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中国人富裕層が日本の不動産を爆買いしている理由

作成者: 稲澤大輔|2025/06/29 3:21:24 Z

近年、中国人富裕層による日本不動産投資が急速に拡大しています。2024年の調査では、87.5%もの中華圏投資家が「日本の不動産を買うタイミングは今」と回答しており、この動向が顕著に表れています。

中国人投資家が日本の不動産市場に注目する背景には、安定した投資利回り、透明な法制度、そして円安による割安感があります。2024年は日本を移住先に選ぶ中国人富裕層の数が前年比約15%増加する見通しであり、富裕層1万5200人が中国から流出し、2年で4割増となっています。

本記事では、なぜ中国富裕層が日本の不動産爆買いを続けているのか、その背景にある5つの理由と、投資対象として人気のエリア・物件タイプについて詳しく解説いたします。また、外国人不動産購入に関する法的制限や経営管理ビザを活用した移住戦略についても、不動産業界の専門家として最新情報をお伝えします。

中国人富裕層による日本不動産投資の実態

データで見る投資規模の拡大

中国人不動産投資の規模は年々拡大しており、その勢いの強さが明確に表れています

購入価格帯については、中国富裕層の超富裕層クラスが中心となっており、予算3億~5億円規模の物件購入が主流となっています。特筆すべきは、これらの購入のほぼ100%が現金一括購入で行われていることです。この現金購入により、金利リスクを回避し、迅速な取引を実現しています。

投資家の属性と投資動機

中国人投資家の属性を分析すると、超富裕層クラスが中心であることが分かります。これらの投資家は単なる資産運用を目的とするだけでなく、移住を視野に入れた長期投資戦略を持っています。

経営管理ビザ取得による移住ニーズも高まっており、不動産投資と日本移住を同時に実現する投資家が増加しています。資本金500万円と基本的な事業計画があれば、在留資格を取得できるため、移住手段として注目されています。

日本不動産が選ばれる5つの理由

①永続的な所有権の魅力

中国富裕層が日本の不動産を選ぶ最大の理由の一つは、永続的な所有権にあります。中国では土地は国有であり、個人が所有できるのは建物のみで、土地については使用権が70年間に限定されています。一方、日本では土地・建物ともに永続的な所有権を取得することができます。

この違いは、資産保全の観点から極めて重要です。日本の不動産は永久的に残ることから、世代を超えた資産承継が可能となります。中国人投資家にとって、この永続的な所有権は単なる投資対象を超えて、家族の将来にわたる資産基盤として位置づけられています。

比較項目 中国 日本
土地所有権 国有(使用権70年) 永続的所有権
建物所有権 個人所有可能 永続的所有権
相続 使用権の承継 完全な所有権承継
資産価値 使用期限による減価 土地価値の永続性

②高い投資利回りによる収益性

投資利回りの観点から見ると、日本の不動産は中国不動産と比較して明らかに優位性があります。中国の大都市圏における不動産投資の平均利回りは約2%前後にとどまっているのに対し、東京では3.5~4%前後の利回りが期待できます。

この利回り差は、中国人投資家にとって魅力的な投資機会を提供しています。特に、北京や上海などの中国主要都市の利回りが約2%弱であることを考慮すると、日本の物件は想定利回り3.5~4%程度とされ、安定収入源として極めて魅力的です。

年間家賃収入による3~4%前後の利回り重視の運用が行われており、一棟買い収益物件が特に人気を集めています。この安定した収益性は、中国富裕層の長期的な資産運用戦略にも合致しています。

③価格の割安感と円安効果

不動産価格の比較においても、日本の優位性は明確です。北京の2019年新築マンション価格の平均は7,200万円とされているのに対し、日本の首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)新築マンションの1戸あたり平均価格は6,518万円となっています。

さらに重要なのは、日本の不動産価格には土地の権利も含まれていることです。中国では建物のみの価格であるのに対し、日本では土地権利も含めた価格設定となっているため、実質的な割安感はより顕著になります。

円安の進行も中国人投資家にとって追い風となっています。為替レートのメリットにより、人民元ベースでの投資コストが相対的に低下し、投資妙味が高まっています。

④透明で安定した法制度

日本の法制度の透明性と安定性は、外国人投資家にとって大きな安心材料となっています。現在、日本では外国人不動産購入に対する法的制限はほとんどなく、外国人でも日本人と同等の条件で不動産を購入し、完全な所有権を取得することができます。

2024年4月からは、海外在住の日本人や日本に住所を有しない外国人、外国法人が不動産の所有者となる場合、日本国内の連絡先が登記事項となりましたが、これは透明性を高める措置であり、購入を制限するものではありません。

透明性の高い取引制度により、中国人投資家は安心して投資を行うことができます。政治・経済の安定性も相まって、長期的な投資環境として高く評価されています。

⑤地理的・文化的親和性

地理的近接性は、中国富裕層にとって実用的なメリットをもたらします。中国から日本への移動時間は短く、頻繁な往来が可能です。これは、セカンドハウスとしての利用や、子女の教育拠点としての活用において重要な要素となります。

文化的類似性も見逃せない要因です。漢字文化圏であることから、日本の文化や習慣に対する理解が比較的容易であり、生活環境への適応もスムーズです。

教育環境の充実も中国富裕層が日本を選ぶ理由の一つです。高品質な教育システムと安全な社会環境は、子女の教育を重視する中国の富裕層にとって魅力的な要素となっています。高級マンションのペントハウスでは、120㎡超の広尺住戸を子女の教育拠点として活用するケースが増加しています。

投資対象として人気の不動産エリアと物件タイプ

中国富裕層に最も人気の投資エリア

中国富裕層に最も人気の物件エリアは、東京23区内の都心一等地です。特に港区、渋谷区、千代田区などのプレミアムエリアで3億~5億円規模の現金購入が活発化しています。これらのエリアが選ばれる理由は、国際色豊かな環境、優れたアクセス、そして資産価値の安定性にあります。

エリア 特徴 平均購入価格帯 人気の理由
港区(赤坂・六本木・青山) 国際色豊か、アクセス良好 3億~5億円 外国人コミュニティの充実、ビジネス拠点としての利便性
渋谷区(広尾・恵比寿・代官山) 高級住宅街、文化施設充実 2億~4億円 洗練された住環境、教育施設の近接性
千代田区(番町・霞が関周辺) 政治・経済の中心地 3億~6億円 最高級住宅地としてのステータス、皇居近接の希少性
中央区(銀座・月島) 商業・金融の中心 2億~4億円 投資価値の安定性、都心へのアクセス

港区は特に中国人投資家に人気が高く、赤坂、六本木、青山エリアでは国際色豊かな環境と優れたアクセスが評価されています。外国人コミュニティが充実しており、ビジネス拠点としての利便性も高いことから、移住を視野に入れた投資家にとって理想的な立地となっています。

渋谷区の広尾、恵比寿、代官山エリアは、高級住宅街としての品格と文化施設の充実が魅力です。洗練された住環境と教育施設の近接性により、子女の教育拠点として活用する中国富裕層が増加しています。

物件タイプ別の投資傾向

中国人投資家の物件選択には明確な傾向があります。投資用としては、一棟買い収益物件が特に人気を集めており、年間家賃収入による3~4%前後の利回り重視の運用が行われています。

高級マンションのペントハウスでは、120㎡超の広尺住戸が好まれています。これらの物件は「セカンドハウス」や子女の教育拠点として活用されることが多く、居住の質を重視した選択となっています。

タワーマンションも中国富裕層に人気の物件タイプです。都心一等地の高級物件として、ステータスシンボルとしての価値と実用性を兼ね備えています。特に、眺望の良い高層階の物件は、プレミアム価格でも積極的に購入されています。

駅に近いオフィスビルや商業ビルも投資対象として注目されています。これらの物件は安定した賃料収入が期待でき、中国人投資家の収益重視の投資戦略に合致しています。

地域別の投資動向と特徴

大阪市内では、中央区、浪速区を中心とした投資が増加しています。万博やIR計画を見据えた投資が増加傾向にあります。高額物件への一括購入が増加しており、中国人投資家の関西圏への関心の高まりが見られます。

湾岸エリアのマンションも従来から中華圏投資家に人気が高く、中国からの訪日渡航制限解禁時期と重なることから、注目が集まっています。これらのエリアは将来的な発展性と現在の割安感を兼ね備えており、長期投資の観点から魅力的とされています。

地方都市においても、観光地や温泉地の高級リゾート物件への投資が見られます。これらは主にセカンドハウスや民泊運営を目的とした投資であり、経営管理ビザ取得の要件を満たす事業として活用されるケースもあります。

まとめ:中国人富裕層の不動産投資が日本市場に与える影響

中国富裕層による日本不動産投資は、安定した投資利回り、永続的な所有権、円安による割安感を背景に急速に拡大しています。2024年現在、87.5%の中華圏投資家が「今が買い時」と考えており、特に東京不動産の港区、渋谷区、千代田区などのプレミアムエリアで3億~5億円規模の現金購入が活発化しています。

この投資動向は日本の不動産市場に多面的な影響を与えています。市場活性化への貢献として、高額物件の流動性向上と取引量の増加が挙げられます。

一方で、価格上昇への影響も無視できません。東京23区の新築マンション平均価格が1億1,000万円を超え、2年連続で「1億円超え」となるなど市場は過熱気味ですが、この価格高騰を支えている一因が外国人投資家による購入です。

経営管理ビザを活用した移住ニーズも高まっており、不動産投資と日本移住を同時に実現する投資家が増加しています。民泊運営を通じた事業展開により、「経営管理ビザ」取得の要件を満たすケースも見られ、投資と移住の複合的なニーズが顕在化しています。

今後の展望として、現在は不動産購入規制がないため自由な投資が可能ですが、安全保障上の観点から規制強化が検討される可能性があります。2024年12月に衆議院へ提出された「外国人土地取得規制法案」や、国土交通省による初の実態調査の開始など、政策面での変化も予想されます。

不動産業界としては、これらの動向を踏まえ、中国人投資家のニーズに対応したサービス提供と、適切なコンプライアンス体制の構築が重要です。INA&Associates株式会社では、人財を最も重要な資産と捉え、関係する全ての人々の成長と豊かさを追求する理念のもと、中国富裕層の皆様にも信頼されるパートナーとして、持続可能な不動産投資のサポートを提供してまいります。

中国人不動産投資をご検討の方は、法的制限や税務面での注意点、経営管理ビザの取得要件など、専門的な知識が必要な分野について、信頼できる専門家にご相談されることをお勧めいたします。

よくある質問

Q1: 外国人が日本の不動産を購入する際の法的制限はありますか?

現在、日本では外国人による不動産購入に対する法的制限はありません。外国人でも日本人と同等の条件で不動産を購入し、完全な所有権を取得することができます。国籍やビザの種類、永住権の有無に関係なく購入可能です。

ただし、2024年4月からは海外在住の日本人や日本に住所を有しない外国人、外国法人が不動産の所有者となる場合、日本国内の連絡先が登記事項となりました。また、安全保障上の観点から、今後規制が導入される可能性が議論されています。

Q2: 中国からの送金制限はどのようになっていますか?

中国では個人の国際送金は年間5万ドル相当額に制限されています。高額な不動産購入の場合は、複数年にわたる送金や複数のルートを活用する必要があります。また、人民元は直接送金できないため、外貨に換金してからの送金となります。

この制限により、3億~5億円規模の物件購入を行う中国富裕層は、複数の送金ルートを活用したり、複数年にわたって資金を移転したりする必要があります。適切な送金手続きについては、専門家にご相談されることをお勧めします。

Q3: 経営管理ビザの取得要件は何ですか?

経営管理ビザの取得には、以下の要件のいずれかを満たす必要があります。

1. 資本金または出資総額が500万円以上の会社を設立すること
2. 日本に居住する日本人、永住者、定住者、または日本人の配偶者等を2人以上常勤として雇用すること

2024年の要件緩和により、有償型新株予約権(J-KISS型)を資本金として認めるようになりました。また、事業の経営または管理について3年以上の実務経験が必要ですが、大学院で経営に関する科目を専攻して修士課程を修了した場合は1年の実務経験で可能です。

不動産投資や民泊運営も事業として認められる場合があり、申請者の年齢、言語、学歴の制限はなく、家族も一緒に滞在することが可能です。

Q4: 日本不動産投資の期待利回りはどの程度ですか?

東京など大都市圏では平均3.5~4%前後の利回りが期待できます。これは中国主要都市の約2%と比較して高い水準です。地方都市ではさらに高い利回りが見込める場合もあります。

一棟買い収益物件では年間家賃収入による3~4%前後の利回り重視の運用が行われており、安定した収益性が中国人投資家に評価されています。ただし、利回りは立地、物件タイプ、管理状況などにより変動するため、個別の物件について詳細な検討が必要です。

Q5: 中国人投資家に人気のエリアと物件タイプは何ですか?

中国富裕層には港区(六本木、赤坂)、渋谷区(広尾、恵比寿)、千代田区(番町)などが人気です。物件タイプとしては、120㎡超のペントハウスや一棟収益物件が好まれ、予算は3億~5億円規模が中心となっています。

これらのエリアは国際色豊かな環境、優れたアクセス、高級住宅街としての品格を兼ね備えており、セカンドハウスや子女の教育拠点として活用されることが多いです。タワーマンションの高層階物件も、ステータスシンボルとしての価値と実用性を兼ね備えているため人気があります。