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エキサイトよこはま22が横浜駅周辺の資産価値に与える影響

作成者: 稲澤大輔|2025/05/24 0:55:00 Z

横浜駅周辺では2009年から始まった大規模再開発計画「エキサイトよこはま22」が進行し、国際都市の玄関口にふさわしい街へと日々変貌を遂げています。高層ビル建設やインフラ整備、環境・防災対策など多岐にわたるこのプロジェクトは、横浜駅周辺の不動産価値に大きな影響を与えています。2025年の公示地価では前年比9.84%上昇するなど、その効果はすでに数字にも明確に表れています。本記事では、エキサイトよこはま22の進捗状況を整理し、周辺地域の資産価値に及ぼす影響と今後の見通しについて、最新データを基に詳しく分析します。不動産投資や居住用物件の購入を検討されている方にとって、貴重な判断材料となる情報をお届けします。

エキサイトよこはま22とは何か

エキサイトよこはま22は、横浜市が2009年12月に策定した横浜駅周辺の大規模都市開発計画です。「22」という数字は、平成22年からスタートし22世紀を志向した街作りをすることに由来しています。このプロジェクトは、「国際都市の玄関口としてふさわしいまちづくり」を進めるための指針として位置づけられています。

対象エリアと開発目標

本計画の対象地域は主に7つのエリアで構成されています。

エリア区分と役割

区分 位置の目安 将来像(計画で設定された主な役割)
センターゾーン 横浜駅東西口直近 世界と横浜をつなぐ玄関口 ‐ ターミナル機能とホスピタリティの強化
南幸地区 西口「相鉄口」周辺 商業・文化・エンタメが集積する賑わい拠点
北幸地区 西口「きた西口」〜台町 成長企業が集まるビジネス街区
鶴屋町地区 きた西口高架北側 交流・宿泊・居住が混在する拠点(再開発が進行中)
ヨコハマポートサイド地区 金港町〜栄町運河沿い アート&デザインをテーマにした都心居住地
高島地区 高島・みなとみらい21中央 業務・MICE・ホテルなど多機能複合市街地
平沼地区 平沼橋・戸部周辺 駅・MM21双方にアクセスしやすい住宅・業務拠点

 

 

進行中の主要プロジェクト

エキサイトよこはま22に基づき、現在進行中の主要プロジェクトは以下の通りです。

横浜市ホームページより引用

地区 主な案件・施設 用途 / 規模 進捗・スケジュール
センターゾーン 横浜駅みなみ東口地区第一種市街地再開発事業 超高層複合(高さ約231 m、延床約21.5 万㎡) 環境アセスメント段階、2028年度着工予定 (横浜市公式ホームページ)
ヨコハマニシグチ OPEN PARK 駅前広場パーク化社会実験 2025年5月23–24日実施 (相鉄グループ)
南幸地区 横浜南幸地区共同建替事業(CeeU Yokohama/イオンモール横浜西口) 商業・住宅複合(延床約5.6 万㎡) 商業棟2023年12月開業、住宅棟2025年春竣工予定 (首都圏建設ウォッチ)
横浜駅西口大改造構想(相鉄ムービル建替ほか) 西口一帯の段階的再開発 2027年度相鉄ムービル解体着手予定、2040年代完了目標 (超高層ビル・都市開発研究所)
北幸地区 ステーションオアシス(横浜中央郵便局周辺)再開発 高さ約231 mの超高層複合 準備組合設立(2024年)、計画検討中 (Building PC)
鶴屋町地区 THE YOKOHAMA FRONT 住宅・ホテル・商業複合(地上43階、178 m) 2024年4月入居開始、ホテル2024年6月開業 (THE YOKOHAMA FRONT|ザ ヨコハマ フロント, 相鉄グループ, スカイスカイスカイ)
きた西口交通広場・デッキ直結 駅前交通広場・歩行者デッキ 工事完了、2025年3月3日供用開始 (横浜市公式ホームページ)
ヨコハマポートサイド地区 公益信託ヨコハマポートサイドまちづくりトラスト 地域助成プログラム 2025年度助成案件を公募中 (SMTB)
A-3街区開発計画 商業・業務・住宅複合(計画案) 用地調整・環境評価段階 (横浜市公式ホームページ)
高島(MM21中央)地区 62街区〈HARBOR EDGE PROJECT〉 ラグジュアリーホテル+デジタル水族館(延床約8.9 万㎡) 2025年7月着工、2028年9月竣工予定 (スカイスカイスカイ)
60・61街区〈Linkage Terrace Project〉 オフィス・ホテル・専門学校等(延床約13.1 万㎡/2.5 万㎡) 2026年3月着工、2028–29年段階竣工予定 (スカイスカイスカイ)
平沼地区 現在、事業化段階にある大規模再開発なし(参考:高島二丁目再開発〈ファーストプレイス横浜〉は2007年竣工済)   維持管理フェーズ (日鉄興和不動産 コーポレートサイト)

これらの複数の再開発プロジェクトが同時進行することにより、横浜駅周辺エリア全体の魅力と価値の向上が期待されています。

再開発が資産価値に及ぼす一般的影響

大規模再開発は、対象地域の不動産価値に大きな影響を与えることが多くの事例で確認されています。具体的にどのような要因で資産価値が上昇するのか整理してみましょう。

インフラと利便性の向上

再開発によって交通機関や公共施設、道路などのインフラが整備されると、その地域の利便性が向上します。特に駅前再開発などでは、駅から各施設へのアクセスが改善されることで、周辺不動産の価値上昇につながります。

例えば、エキサイトよこはま22では、南デッキの整備など線路上空や通路を整備することで、東西の移動がスムーズになり駅全体の回遊性が向上しています。こうした歩行者環境の改善も不動産価値の上昇要因となります。

エリアブランドの形成

再開発によって居住者や利用者が増加し、「快適で住みやすい」といったエリア評価が高まると、地域全体のブランド価値が向上します。特に、国際的な認知度を高めるような大規模プロジェクトは、その効果が顕著です。

エキサイトよこはま22では「国際都市の玄関口」としてのブランド構築を目指しており、これに伴って横浜駅周辺の不動産の価値も高まることが期待されています。

防災・安全性の向上

再開発エリアでは、建物やインフラに最新の防災基準や技術が採用されるため、耐震性の向上や防災インフラの整備などが行われます。安全性の向上は、特に居住用不動産の価値を支える重要な要素です。

エキサイトよこはま22でも災害対策が重要テーマとなっており、これによる安全性向上が資産価値を下支えしています。

投資需要の拡大

再開発に伴う将来性により、投資家の関心が高まることも価格上昇要因となります。特に国内外の不動産投資会社などの動向は、地価や不動産価格に直接的な影響を与えます。

横浜駅西口エリアでは、国内外の投資需要の底堅さと再開発の進行が相まって、取引価格の上昇と利回りの低下(投資家の強気姿勢)につながっています。

横浜駅周辺の地価・不動産価値の現状

エキサイトよこはま22の進行に伴い、横浜駅周辺の地価や不動産価値はどのように変化しているのでしょうか。最新のデータを基に分析します。

地価の推移と動向

2025年(令和7年)1月1日時点の横浜駅周辺の公示地価は、平均で279万4875円/㎡(坪単価923万9256円)となっており、前年比で9.84%の上昇を記録しています。同様に、基準地価の平均も523万6111円/㎡(坪単価1730万9458円)と前年比8.64%の上昇を示しています。

横浜駅西口エリアは特に地価上昇が顕著で、商業施設「横浜モアーズ」のある西区南幸1-3-1では、1平方メートルあたり1300万円という高額な地価が付いており、これは2位の地点より550万円以上高い水準です。

神奈川県全体の2025年の公示地価変動率を見ると、住宅地で3.4%(前年2.8%)、商業地で6.6%(前年5.4%)、工業地で6.2%(前年5.9%)の上昇となっており、特に商業地の上昇率が拡大しています。

以下の表に、横浜駅周辺の地価推移をまとめました。

年度 公示地価平均(万円/㎡) 前年比変動率 基準地価平均(万円/㎡) 前年比変動率
2025年 279.4875 +9.84% 未発表 -
2024年 254.4492 +8.42% 523.6111 +8.64%
2023年 234.6830 +5.33% 482.0000 +6.07%

このデータから、2023年以降、地価上昇率が加速していることが読み取れます。

不動産取引価格と利回りの動向

横浜市が2024年4月1日時点でまとめた「地価水準・賃料・利回り動向レポート」によれば、横浜駅西口・きた西口地区では、国内外の投資需要の底堅さと複数の再開発事業の進行に伴う市場競争力向上期待により、取引価格は上昇傾向で推移しています。

また、取引利回り(純収益÷取引価格)は、公表されているJ-REIT物件の利回り等の分析結果や取引状況から、横ばいから低下傾向(投資家が強気)で推移していることがわかります。これは投資家が将来の収益性に強い期待を持っていることを示唆しています。

オフィス・店舗賃料の動向

横浜駅西口・きた西口地区のオフィス市場では、空室率が3.63%(前回調査時3.75%)と低下傾向にあり、コロナ禍前の水準(約2.0%)への回復が進んでいます。賃料は横ばいから緩やかな上昇傾向にあります。

店舗市場では、飲食店舗を中心にオーナーの強気姿勢が戻っており、空き店舗はほとんど見られない状況です。特に横浜駅西口エリアは高い賃料水準を維持しており、新規出店需要も旺盛です。

エキサイトよこはま22が資産価値に及ぼす具体的影響

エキサイトよこはま22は、横浜駅周辺の資産価値にどのような具体的影響を与えているのでしょうか。収集したデータから分析します。

地価上昇への直接的影響

横浜駅周辺、特に西口エリアの地価上昇率が神奈川県平均を大きく上回っている主要因は、エキサイトよこはま22に基づく再開発の進展であると考えられます。2025年の公示地価で9.84%という高い上昇率を記録したことは、再開発効果の表れと言えるでしょう。

特に注目すべきは、神奈川県内の商業地上位5地点のうち4地点が横浜駅西口周辺だったという点です。これは横浜駅西口直結の複合ビル開発や周辺インフラ整備が、不動産価値を大きく押し上げていることを示しています。

投資魅力の向上

エキサイトよこはま22の進行は、横浜駅周辺エリアへの投資魅力を高めています。不動産投資の観点から見ると、以下のような要因が挙げられます。

  1. 地価上昇の継続性:2014年以降5年連続で地価が上昇しており、今後も再開発の進展に伴う上昇が期待できる
  2. 東京都心との価格差:東京都心部に比べ地価やマンション価格がまだ手頃で、相対的な割安感がある
  3. 交通アクセスの強化:JR・私鉄・地下鉄6社が乗り入れる巨大ターミナルとしての優位性
  4. 企業・商業施設の集積:オフィスや商業施設の充実による経済基盤の強化

これらの要因により、国内外の投資資金が流入し、取引価格の上昇と利回りの低下という形で表れています。

周辺エリアへの波及効果

エキサイトよこはま22の影響は、横浜駅直近だけでなく周辺エリアにも波及しています。みなとみらい地区や関内地区での再開発も相まって、横浜市中心部全体の不動産価値を押し上げる効果があります。

特に、みなとみらい21街区の開発進展率は96%に達しており、横浜駅周辺からみなとみらい、関内までの一体的な発展が進んでいます。

資産価値の長期的見通し

エキサイトよこはま22は2030年頃までの長期計画であるため、その資産価値への影響も長期的視点で考える必要があります。

横浜駅周辺の不動産価値の長期的見通しとしては、以下の点が重要となります。

  1. 継続的な再開発効果:複数のプロジェクトが段階的に進行することによる持続的な価値向上
  2. エリアブランドの確立:国際都市の玄関口としてのブランド価値の定着
  3. 環境・防災対策の進展:気候変動や災害リスクへの対応強化による資産価値の安定性向上
  4. 人口動態との関係:横浜市の人口動向と不動産需要のバランス

他の再開発エリアの事例を見ると、例えば港区高輪エリアでは対象64棟中55棟で平均10%の価格上昇が見られました。横浜駅周辺でも同様の上昇が期待できる可能性があります。

しかし、マクロ経済環境の変化や金利動向によっては、価格上昇が鈍化するリスクも考慮する必要があります。

まとめ

エキサイトよこはま22は、横浜駅周辺の資産価値に多面的かつ顕著な影響を及ぼしています。本記事で明らかになった主なポイントは以下の通りです。

  1. 地価上昇の加速 - 横浜駅周辺の地価は2025年に前年比9.84%上昇し、特に西口エリアで顕著な上昇が見られています。この上昇率は神奈川県平均を大きく上回り、エキサイトよこはま22の効果が数字に表れています。

  2. 投資環境の好転 - 国内外の投資家の関心が高まり、取引価格は上昇、取引利回りは低下(投資家の強気姿勢)という動きが見られます。オフィスや店舗の空室率も低下し、賃料は横ばいから緩やかな上昇傾向にあります。

  3. マンション市場の活性化 - 新築マンションの平均価格は70㎡で約8,560万円となり、高額物件の取引も活発です。ただし、将来の資産価値については複数のシナリオがあり、慎重な判断が必要です。

  4. 長期的価値向上の可能性 - エキサイトよこはま22が2030年頃までの長期計画であることから、今後も継続的な価値向上が期待できます。特に、国際都市の玄関口としてのブランド確立や環境・防災対策の進展が、長期的な資産価値を支えると考えられます。

このように、エキサイトよこはま22は横浜駅周辺の不動産市場に明らかなプラス効果をもたらしていますが、投資判断や居住地選択にあたっては、個別物件の特性やマクロ経済環境なども考慮した総合的な判断が重要です。

よくある質問

Q1: エキサイトよこはま22はいつまで続くのでしょうか?

A: エキサイトよこはま22は2009年に策定された約20年間の長期計画で、2030年頃までの完成を目指しています。ただし、個別プロジェクトによって完了時期は異なり、例えば関内駅前港町地区の再開発は2029年度供用開始予定となっています。

Q2: 横浜駅周辺への不動産投資は今から始めても遅くないでしょうか?

A: 既に地価上昇等の効果は表れていますが、エキサイトよこはま22は長期計画であり、今後も複数のプロジェクトが予定されています。東京都心に比べた相対的な価格の手頃さと、将来的な発展可能性を考慮すると、投資機会はまだあると言えるでしょう。ただし、個別物件の収益性や立地特性の詳細な検討が必要です。

Q3: 横浜駅西口と東口では、どちらの資産価値上昇が見込めますか?

A: 現状では西口エリアの方が再開発が先行しており、地価上昇も顕著です。しかし、今後は横浜駅みなみ東口地区の再開発準備組合が2024年6月に設立されるなど、東側でも開発が進展する見込みです。長期的には東口エリアにも波及効果が期待できますが、現時点では西口エリアの方が資産価値上昇の実績があります。

Q4: エキサイトよこはま22による地価上昇は、どの程度続くと予想されますか?

A: 横浜駅周辺の地価は2014年以降継続的に上昇しており、再開発の進展に伴い今後も一定期間は上昇が続くと予想されます。ただし、マクロ経済環境や金利動向によって上昇率は変動する可能性があります。他の再開発エリアの事例では約10%程度の価格上昇が確認されており、同様の傾向が続く可能性があります。

Q5: マンション購入を検討していますが、資産価値維持のためにはどのような点に注意すべきですか?

A: 横浜駅からの距離、築年数、総戸数(大規模物件ほど資産性が高い傾向)、再開発による直接的な恩恵(利便性向上など)、管理状態などが重要です。特に、エキサイトよこはま22の個別プロジェクトとの位置関係や、改善される交通アクセスとの関連性を検討することをお勧めします。

参考情報

横浜駅周辺の再開発は今後も続き、その波及効果はさらに拡大していくと予想されます。不動産投資や住まい選びにおいては、本記事で解説した動向を踏まえつつ、ご自身のニーズや長期的な目標に合わせた判断をされることをお勧めします。弊社INA&Associates株式会社では、横浜エリアの不動産市場に精通した専門家が、資産価値の分析や投資判断のサポートを承っておりますので、お気軽にご相談ください。