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マンション売却の全手順と費用・税金までプロが徹底解説|2025年最新版

作成者: 稲澤大輔|2025/06/17 3:25:03 Z

マンション売却は、人生における大きな決断の一つです。多くの方にとって、マンションは最も高額な資産であり、その売却には慎重な準備と正しい知識が必要です。

本記事では、INA&Associates株式会社が、マンション売却の流れから注意点まで、一般消費者の皆様にもわかりやすく解説いたします。マンション売却を成功させるためには、適切な手順を踏み、各段階での注意点を理解することが重要です。

マンション売却の期間は一般的に4~6ヵ月程度かかります。この期間を有効活用し、最適な条件で売却を実現するために、本記事でご紹介する内容をぜひご参考ください。

マンション売却の基本的な流れ

売却準備から引き渡しまでの全体像

マンション売却は、以下の7つのステップで進行します。各ステップを理解し、計画的に進めることで、スムーズな売却が可能になります。

ステップ 内容 期間の目安 主なポイント
1 売却準備・情報収集 1~2週間 必要書類の準備、相場調査
2 査定依頼 1~2週間 複数社への査定依頼
3 媒介契約締結 1週間 契約形態の選択
4 売却活動 2~4ヵ月 内覧対応、価格調整
5 売買契約締結 1日 契約条件の確認
6 決済・引き渡し 1~2ヵ月後 残金決済、鍵の引き渡し
7 確定申告 翌年2~3月 譲渡所得の申告

ステップ1:売却準備・情報収集

マンション売却の第一歩は、十分な準備と情報収集です。まず、売却の理由と目標を明確にしましょう。住み替え、資金調達、相続など、売却理由によって最適な戦略が異なります。

必要書類の準備は売却をスムーズに進めるために不可欠です。以下の書類を事前に準備しておきましょう。

  • 登記済権利証(登記識別情報)
  • 固定資産税納税通知書
  • 管理費・修繕積立金の領収書
  • マンションの管理規約・使用細則
  • 重要事項に係る調査報告書
  • 住宅ローン残高証明書(ローンがある場合)
  • 身分証明書・印鑑証明書

住宅ローン残債の確認も重要なポイントです。売却価格がローン残債を下回る「オーバーローン」の状態では、通常の売却が困難になる場合があります。事前に金融機関に確認し、正確な残債額を把握しておきましょう。

ステップ2:マンション査定の依頼

マンション査定は売却価格を決定する重要な工程です。査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。

机上査定は、物件の基本情報や周辺の取引事例を基に算出される簡易的な査定です。短時間で結果を得られる一方、実際の物件状況は反映されません。

訪問査定では、不動産会社の担当者が実際に物件を訪問し、室内の状況、設備の状態、眺望、日当たりなどを総合的に評価します。より正確な査定価格を得るためには、訪問査定が必要です。

複数社への査定依頼は、適正な売却価格を把握するために重要です。査定価格には不動産会社によって差が生じるため、最低でも3社以上に査定を依頼することをお勧めします。

ステップ3:媒介契約の締結

査定結果を比較検討し、信頼できる不動産会社を選定したら、媒介契約を締結します。媒介契約には以下の3種類があります。

契約種別 複数社との契約 自己発見取引 報告義務 契約期間
一般媒介契約 可能 可能 なし 制限なし
専任媒介契約 不可 可能 2週間に1回以上 3ヵ月以内
専属専任媒介契約 不可 不可 1週間に1回以上 3ヵ月以内

専任媒介契約または専属専任媒介契約を選択すると、不動産会社は積極的な販売活動を行う義務が生じます。一方、一般媒介契約では複数社に依頼できるメリットがありますが、各社の販売意欲が低下する可能性があります。

ステップ4:売却活動

媒介契約締結後、本格的な売却活動が開始されます。不動産会社は以下の活動を行います。

  • 不動産ポータルサイトへの物件掲載
  • 新聞折込チラシやポスティング
  • 自社ホームページでの紹介
  • 他の不動産会社への物件情報提供
  • 購入希望者の内覧対応

内覧対応は売却成功の重要な要素です。購入希望者に良い印象を与えるため、以下の点に注意しましょう。

  • 室内の清掃と整理整頓
  • 照明を明るくし、カーテンを開けて採光を確保
  • 生活感を抑え、モデルルームのような演出
  • 設備の不具合がある場合は事前に修繕

売却活動中は、市場の反応を見ながら価格調整を検討する場合があります。内覧者数や問い合わせ状況を分析し、必要に応じて売出価格の見直しを行います。

ステップ5:売買契約の締結

購入希望者が現れ、価格や条件について合意に達したら、売買契約を締結します。契約時には以下の事項を確認します。

  • 売買価格と支払い条件
  • 引き渡し時期
  • 付帯設備の取り扱い
  • 契約不適合責任の範囲と期間
  • 手付金の額と支払い時期

契約締結時には手付金を受け取ります。手付金の相場は売買価格の5~10%程度です。また、売主は付帯設備表物件状況等報告書を作成し、物件の状況を正確に買主に伝える義務があります。

ステップ6:決済・引き渡し

売買契約締結から約1~2ヵ月後に決済・引き渡しを行います。決済当日の流れは以下の通りです。

  1. 司法書士による本人確認と書類確認
  2. 住宅ローンの実行(買主)
  3. 残代金の授受
  4. 仲介手数料等の支払い
  5. 抵当権抹消手続き(売主にローンがある場合)
  6. 所有権移転登記
  7. 鍵と関連書類の引き渡し

決済は通常、買主の住宅ローンを利用する金融機関で行われます。売主は当日までに引っ越しを完了し、物件を空にしておく必要があります。

ステップ7:確定申告

マンション売却により譲渡所得が発生した場合、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行う必要があります。

譲渡所得は以下の計算式で算出されます。

譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用

取得費にはマンションの購入価格や購入時の諸費用、譲渡費用には仲介手数料や印紙税などが含まれます。居住用財産の売却には3,000万円の特別控除などの特例があるため、税理士に相談することをお勧めします。

マンション売却で注意すべき重要なポイント

売却タイミングの見極め

マンション売却のタイミングは売却価格に大きく影響します。不動産市場は季節や経済情勢によって変動するため、適切なタイミングを見極めることが重要です。

一般的に、転勤や進学に伴う住み替え需要が高まる1~3月と9~11月が売却に適した時期とされています。この時期は購入希望者が多く、比較的高値での売却が期待できます。

また、マンションの築年数も売却価格に影響します。築10年を超えると価格の下落が顕著になるため、売却を検討している場合は早めの行動が有効です。

適正な売出価格の設定

売出価格の設定は売却成功の鍵を握ります。高すぎる価格設定は購入希望者の関心を引かず、売却期間の長期化を招きます。一方、安すぎる価格設定は経済的な損失につながります。

適正な売出価格を設定するためには、以下の要素を総合的に判断する必要があります。

  • 近隣の類似物件の成約事例
  • 現在の市場動向
  • 物件の個別要因(階数、方角、設備状況等)
  • 売却希望時期
  • 市場での競合物件数

相場価格を正確に把握するため、不動産ポータルサイトでの相場調査や、複数の不動産会社からの査定を活用しましょう。

不動産会社選びの重要性

不動産会社の選択は売却成功に直結する重要な決定です。単純に査定価格が高い会社を選ぶのではなく、以下の観点から総合的に判断することが大切です。

評価項目 確認ポイント
実績・経験 同エリア・同タイプの売却実績
営業力 広告戦略、ネットワークの充実度
対応力 担当者の知識、レスポンスの速さ
信頼性 免許番号、業界団体への加盟状況
手数料 仲介手数料の明確性

囲い込みと呼ばれる不適切な営業行為にも注意が必要です。これは、不動産会社が売主と買主の両方から仲介手数料を得るため、他社からの購入申し込みを意図的に排除する行為です。売却期間の長期化や売却価格の低下を招く可能性があります。

契約不適合責任への対策

2020年4月の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」は契約不適合責任に変更されました。売主は契約書に記載された内容と異なる物件を引き渡した場合、買主に対して責任を負います。

契約不適合責任のトラブルを避けるため、以下の対策を講じましょう。

  • 付帯設備表での設備状況の正確な記載
  • 物件状況等報告書での不具合の詳細な報告
  • 専門業者による建物状況調査(インスペクション)の実施
  • 既存住宅売買瑕疵保険への加入検討

特に、給湯器、エアコン、インターホンなどの設備については、動作状況を正確に把握し、不具合がある場合は事前に買主に説明することが重要です。

住宅ローン残債への対応

住宅ローン残債がある場合の売却には特別な注意が必要です。売却価格がローン残債を下回る「オーバーローン」の状態では、以下の対応が考えられます。

  1. 任意売却:金融機関の同意を得て市場価格で売却
  2. 買い替えローン:新居購入時にローン残債を組み込む
  3. 自己資金での補填:不足分を現金で支払い

オーバーローンの場合は、早めに金融機関や不動産会社に相談し、最適な解決策を検討しましょう。

税務上の注意点

マンション売却には様々な税金が課されます。主な税金と軽減措置は以下の通りです。

税金の種類 課税対象 軽減措置
譲渡所得税 売却益 居住用財産の3,000万円特別控除
住民税 売却益 同上
印紙税 売買契約書 軽減税率の適用
登録免許税 抵当権抹消 なし

居住用財産の3,000万円特別控除は、マイホームを売却した場合に譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。この特例を適用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 自分が住んでいる家屋を売却する
  • 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する
  • 売却先が配偶者や直系血族でない
  • 過去2年間に同特例を適用していない

売却スケジュールの管理

余裕を持ったスケジュールの設定は、マンション売却成功の重要な要素です。急いで売却を進めると、以下のような問題が生じる可能性があります。

  • 市場価格より安い価格での売却
  • 十分な検討時間がないことによる判断ミス
  • 引っ越しや新居探しの時間不足
  • 税務手続きの準備不足

理想的な売却スケジュールは以下の通りです。

時期 活動内容 注意点
6ヵ月前 情報収集、査定依頼 複数社への相談
4ヵ月前 媒介契約、売却活動開始 適正価格での売り出し
2ヵ月前 売買契約締結 条件の十分な検討
引き渡し日 決済・引き渡し 必要書類の準備
翌年 確定申告 税理士への相談

内覧対応のポイント

内覧対応は購入希望者の購買意欲に直接影響する重要な要素です。効果的な内覧対応のポイントは以下の通りです。

清掃と整理整頓は基本中の基本です。特に水回り(キッチン、浴室、トイレ)は入念に清掃し、清潔感を演出しましょう。不要な物は事前に処分し、生活感を抑えることが重要です。

照明と採光にも注意を払いましょう。すべての照明を点灯し、カーテンやブラインドを開けて自然光を取り入れます。明るい空間は広く感じられ、購入希望者に良い印象を与えます。

におい対策も忘れてはいけません。ペットのにおいや生活臭は購入希望者に不快感を与える可能性があります。内覧前には十分な換気を行い、必要に応じて消臭剤を使用しましょう。

設備の動作確認を事前に行い、不具合がある場合は正直に説明することが信頼関係の構築につながります。隠蔽は後のトラブルの原因となるため避けましょう。

マンション売却にかかる費用の詳細

仲介手数料の計算方法

仲介手数料はマンション売却で最も大きな費用項目です。宅地建物取引業法により上限が定められており、売買価格に応じて以下のように計算されます。

売買価格 仲介手数料の上限
200万円以下 売買価格×5%+消費税
200万円超400万円以下 売買価格×4%+2万円+消費税
400万円超 売買価格×3%+6万円+消費税

例えば、3,000万円でマンションを売却した場合の仲介手数料は以下の通りです。

3,000万円×3%+6万円+消費税=1,056,000円

仲介手数料は売買契約成立時に支払う義務が発生し、通常は契約時と決済時に半額ずつ支払います。

その他の諸費用

マンション売却には仲介手数料以外にも様々な費用が発生します。主な費用項目と相場は以下の通りです。

費用項目 金額の目安 備考
印紙税 1万~3万円 売買契約書に貼付
登録免許税 1,000円×件数 抵当権抹消登記
司法書士報酬 1万~3万円 登記手続き代行
住宅ローン繰上返済手数料 1万~3万円 金融機関により異なる
引っ越し費用 10万~30万円 距離・荷物量により変動
ハウスクリーニング 5万~15万円 専有面積により変動
修繕費用 0円~50万円 物件状況により変動

印紙税は売買契約書に貼付する印紙の費用で、契約金額に応じて税額が決定されます。2024年3月31日まで軽減税率が適用されており、例えば3,000万円の契約では本来3万円のところ1万円となります。

登録免許税司法書士報酬は、住宅ローンがある場合の抵当権抹消登記に必要な費用です。登録免許税は不動産1件につき1,000円、司法書士報酬は1万~3万円程度が相場です。

譲渡所得税の計算

マンション売却により利益が生じた場合、譲渡所得税が課税されます。譲渡所得の計算式は以下の通りです。

譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用

取得費には以下の項目が含まれます。

  • マンションの購入価格
  • 購入時の仲介手数料
  • 登録免許税・不動産取得税
  • 司法書士報酬
  • リフォーム・修繕費用

譲渡費用には以下の項目が含まれます。

  • 売却時の仲介手数料
  • 印紙税
  • 立退料(賃貸中の場合)
  • 建物の取り壊し費用

譲渡所得に対する税率は、所有期間により以下のように区分されます。

所有期間 所得税率 住民税率 合計税率
5年以下(短期) 30% 9% 39%
5年超(長期) 15% 5% 20%

ただし、居住用財産の売却には3,000万円の特別控除が適用されるため、多くの場合で税負担を軽減できます。

費用を抑えるための方法

マンション売却費用を抑えるためには、以下の方法が有効です。

複数社への査定依頼により、仲介手数料の交渉余地を探ることができます。ただし、手数料の安さだけでなく、サービス内容も総合的に判断することが重要です。

自分でできる準備を積極的に行うことで、費用を削減できます。例えば、軽微な修繕や清掃は専門業者に依頼せず、自分で行うことで費用を抑えられます。

税制優遇措置の活用により、税負担を軽減できます。居住用財産の3,000万円特別控除や、買い替え特例などの制度を適切に活用しましょう。

まとめ

マンション売却は複雑なプロセスですが、適切な準備と正しい知識があれば成功させることができます。本記事でご紹介した内容を参考に、以下の重要ポイントを押さえて売却を進めてください。

売却の流れを理解し、計画的に進めることが成功の第一歩です。売却準備から引き渡しまで4~6ヵ月程度の期間を要するため、余裕を持ったスケジュールを設定しましょう。

複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な売却価格を把握することが重要です。査定価格だけでなく、不動産会社の実績や対応力も総合的に判断して選択しましょう。

契約不適合責任への対策を怠らず、物件の状況を正確に買主に伝えることでトラブルを防げます。付帯設備表や物件状況等報告書の作成には十分な注意を払いましょう。

税務上の特例措置を適切に活用することで、税負担を大幅に軽減できる場合があります。特に居住用財産の3,000万円特別控除は多くの方が利用できる制度です。

マンション売却でお困りの際は、経験豊富な不動産会社にご相談ください。INA&Associates株式会社では、お客様一人ひとりの状況に応じた最適な売却戦略をご提案いたします。

よくある質問

Q1.マンション売却にはどのくらいの期間がかかりますか?

A1.一般的にマンション売却には4~6ヵ月程度の期間が必要です。売却準備から査定依頼まで1~2ヵ月、売却活動に2~4ヵ月、契約から引き渡しまで1~2ヵ月程度を見込んでおきましょう。ただし、物件の条件や市場状況により期間は変動します。急いで売却したい場合は、買取という選択肢もあります。

Q2.住宅ローンが残っていてもマンションを売却できますか?

A2.住宅ローンが残っていてもマンション売却は可能です。売却価格でローンを完済できる場合は通常の売却手続きを行います。売却価格がローン残債を下回る「オーバーローン」の場合は、任意売却や買い替えローンなどの方法があります。まずは金融機関に相談し、最適な解決策を検討しましょう。

Q3.マンション売却時の仲介手数料はいくらですか?

A3.仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められており、売買価格が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」で計算されます。例えば3,000万円で売却した場合、仲介手数料は最大1,056,000円となります。ただし、これは上限額であり、不動産会社によっては割引を行う場合もあります。

Q4.マンション売却で利益が出た場合、税金はかかりますか?

A4.マンション売却で譲渡所得(利益)が発生した場合、譲渡所得税が課税されます。ただし、居住用財産の売却には3,000万円の特別控除があるため、多くの場合で税負担を軽減または免除できます。所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得として税率が軽減されます。詳細は税理士にご相談ください。

Q5.内覧時に注意すべきポイントはありますか?

A5.内覧時は第一印象が重要です。室内の清掃と整理整頓を徹底し、すべての照明を点灯して明るい印象を与えましょう。水回りは特に入念に清掃し、においにも注意が必要です。設備の不具合がある場合は隠さずに正直に説明することで、信頼関係を築けます。可能であれば、モデルルームのような演出を心がけましょう。