INA online

赤坂七丁目2番地区再開発プロジェクト完全ガイド

作成者: 稲澤大輔|2025/05/15 4:42:38 Z

東京都ホームページより引用

赤坂七丁目2番地区第一種市街地再開発事業は、東京都港区赤坂七丁目に位置する大規模再開発プロジェクトです。このプロジェクトは、老朽マンション等の建築物の更新に併せて都市基盤の強化を図り、防災機能の強化や安全で快適な歩行者ネットワークを形成することを目的としています。

1.基本情報

  • 施行者: 赤坂七丁目2番地区市街地再開発組合
  • 所在地: 東京都港区赤坂七丁目地内
  • 地区面積: 約1.2ヘクタール
  • 建蔽率: 約60%
  • 容積率: 約700%
  • 総事業費: 約679億円
  • 参加組合員: 日鉄興和不動産株式会社、野村不動産株式会社
  • 施工者: 清水建設
  • 設計者: 清水建設・日本設計 設計共同体

整備計画の詳細

  • 階数: 地上46階、地下1階
  • 高さ: 約164.14メートル
  • 延べ面積: 約87,913.32平方メートル
  • 主な用途: 住宅、事務所、店舗、専修学校
  • 住宅戸数: 643戸
  • 駐車場: 296台

2. プロジェクトの特徴

都市基盤の一体的な整備による防災機能の強化

本地区は都市基盤がぜい弱で、老朽マンションも複数存在し、防災性の向上が課題となっていました。再開発により、地区内の道路を拡幅整備し、防災機能の強化を図ります。狭隘な道路に囲まれた地区を一体的に整備することで、住民の安全性を高めます。

安全で快適な歩行者ネットワークの形成

本地区は高低差があるため、安全で快適な歩行者ネットワークの形成と、周辺地区へのアクセスのしやすさや地区内の回遊性を高めるため、歩道状空地と併せ、広場や建築物、周辺の道路をつなぐバリアフリーに配慮した明るく開放的な歩行者通路を整備します。これにより、青山エリアと赤坂エリアを有機的に結ぶことに寄与します。

地区周辺とつながる緑のネットワークの形成

高橋是清翁記念公園との連続性に配慮した緑地空間を整備し、地区周辺と繋がる緑のネットワークを形成します。赤坂御用地の緑の拠点から南側市街地へ連続する緑のネットワークの形成を図ります。

多様なライフスタイルに対応した複合施設

多様なライフスタイルに対応した居住機能、オフィス機能および本プロジェクト周辺地区に不足している生活利便施設等の導入を図ります。住宅は1Rから3LDKまで様々なタイプが計画されており、総戸数643戸の内訳は以下の通りです:

  • 30〜45㎡の1R・1LDK: 46戸
  • 45〜60㎡の1LDK: 107戸
  • 60〜80㎡の2LDK: 223戸
  • 80〜100㎡の2LDK・3LDK: 200戸
  • 100〜130㎡の2LDK・3LDK: 55戸
  • 130〜190㎡の3LDK: 12戸

3. 立地と交通アクセス

立地条件

  • 東京メトロ銀座線・半蔵門線及び都営大江戸線「青山一丁目」駅から徒歩6分
  • 東京メトロ丸ノ内線・銀座線「赤坂見附」駅も徒歩圏内
  • 東京メトロ半蔵門線・南北線「永田町」駅も徒歩圏内
  • 東京メトロ千代田線「赤坂」駅も徒歩圏内

周辺環境

  • 敷地西側は高橋是清翁記念公園に隣接
  • 東側は薬研坂に面している
  • 北側には赤坂御用地が位置し、高層階からは緑豊かな景観を望むことができる
  • 東側には「赤坂ガーデンシティ」や「パークコート赤坂ザ・タワー」が建ち並ぶ

4. 公共施設整備計画

本プロジェクトでは、以下の公共施設の整備が計画されています:

  • 区画道路1号: 幅員7.0m~8.4m(拡幅)
  • 区画道路2号: 幅員6.0m~7.1m(一部拡幅)
  • 区画道路3号: 幅員4.0m~4.8m(一部拡幅)
  • 区画道路4号: 幅員0.0m~1.0m(全幅員13m・新設)
  • 緑地: 約580平方メートル

また、高橋是清翁記念公園との連続性に配慮した緑地整備により、緑のネットワークの形成を図ります。現在の圧迫感のある壁状の石塀から、緩やかな傾斜に生まれ変わる予定です。

5. 開発の経緯とスケジュール

これまでの経緯

  • 2010年度: 街づくり協議会を設立
  • 2010年度: 事業協力者として日鉄興和不動産株式会社、野村不動産株式会社が選定される
  • 2012年度: 再開発準備組合を設立
  • 2020年12月: 都市計画決定
  • 2022年6月: 赤坂七丁目2番地区市街地再開発組合設立認可
  • 2024年2月: 権利変換計画認可

今後の予定

  • 2025年6月: 建築工事着手(予定)
  • 2028年12月: 工事完了(予定)

現在は既存建物の解体工事が進行中で、2025年5月頃に解体工事が終了する予定です。一部の地区では土壌汚染対策工事も実施されています。

6. 施設建築物の特徴

フロア構成

  • 地下1階: 駐車場、店舗
  • 1階: 駐車場、エントランス
  • 2階: 専修学校、広場
  • 3階: SOHO、事務所
  • 4〜5階: 住宅、事務所
  • 6階以上: 住宅
  • 27階・28階: 住宅共用施設を配置
  • 41階以上: 広い住戸のみで構成
  • 45・46階: さらに広い角部屋のみ(プレミアムフロア)

建築的特徴

  • 敷地は傾斜地となっており、タワーマンション本体は高台側の「青山一丁目」駅方面となる敷地西側に配置
  • 東側には低層の事務所などが配置
  • 西側と東側では2層分の高低差があるが、居住者以外も利用できるエスカレーターやエレベーターを設置することで高低差を解消
  • 高層階からは赤坂御用地の緑豊かな景観を望むことができる

7. 周辺地域への影響と価値創造

本プロジェクトは、単なる不動産開発ではなく、地域全体の課題解決と価値向上を目指しています。

地域課題の解決

  • 旧耐震基準で建設された3棟の区分所有マンションの建替え問題解決
  • 独立家屋の土地有効利用問題の解決
  • 狭隘な道路の拡幅による防災性の向上
  • バリアフリー動線の確保

地域価値の向上

  • 青山エリアと赤坂エリアを繋ぐ歩行者ネットワークの形成
  • 公園との連続性に配慮した緑地空間の整備
  • 多様なライフスタイルに対応した居住機能の提供
  • 周辺地区に不足している生活利便施設の導入

まとめ

赤坂七丁目2番地区第一種市街地再開発事業は、老朽化したマンションの建替え問題を解決しながら、都市基盤の強化、防災機能の向上、歩行者ネットワークの形成、緑のネットワークの創出など、多面的な価値を生み出すプロジェクトです。2028年の完成に向けて、今後も段階的に開発が進められる予定です。このプロジェクトにより、赤坂エリアの魅力と価値がさらに高まることが期待されています。