不動産オーナーの皆様は、賃貸経営において「安定した家賃収入を得たい」「管理の手間を減らしたい」とお考えではないでしょうか。そんな願いを叶える選択肢として注目されているのが「サブリース契約」です。サブリース契約は、不動産会社が物件を一括で借り上げ、入居者に転貸する仕組みで、空室リスクを軽減できる魅力的な選択肢として多くのオーナー様に選ばれています。
しかし近年、家賃保証の減額トラブルや契約内容に関する紛争が増加し、2020年には国土交通省による法規制も強化されました。本記事では、INA&Associatesの経験と知見をもとに、サブリース契約の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、法規制、トラブル事例まで、不動産オーナーの皆様が知っておくべき情報を分かりやすく解説します。賃貸経営の選択肢として「サブリース契約」が本当にご自身に適しているのか、正しい判断材料を得ていただければ幸いです。
サブリース契約の基本
サブリース契約とは
サブリース契約とは、不動産オーナーが所有する賃貸物件を不動産管理会社(サブリース会社)が一括して借り上げ、その物件を入居者に転貸(又貸し)する契約形態です。英語の「sublease(サブリース)」は「転貸」を意味し、法律上は「転貸借契約」と呼ばれています。
この契約形態の最大の特徴は、サブリース会社がオーナーに対して、物件の空室状況に関わらず、一定期間の家賃を保証する点にあります。通常の賃貸管理では、空室が発生すればその期間の家賃収入はゼロになりますが、サブリース契約では契約で定められた家賃が継続的に支払われます。
契約の仕組み
1.不動産オーナーとサブリース会社が賃貸借契約(マスターリース契約)を締結
2.サブリース会社は物件を一括して借り上げ、オーナーに対して家賃を支払う
3.サブリース会社は入居者を募集し、入居者と賃貸借契約を結ぶ
この仕組みにより、オーナーは入居者の募集や家賃回収、クレーム対応などの管理業務から解放され、安定した家賃収入を得ることができます。一方、サブリース会社は入居者から受け取る家賃と、オーナーに支払う家賃の差額を収益としています。
一般的な賃貸管理との違い
サブリース契約と一般的な賃貸管理(管理委託契約)の主な違いを以下の表にまとめました。
項目 |
サブリース契約 |
管理委託契約 |
契約の相手 |
サブリース会社が借主となる |
入居者が借主となる |
家賃保証 |
あり(契約条件による) |
なし(空室時は収入ゼロ) |
家賃設定 |
サブリース会社が決定 |
オーナーが決定(管理会社が助言) |
空室リスク |
サブリース会社が負担 |
オーナーが負担 |
管理業務 |
サブリース会社が全て担当 |
管理会社に委託(範囲は契約による) |
収益性 |
安定的だが上限あり |
変動的だが上限なし |
管理手数料 |
原則なし(家賃差額が実質的な手数料) |
あり(家賃の5〜10%程度) |
契約期間 |
長期(10〜30年)が一般的 |
短期(1〜2年)が一般的 |
一括借り上げとの関係
「サブリース」と「一括借り上げ」は、しばしば同じ意味で使われますが、厳密には異なる概念です。一括借り上げは、サブリース契約の一形態であり、物件全体を一括して借り上げる方式を指します。一方、サブリースは転貸を前提とした賃貸借契約の総称です。
実務上は、「一括借り上げ」という言葉がマーケティング的な表現として使われることが多く、法律上の「サブリース契約(転貸借契約)」と同義で使用されるケースがほとんどです。
サブリース契約の法的位置づけ
サブリース契約は、民法上の賃貸借契約と転貸借契約の組み合わせとして位置づけられます。2020年12月に施行された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(通称:賃貸住宅管理業法)により、サブリース事業に対する規制が強化されました。
この法律では、サブリース業者に対して以下の義務が課されています:
これらの規制は、過去に発生した家賃保証の減額トラブルなどを背景に導入されたものであり、不動産オーナーの保護を目的としています。
サブリース契約のメリットとデメリット
サブリース契約には、不動産オーナーにとって様々なメリットとデメリットがあります。ここでは、それぞれを詳しく解説します。
不動産オーナーにとってのメリット
1. 家賃保証による安定収入
サブリース契約の最大のメリットは、空室の有無に関わらず、一定の家賃収入が保証される点です。通常の賃貸経営では、空室期間中の家賃収入はゼロになりますが、サブリース契約では契約で定められた家賃が継続的に支払われます。これにより、安定したキャッシュフローを確保することができ、ローン返済計画も立てやすくなります。
2. 管理業務の軽減
サブリース契約では、入居者の募集や審査、契約手続き、家賃回収、クレーム対応、退去時の原状回復など、賃貸経営に関わるほぼ全ての業務をサブリース会社が担当します。そのため、不動産オーナーは管理の手間から解放され、時間的・精神的な負担を大幅に軽減することができます。特に遠方に物件を所有している場合や、本業が忙しい方にとって大きなメリットとなります。
3. 空室リスクの軽減
賃貸経営における最大のリスクの一つが空室リスクです。サブリース契約では、この空室リスクをサブリース会社が負担するため、オーナーは安心して賃貸経営を行うことができます。特に、立地条件が良くない物件や、競合物件が多いエリアでは、このメリットは大きいと言えるでしょう。
4. 専門的な管理ノウハウの活用
サブリース会社は賃貸管理のプロフェッショナルであり、入居者募集のノウハウや効率的な建物管理の知識を持っています。こうした専門知識を活用することで、物件の価値を維持・向上させることができます。また、市場動向に合わせた適切な家賃設定や、効果的な広告宣伝なども期待できます。
不動産オーナーにとってのデメリット
1. 収益性の制限
サブリース契約では、サブリース会社に支払われる家賃は、市場家賃の80〜90%程度に設定されることが一般的です。つまり、満室経営ができれば、通常の賃貸管理の方が高い収益を得られる可能性があります。特に人気エリアの物件や、空室リスクが低い物件では、サブリース契約によって本来得られるはずの収益機会を逃してしまう可能性があります。
2. 契約条件の変更リスク
多くのサブリース契約には、経済情勢の変化や周辺の賃料相場の変動などを理由に、サブリース会社が家賃を減額できる条項が含まれています。実際に、過去には約束された家賃が一方的に引き下げられるトラブルが多発しました。このリスクは、サブリース契約の大きな欠点の一つと言えるでしょう。
3. 長期契約による拘束
サブリース契約は一般的に10〜30年という長期間の契約となります。この間、物件の売却や用途変更などが制限される可能性があります。また、中途解約には高額な違約金が設定されていることも多く、柔軟性に欠ける面があります。
4. 物件管理の主導権喪失
サブリース契約では、物件の管理や入居者の選定などの決定権がサブリース会社に移ります。そのため、オーナーの意向が反映されにくくなる場合があります。例えば、入居者の属性や家賃設定、リフォームの内容などについて、オーナーの希望通りにならないことがあります。
メリット・デメリットの比較表
以下の表は、サブリース契約のメリットとデメリットを比較したものです。
メリット |
デメリット |
家賃保証による安定収入 |
収益性の制限(市場家賃の80〜90%程度) |
管理業務の軽減 |
契約条件の変更リスク(家賃減額など) |
空室リスクの軽減 |
長期契約による拘束(10〜30年) |
専門的な管理ノウハウの活用 |
物件管理の主導権喪失 |
入居者対応の負担軽減 |
契約解除の難しさ・違約金リスク |
賃貸経営の初心者でも安心 |
修繕費負担の増加可能性 |
サブリース契約の注意点と法規制
サブリース契約を検討する際には、様々な注意点や法規制を理解しておくことが重要です。ここでは、国土交通省のガイドラインや法規制、契約時の重要事項について解説します。
国土交通省のガイドライン
2020年10月、国土交通省は「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」を策定しました。このガイドラインは、サブリース事業における適正な業務の在り方を示すとともに、賃貸住宅管理業法の規制対象となる行為を明確化したものです。
ガイドラインでは、以下のような点が明記されています:
このガイドラインは法的拘束力はありませんが、サブリース業者の適正な業務遂行の指針となっています。
賃貸住宅管理業法による規制
2020年6月に成立した「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(賃貸住宅管理業法)は、サブリース事業に対する規制を強化しました。この法律により、サブリース業者には以下の義務が課されています:
1. 誇大広告等の禁止(法第28条)
サブリース業者は、家賃の将来的な変動可能性や契約内容について、事実と異なる広告や表示を行うことが禁止されています。例えば、「家賃保証は将来にわたって確実」といった表現や、「絶対に損をしない投資」といった断定的な表現は禁止されています。
2. 不当な勧誘等の禁止(法第29条)
サブリース業者は、オーナーに対して、契約の締結を強引に迫ったり、判断力の不足に乗じたりするような勧誘行為が禁止されています。また、故意に事実を告げなかったり、不実のことを告げたりする行為も禁止されています。
3. 契約締結前の重要事項説明(法第30条)
サブリース業者は、契約締結前に、以下の重要事項をオーナーに説明する義務があります:
4. 契約締結時の書面交付(法第31条)
サブリース業者は、契約締結時に、契約内容を記載した書面をオーナーに交付する義務があります。この書面には、重要事項説明で説明した内容が含まれている必要があります。
サブリース契約における主な法規制と内容
以下の表は、サブリース契約に関する主な法規制とその内容をまとめたものです。
法規制 |
内容 |
施行日 |
賃貸住宅管理業法第28条 |
誇大広告等の禁止 |
2020年12月15日 |
賃貸住宅管理業法第29条 |
不当な勧誘等の禁止 |
2020年12月15日 |
賃貸住宅管理業法第30条 |
契約締結前の重要事項説明義務 |
2020年12月15日 |
賃貸住宅管理業法第31条 |
契約締結時の書面交付義務 |
2020年12月15日 |
賃貸住宅管理業法第32条 |
業務に関する禁止行為 |
2020年12月15日 |
宅地建物取引業法第35条 |
重要事項説明義務(建設を前提とする場合) |
既存 |
消費者契約法 |
不当な契約条項の無効 |
既存 |
契約時の重要事項説明
サブリース契約を締結する際には、サブリース業者から重要事項説明を受けることが法律で義務付けられています。この説明では、以下の点に特に注意する必要があります:
1. 家賃保証の条件と変動可能性
家賃保証の内容(保証額、保証期間)と、将来的な家賃変動の可能性について説明を受けることが重要です。多くのサブリース契約には、経済情勢の変化や周辺の賃料相場の変動などを理由に、サブリース会社が家賃を減額できる条項が含まれています。
2. 契約期間と中途解約条件
契約期間(一般的に10〜30年)と、中途解約する場合の条件(違約金の有無や金額など)について確認することが重要です。特に、違約金の金額が高額に設定されている場合は注意が必要です。
3. 維持管理・修繕費用の負担区分
物件の維持管理や修繕に関する費用の負担区分(オーナー負担かサブリース会社負担か)を明確にしておくことが重要です。特に、大規模修繕や設備の更新などの高額な費用については、事前に確認しておくべきです。
4. 契約更新時の条件
契約更新時の条件(更新料の有無や金額、更新時の家賃見直しの可能性など)について確認することが重要です。更新時に家賃が減額される可能性がある場合は、その条件や基準を明確にしておくべきです。
サブリース契約のトラブル事例と対策
サブリース契約に関するトラブルは年々増加しており、消費者庁や国民生活センターにも多くの相談が寄せられています。ここでは、主なトラブル事例とその対策について解説します。
家賃減額トラブル
最も多いトラブルは、当初約束された家賃が一方的に減額されるケースです。多くのサブリース契約には、経済情勢の変化や周辺の賃料相場の変動などを理由に、サブリース会社が家賃を減額できる条項が含まれています。
事例
Aさんは、サブリース会社Bから「30年間、家賃保証します」という説明を受け、アパート建設とサブリース契約を決断しました。しかし、契約から5年後、Bは「周辺の賃料相場が下落した」という理由で、家賃を当初の80%に減額すると通知してきました。Aさんが契約書を確認すると、確かに「経済情勢の変化や周辺の賃料相場の変動があった場合、家賃を変更できる」という条項がありました。
対策
1.契約前に、家賃減額条項の有無と内容を必ず確認する
2.家賃減額の条件や基準が曖昧な場合は、明確化を求める
3.家賃保証に関する説明と契約書の内容に相違がある場合は、書面で確認する
4.必要に応じて、弁護士など専門家のアドバイスを受ける
契約解除に関するトラブル
サブリース契約は長期契約が一般的であり、中途解約には高額な違約金が設定されていることが多いため、契約解除に関するトラブルも発生しています。
事例
Cさんは、サブリース会社Dと20年契約を結びましたが、5年後に物件を売却したいと考え、契約解除を申し出ました。しかし、Dからは「残存期間の家賃の50%を違約金として支払ってほしい」と請求されました。計算すると約2,000万円の違約金となり、Cさんは支払いに応じるか悩んでいます。
対策
1.契約前に、中途解約条件と違約金の計算方法を確認する
2.違約金が高額な場合は、減額交渉や分割払いの可能性を探る
3.契約書に記載された違約金が「平均的な損害」を超える場合、消費者契約法に基づき減額される可能性がある
4.弁護士など専門家に相談し、適切な対応を検討する
修繕費負担に関するトラブル
物件の修繕費用の負担区分が不明確なために、トラブルになるケースも少なくありません。
事例
Eさんは、サブリース会社Fと契約を結び、10年が経過しました。最近、エアコンの故障が相次いでおり、Eさんは修繕費用をFに請求しましたが、「設備の更新はオーナー負担」という理由で拒否されました。契約書を確認すると、修繕費用の負担区分が曖昧に記載されていました。
対策
2.特に高額になりやすい設備更新や大規模修繕については、具体的な取り決めをしておく
4.定期的に物件の状態を確認し、必要な修繕を適時に行う
主なトラブル事例と対策
以下の表は、サブリース契約における主なトラブル事例とその対策をまとめたものです。
トラブル事例 |
内容 |
対策 |
家賃減額トラブル |
当初約束された家賃が一方的に減額される |
家賃減額条項の確認、減額条件・基準の明確化、説明と契約書の整合性確認 |
契約解除トラブル |
中途解約時に高額な違約金を請求される |
中途解約条件と違約金の計算方法の確認、減額交渉、専門家への相談 |
修繕費負担トラブル |
修繕費用の負担区分が不明確で争いになる |
負担区分の明確化、設備更新・大規模修繕の取り決め、修繕履歴の記録 |
更新拒否トラブル |
契約更新を拒否される |
更新条件の確認、更新拒否事由の制限、借地借家法の適用確認 |
管理不全トラブル |
適切な管理が行われず、物件価値が低下する |
管理業務の範囲と水準の明確化、定期的な物件確認、報告義務の設定 |
入居者クレームトラブル |
入居者からのクレーム対応が不十分 |
クレーム対応の責任範囲の明確化、対応状況の報告義務、緊急時の連絡体制 |
サブリース契約の選び方
サブリース契約を検討する際には、サブリース会社の選定や契約内容の確認が非常に重要です。ここでは、サブリース契約の選び方について解説します。
サブリース会社の選定基準
サブリース会社を選ぶ際には、以下の点を確認することが重要です:
1. 会社の信頼性と実績
サブリース会社の設立年数、資本金、管理戸数などの基本情報を確認しましょう。長期にわたって契約関係が続くため、会社の安定性や継続性は重要な要素です。また、過去のトラブル事例や評判についても調査することをお勧めします。
2. 賃貸住宅管理業者登録の有無
2021年6月から、一定規模以上の賃貸住宅管理業者は国土交通省への登録が義務付けられています。登録業者は一定の基準を満たしていることが確認されているため、登録の有無は重要な判断材料となります。
3. 管理実績とノウハウ
対象物件と同様の物件の管理実績があるか、そのエリアでの管理ノウハウを持っているかを確認しましょう。特に、入居者募集力や管理能力は、物件の収益性に大きく影響します。
4. 財務状況
サブリース会社の財務状況は、長期的な家賃保証能力に直結します。可能であれば、財務諸表を確認し、安定した経営状態かどうかを判断しましょう。
契約内容の確認ポイント
サブリース契約を締結する際には、以下の点を特に注意して確認しましょう:
1. 家賃保証の条件
保証家賃の金額、保証期間、見直しの条件などを明確に確認しましょう。特に、家賃減額の条件や基準が曖昧な場合は、具体的な数値や状況を明記するよう求めることが重要です。
2. 契約期間と中途解約条件
契約期間と、中途解約する場合の条件(違約金の有無や金額など)を確認しましょう。違約金の金額が高額に設定されている場合は、交渉の余地があるか検討することも必要です。
3. 維持管理・修繕費用の負担区分
物件の維持管理や修繕に関する費用の負担区分を明確にしましょう。特に、大規模修繕や設備の更新などの高額な費用については、事前に取り決めておくことが重要です。
4. 契約更新時の条件
契約更新時の条件(更新料の有無や金額、更新時の家賃見直しの可能性など)を確認しましょう。更新時に家賃が減額される可能性がある場合は、その条件や基準を明確にしておくべきです。
交渉すべき条件
サブリース契約は、必ずしも提示された条件をそのまま受け入れる必要はありません。以下の点については、交渉の余地があります:
1. 保証家賃の金額
市場家賃の80〜90%程度が一般的ですが、物件の立地や状態、競合状況などによっては、より高い保証率を交渉できる可能性があります。
2. 家賃減額条項の明確化
家賃減額の条件や基準を具体的に明記するよう求めることで、将来的なトラブルを防ぐことができます。例えば、「周辺の賃料相場が○%以上下落した場合」など、具体的な数値を設定することが望ましいです。
3. 中途解約の違約金
違約金の金額が高額な場合は、減額交渉や段階的な設定(契約期間が長くなるほど違約金が減少する)を提案することも検討しましょう。
4. 修繕費用の負担区分
修繕費用の負担区分については、物件の状態や築年数などを考慮して交渉することが可能です。特に、設備の経年劣化による修繕については、サブリース会社の負担とする交渉も検討しましょう。
専門家への相談
サブリース契約は複雑で専門的な内容を含むため、契約前に弁護士や不動産コンサルタントなどの専門家に相談することをお勧めします。特に、以下のような場合は専門家のアドバイスが有効です:
•過去にトラブルを経験したサブリース会社との契約を検討している場合
サブリース会社選定のチェックリスト
以下の表は、サブリース会社を選定する際のチェックリストです。
チェック項目 |
確認ポイント |
会社の基本情報 |
設立年数、資本金、従業員数、管理戸数 |
賃貸住宅管理業者登録 |
登録の有無、登録番号 |
管理実績 |
対象物件と同様の物件の管理実績、エリアでの実績 |
財務状況 |
決算書の内容、経営の安定性 |
家賃保証の条件 |
保証家賃の金額、保証期間、見直しの条件 |
契約期間と中途解約条件 |
契約期間、違約金の有無と金額、解約予告期間 |
維持管理・修繕費用の負担区分 |
日常的な修繕、大規模修繕、設備更新の負担区分 |
契約更新時の条件 |
更新料の有無と金額、更新時の家賃見直しの可能性 |
トラブル対応体制 |
入居者クレーム対応、緊急時の対応体制 |
情報開示の姿勢 |
入居状況や収支状況の報告頻度と内容 |
まとめ
サブリース契約は、不動産オーナーにとって安定した家賃収入と管理の手間軽減というメリットをもたらす一方で、収益性の制限や契約条件の変更リスクなどのデメリットも存在します。本記事で解説した内容を踏まえ、以下の点を特に意識して検討することをお勧めします。
サブリース契約の要点整理
1.サブリース契約の本質を理解する: サブリース契約は、不動産オーナーとサブリース会社の間の賃貸借契約であり、サブリース会社が入居者に転貸する形態です。安定収入と引き換えに、収益の上限が設定される取引と捉えることが重要です。
2.法規制の強化を認識する: 2020年の賃貸住宅管理業法施行により、サブリース事業に対する規制が強化されました。誇大広告の禁止や重要事項説明の義務化など、オーナー保護のための制度が整備されています。
3.メリット・デメリットを比較検討する: 家賃保証や管理業務の軽減というメリットと、収益性の制限や契約条件の変更リスクというデメリットを、ご自身の状況や優先事項に照らし合わせて検討しましょう。
4.トラブル事例から学ぶ: 家賃減額や契約解除、修繕費負担などのトラブル事例を参考に、契約内容の確認や交渉を行うことが重要です。
契約検討時の注意事項
1.サブリース会社の選定を慎重に行う: 会社の信頼性や実績、財務状況などを総合的に判断し、長期的な関係を築けるパートナーを選びましょう。
2.契約内容を詳細に確認する: 家賃保証の条件、契約期間、中途解約条件、修繕費用の負担区分など、重要な契約条件を詳細に確認し、必要に応じて交渉しましょう。
3.専門家のアドバイスを受ける: 契約前に弁護士や不動産コンサルタントなどの専門家に相談し、契約内容の妥当性や潜在的なリスクを評価してもらうことをお勧めします。
4.将来的なリスクに備える: 家賃減額や契約条件の変更などのリスクを想定し、資金計画や出口戦略を検討しておくことが重要です。
次のアクション
サブリース契約を検討されている方は、以下のステップで進めることをお勧めします:
1.複数のサブリース会社から提案を受け、条件を比較検討する
2.契約内容の詳細を確認し、不明点や懸念点を洗い出す
3.必要に応じて専門家に相談し、アドバイスを受ける
4.契約条件について交渉し、より有利な条件を引き出す
私たちINA&Associates株式会社では、不動産オーナーの皆様に対して、サブリース契約を含む賃貸経営のアドバイスを提供しています。ご不明点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。経験豊富な専門スタッフが、最適な賃貸経営の方法をご提案いたします。
よくある質問
Q1: サブリース契約の解約はできますか?
A1: サブリース契約は原則として契約期間中の解約が制限されていますが、契約書に定められた条件に従って解約することは可能です。ただし、多くの場合、中途解約には違約金が発生します。違約金の金額は、残存契約期間や月額家賃などを基に計算されることが一般的です。解約を検討される場合は、契約書の解約条項を確認し、必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。
Q2: 家賃保証は将来にわたって確実なものですか?
A2: 多くのサブリース契約には、経済情勢の変化や周辺の賃料相場の変動などを理由に、サブリース会社が家賃を減額できる条項が含まれています。そのため、将来にわたって家賃が確実に保証されるわけではありません。2020年の賃貸住宅管理業法施行により、サブリース業者は契約締結前に家賃変動の可能性について説明する義務がありますが、条件次第では家賃が減額される可能性があることを理解しておく必要があります。
Q3: サブリース契約と管理委託契約はどちらが良いですか?
A3: どちらが良いかは、オーナーの状況や優先事項によって異なります。サブリース契約は安定した家賃収入と管理の手間軽減というメリットがある一方、収益性の制限や契約条件の変更リスクというデメリットがあります。管理委託契約は収益性の上限がなく柔軟性が高い一方、空室リスクはオーナーが負担します。以下の条件に当てはまる場合は、サブリース契約が適している可能性があります:
一方、以下の条件に当てはまる場合は、管理委託契約が適している可能性があります:
•立地条件が良く、空室リスクが低い物件を所有している
Q4: サブリース契約の標準的な契約期間はどのくらいですか?
A4: サブリース契約の標準的な契約期間は10〜30年程度です。特に新築物件の場合、建物の耐用年数や融資期間に合わせて20〜30年の長期契約となることが一般的です。契約期間が長いほど、安定した家賃収入が期待できる一方、契約条件の変更リスクや柔軟性の低下というデメリットもあります。契約期間については、物件の状況や将来的な計画を考慮して検討することが重要です。
Q5: サブリース契約で家賃は将来上がることはありますか?
A5: サブリース契約では、家賃が将来上がる可能性はありますが、一般的には稀です。多くのサブリース契約では、家賃の減額条項はあっても増額条項は明確に定められていないことが多いです。ただし、契約内容によっては、周辺の賃料相場が大幅に上昇した場合や、大規模なリノベーションを行った場合などに、家賃の増額交渉が可能な場合もあります。契約締結前に、家賃の見直し条件について詳細に確認し、必要に応じて増額の可能性についても交渉することをお勧めします。
参考情報
サブリース契約に関する詳細情報は、以下の公的機関や関連団体のウェブサイトでも確認することができます:
5.日本賃貸住宅管理協会 賃貸住宅管理業者の業界団体です。サブリース契約を含む賃貸住宅管理に関する情報や、会員業者の検索などが可能です。
これらの情報源を参考にしながら、サブリース契約に関する理解を深め、適切な判断を行うことをお勧めします。また、具体的な契約内容や条件については、専門家に相談することで、より安心して賃貸経営を進めることができるでしょう。
不動産経営に関するご相談は、INA&Associates株式会社までお気軽にお問い合わせください。経験豊富な専門スタッフが、最適な賃貸経営の方法をご提案いたします。