工事段階に入っています。主な経緯と今後の予定は次の通りです:

  • 2020年10月 – 東京都が都市計画決定(再開発計画の決定・告示)。

  • 2022年02月 – 再開発組合設立認可(事業計画の認可)。組合が正式に発足。

  • 2023年02月 – 東京都知事より権利変換計画認可。従前権利と再開発後の床権利の振り分けが確定。

  • 2023年01月 – 権利変換認可に先行して既存建物の解体工事に着手。

  • 2023年11月 – 建築工事の本体着工。11月10日に起工式が執り行われ、本格的な新築工事開始。

  • 2025年頃 – 分譲マンション「ブランズタワー大崎」の販売開始予定(推定)。公式サイト開設やモデルルーム公開等を経て販売が進行。

  • 2027年度 – 再開発事業完成・竣工予定。業務棟は2027年2月竣工、住宅棟は同年5月竣工予定で、同年8月頃から住宅入居開始見込み。

現在(2025年時点)、工事は地下躯体工事から地上躯体の建設段階へ移行しており、現地ではタワークレーンの設置や基礎工事が進んでいます。再開発組合や東急不動産は、安全第一で工事を進めつつ、近隣への説明会開催や広報を通じて地域住民との連携にも努めています。竣工後の2027年には住宅への入居開始とオフィス・商業テナントの開業が予定されており、街びらき(グランドオープン)に向けた準備が進められていくでしょう。

地域への影響

本再開発プロジェクトは、単なる建物の建替えに留まらず、周辺地域に多方面の効果をもたらすと期待されています。その主な地域への影響は次のとおりです。

  • 街づくりの完成と一体化効果: 大崎・五反田エリアでは近年段階的に公園・広場・道路など都市基盤の整備が進められてきました。本事業は両エリアの中間に位置する未整備区画を一体開発し、周辺のオープンスペースや道路網をつなぐことで、エリア全体の都市整備を完成させる役割を担っています。再開発によって街の回遊性が高まり、周辺地区と調和した一体的な複合市街地が形成されることで、まち全体の魅力向上に寄与します。

  • 生活環境の向上(にぎわい創出と歩行者空間整備): 業務棟と住宅棟の低層部には店舗や生活利便施設が配置され、地区内外の人々が利用できるにぎわい拠点が生まれます。また再開発に合わせて地区内の道路を拡幅し、区域中央には歩行者通路を新設する計画です。歩道状空地(公開空地)やペデストリアンデッキ等も整備することで、安全で快適な歩行者ネットワークを構築し、駅間の回遊動線を改善します。さらに目黒川沿いには誰もが憩える親水公園や緑道を造成し、四季を感じられる潤いある都市景観とオープンスペースを提供します。これらにより地域住民の生活環境が向上するとともに、来街者にとっても魅力的な公共空間が創出されます。

  • 防災性の強化と安全安心な街へ: 老朽化した木造建物の密集を解消し、耐震性に優れた高層建築物に建て替えることで災害時の倒壊リスクを低減します。道路拡幅や歩道の新設により避難経路の確保と消防活動スペースの向上も図られ、地区全体の防災性が高まります。また施設建物には浸水対策が講じられ、例えば地下ピットの防水強化やポンプ設備の設置など水害対策を実施予定です。加えて大規模災害で交通機関が麻痺した際に備え、帰宅困難者が一時滞在できる施設を業務棟内に計画しており、地域の防災拠点として機能させる取り組みも行われます。再開発による基盤整備全体が防災力向上に繋がり、安全・安心な街づくりに寄与します。

  • 環境への配慮と持続可能性: 本プロジェクトではランドスケープデザインにも力を入れており、人にも環境にも優しい街区づくりを目指しています。敷地は都心にありながら約250mにわたり目黒川に面する恵まれた水辺環境を活かし、住宅棟・業務棟・公園を一体的に緑豊かなランドスケープで結んでいます。桜並木沿いに連続する3つの広場空間には多様なアメニティが配置され、地域の生物多様性の保全や住民・就業者のウェルビーイング(心身の健康)向上にも資する計画です。

  • 経済効果・地域活性化: 約1,030億円もの投資を伴う本再開発は、建設期間中の雇用創出や関連需要喚起を通じて地域経済に波及効果をもたらします。竣工後は約4万㎡のオフィスに新たな企業や働き手が集まり、周辺の飲食店・商業にも顧客増加による経済波及が見込まれます。約389戸の分譲タワーマンションには多くの新住民が生活拠点を構えることになり、周辺商店街やサービス業にも潤いを与えるでしょう。大崎駅・五反田駅双方からアクセス可能な当街区に職住一体の複合市街地が誕生することで、両駅周辺エリアの回遊性向上とイメージアップにつながり、広域的な地域振興にも寄与すると期待されています。東急不動産も「各機能を結びつけ新たな価値を生み出すことで、多様なライフスタイルがボーダレスにつながる街づくりを目指す」と述べており、再開発により生み出される付加価値が地域全体の活性化を牽引するでしょう。

以上が、現在得られる東五反田二丁目第3地区第一種市街地再開発事業に関する最新情報のまとめです。公式発表や報道によれば、事業は順調に進行しており、2027年の完成に向けて着実に歩みを進めています。本プロジェクトは、防災・環境・暮らし・経済の観点から地域にもたらすメリットが大きく、今後の品川区東五反田エリアのランドマークとなることが期待されています。引き続き事業の進捗に注目が集まっており、竣工時には街区名称「大崎リバーウォークガーデン」の名の通り、水辺と緑に彩られた新しい都市空間が誕生することでしょう。